見出し画像

堂々巡り

 以前、スマートフォンを2つ持つべきか考えたことがある。では、眼鏡はどうだろうか。2つも必要だろうか。

 私は極度の近視と乱視のため、眼鏡を外すと世界はぼやけ、まるで万華鏡を覗いているようにしか見えない。眼鏡はまさに生命線だ。壊れたり紛失したりすれば、大変なことになるのは間違いない。

 とはいえ、これまで眼鏡が完全に使えなくなった経験は一度もない。フレームが曲がったり、レンズが傷ついたりしたことはあるが、その場で何とか調整したり、一時の不便を我慢して乗り切ってきた。

 でも、もし朝寝ぼけた状態で眼鏡を踏んで壊してしまったらどうだろう。急ぎの用事があって裸眼で家を出ることになる。電車の行き先も看板も見えず、何度も人に尋ねながらようやく目的地にたどり着く。そんな状況を想像すると、予備の眼鏡があれば安心だと思う。

 とはいえ、予備を持つとなるといろいろ面倒だ。視力が変われば2本とも作り直す必要が出てくるし、ケースも持ち歩かなければならない。荷物が増えるのは正直避けたい。最近は眼鏡が安くなってきたとはいえ、それでも「もう1本」はどうしても無駄に思える。

 しかし、私のような乱視持ちの場合、レンズを作るのに時間がかかるのも気がかりだ。以前眼鏡を新調した際、乱視用レンズのために一週間以上待つことになった。もし突然壊れたら、その間どうやって過ごすのか。そう考えると不安がよぎる。

 今のところ、私は1本の眼鏡でやりくりできている。でも、万が一が起きたらどうするのか。その万が一のために眼鏡をもう1本用意するべきか。結局のところ、答えは出ない。だから、これ以上は考えないことにしようと思う。

いいなと思ったら応援しよう!