宴のその後
子供の頃、ゲームの大会に参加したことがある。それは、当時夢中になっていた「モンスターファーム2」のモンスター甲子園だった。最近になって、世界大会も開催していたようだ。
数十年前、天真爛漫な気持ちで、わくわくしながら東京ゲームショウの会場へ向かった。しかし、会場では予選のモンスターと闘い、惜しくも予選落ちしてしまった。やり込みはしていたものの、全ての能力を最大まで上げたわけではなかったので、結果は当然といえば当然だった。それでも、あの広い会場の熱気とゲームファンたちの熱意に触れられたことは、良い思い出だ。
その会場で「テクモプレイヤーズマグ」という小冊子が配られていた。テクモのゲームに関する投稿イラストや新作情報、素朴で温かみのある読者コーナー。その冊子には、どこか閉じられた牧歌的な世界が広がっていた。
中でも特に心を惹かれたのが、読者の質問に答える「こばんざめ」のコーナーだ。どんな質問にもフレンドリーに答える彼女(彼?)の存在が、冊子の楽しみを深めてくれた。こうして私はTPMの会員になり、定期的に小冊子が家に届くようになった。
一部のバックナンバーは、今でもテクモのサイトで見ることができる。テクモはコーエーと合併しているため、2010年から更新は途絶えている。それでも十年以上もサイトが残されていること自体が奇跡だと感じる。ページを開けば、00年代前半の懐かしい雰囲気が今も鮮やかに蘇る。
もしかしたら、今活躍しているイラストレーターの中にも、当時投稿していた読者がいるのかもしれない。そう考えると、このようなアーカイブは、表に出ない歴史や記憶をつなぎ留めるためにも重要な資料だ。
今も気になるのは、「こばんざめ」の正体だ。実在する人物だったのか、それとも架空のキャラクターだったのか。今もコーエーテクモで働いているのか、あるいはどこか別の場所で読者にコメントを届けているのか。
想像していたら、懐かしさが込み上げ、少し胸が温かくなった。