ポケットの無い自由

　部屋着がボロボロになってきたので、娘の服と一緒にファッションセンターしまむらで適当な物を見繕った。形は少し女性向けに見えるが、元々安価な上に割引されており、さらに機能面でも暖かそうなので問題なしだ。

　ただ、着てみて分かったが、上下共にポケットがなく、スマホを持ち運びづらい。思い付いたことをスマホにメモしたり調べる習慣があるため、不便さを感じる。しかし、無意識にスマホを触る癖を見直す良い機会とも言えそうだ。ポケットがないことでスマホを持ち歩く頻度が減り、結果的に手が空く自由さを少し感じ始めた。

　そもそも、私とコンピュータの付き合いは長い。物心が付く前から初期のコンピュータに触れ、通信量が掛からないテレホタイムには夜更かしをしてインターネットで遊んでいた。通信が常時定額になると、エンドレスバトルというフリーのオンラインゲームを良く遊んだ。その影響でプログラミングにも挑戦した。気づけば、もう何十年もこの世界に入り浸っている。

　幸いなことに、今はスマホの通知を断捨離して必要最低限のものだけが届く状態にしている。SNSの通知は切り、天気予報や重要なリマインダーだけが届くようにしたおかげで、無駄にスマホを触る時間が減った。

　それでも、ふと見たくなる欲求には、勝ったり負けたりだ。5割ぐらい勝てれば御の字だろう。それぐらいが一番気楽で効果的に感じる。そしてポケットのない部屋着が教えてくれたのは、何事も少しの不便さを楽しむ心だ。