トレジオンさんのクラウドファンディングに思う事。
おはようございます。
自分も簡易クラファン(4日間限定)をしてみたところ、思いの外精神力が奪われる事に気がついた中崎です。
さて、今日はクラファン繋がりで、『このプロジェクト、本当はこうした方が良いのでは?』という考察をつらつらと。以前知人のサロンメンバーさんが務められていたお店でもあるので、「どうして上手くいかないの?」と悩まれた際の心当たりを残しておこうかと。
多分、社長さんが1人熱くなって止まらなかったのだろうなぁ…と思ってます。
それでは、はじまり、はじまり。
〜本編〜
■前提。『トレジオン』とは。
詳細はこちらの公式ページの説明をば。
さっくりというと『東北』を丸ごと応援する熱いバル。各県のご当地食材を使ったメニューが豊富で、私自身は「仙台駅」と「仙台空港」を訪れたことがあります。特に空港店のパフェとクラフトビールが好みです。
さて、そんなお店が今度は私の大好きな『珈琲』にまで進出する…
ということで興味を持ってクラファンを覗いた結果、下記のようになりました。
目標達成、素晴らしい。
一見して問題なさそうですが、どうにもちょっと怪しい気配。
今回は、ここをしっかり深掘ります。
■『一人勝ち』だけは許されない。
まず“絶対の禁忌“は一体何か。
それは『東北』ブランドを良い事に、『他の東北のお店を根絶させる』という本末転倒です。
うっかり最高品質のご当地料理を出してしまって、「まぁ此処に食べにくれば実質東北地方は制覇したも同然だよね。」とお客さまに思われる事。
原則『ターミナル駅』『空港』という東北の交通の要所に店を構えている以上、肝心要の『現地』まで行く用事がつくれないとそれは最早各県に対する営業妨害と同義なんですね。
例えるなら、
東京街中の飲食雑居ビル(東北)の一階前に立ち塞がって「お客さん、ウチの一階フロアならわざわざ各階に登らなくても『東北』を全部味わえますよ。」
みたいな出店戦略。
やったら最後肝心要の東北がますます人が来なくて弱体化する為に、他の飲食店と同じような『兎に角美味しさだけで世間をぶっちぎる』という腕力onlyの戦略が出来ないのが難しい。
いわば『東北地方全体のフロントエンド』(チラシ配りの広告場所)としての任務を果たせないと理念が破綻する、とお考えください。
そういう訳で。
■『各県のご当地食材』を押してるのがすごくイイ。
山形ならさくらんぼ。宮城なら牛タン。青森ならりんごと言うように。
まずはメニューの一覧で「各県の特産品をアピールする」という仕掛けが素晴らしい。
そのメニューが口に合えば、じゃあ本場に赴いて「今度は1番良い状態の好きな食材を更に更にたらふく食べてみたい」という欲求が少しだけ芽生えやすい。
そうやって『各県の試食販売』を担っているから『東北のプラットフォーム』として理念が通ずる訳で。
ここがトレジオンさんの特に素晴らしい魅力だと感じてます。
が。問題は。
■『珈琲』を売ると誰が得するのか?
今回の件に限ってはもうぶっちゃけると、『誰も得をしていない』と考えます。
理由は「この珈琲美味しいな!よしじゃあ各県に実際に行ってみよう!」とはならないから。
別にご当地限定食材を使っている訳でもないし、あくまでも「社長さんが個人的に東北を想ったイメージ」であって「現地のブランド戦略」とはさして関係性を感じません。
というか『好きな県』と『好きなお味』が8割バラける為に、『普段仙台ベガルタを推しているインフルエンサーが何故か“山形“の珈琲をSNSで宣伝している』とか『珈琲好きの同僚が“秋田“を推してくるからてっきり秋田の美味しいお店を知っているのかと思ったら実は全く関係性がなかった』みたいな”広告事故”が多発するんですね。
これ、『お客さんが宣伝するメリット』が一個も無いのです。
ずんだパフェをオススメした人なら「本場の仙台」をおススメしてくれますが、
苦目の珈琲をオススメした人が別に「福島のカフェ」を毎回オススメするとは限りません。
あくまでも『味』で各県のご当地をオススメするのなら、『ご当地の超イケてる繁盛店から商品を仕入れる』以外はあり得ない。
この図式が成り立って初めて『各県を応援する』というトレジオンの理念に筋が通る為、
『オーナーの個人的趣味』で作られた『オーナー個人が仕入れた豆』を用いた『オーナーだけが焙煎した豆』は『東北の旗艦店』で絶対に私的に売っちゃあいけなかったんですね。
トレジオン側が用意すべきはあくまでも『ブランド」と『デザイン」と『売り場』だけで良い。後は各県で何十年も修練を重ねた珈琲職人さんに商品のクオリティを頑張って貰えば良かったので。
結果「美味しいかも分からない珈琲」を過剰に作る為に沢山の豆や材料や職人や資源が投下されて更に「各県の珈琲販売の競合を自分から増やす」という本末転倒が起きている…!
正直、クラファンとしてはオリジナルTシャツやオリジナルグッズの作成並みの最低ランクのマナーです。
これ、しかもタチ悪いことに…
■『寄付』は力ある者の責務。
「この商品を買ってくれると〇〇円が現地に支援されます」は非常に尊いけれど、それはそもそもの『既にクオリティがブッチギリに高い上に』という枕言葉が大事です。
だって直接施設に寄付すれば「余分な珈琲代」(リターン)をすっ飛ばして直接現地を応援出来るので。
それだったらメニューの一覧や公式ページに『トレジオンは、〇〇を応援しています。』の一文と共に『各県の寄付の受付先一覧』を掲載しておけばお互い無駄な浪費が起きないので間違いない。
わざわざ珈琲を飲まないと逐一カケラも支援できないせいで、本来の「既に珈琲を通さず銀行で振り込んでいる方」の満足度が盛大に盛り下がってる…
珈琲で胃袋をぽちゃぽちゃにして10円寄付するよか、サクッとカードで1万円寄付した方がよっぽど楽しいです。
中流階級から一律課税してセコセコ支援を集めるよりも、お会計時に募金箱を添えてくれた方が結果的に多くの支援が集まるはず。
この辺の設計が更に非情で優しくないと思います。
という訳で。
■じゃあ中崎ならどうするの?
大きく分けると3点。
といった感じです。
①あくまでも『ご当地』とのコラボに徹する。
もしどうしても自社焙煎にこだわるならば、いっそ6種類全部同じ味で揃えます。
ビックリマンチョコと同じように「各種パッケージ」と「支援先」だけで商品を差別化。6種も豆を仕入れると保管も製法もコストがかかるので絶対やりません。せめて一種類に絞って大人しく専門家に任すべし。
②お客さんが『シェア』しやすく設計する。
特にパッケージデザイン。
大々的に『青森』や『宮城』を強調したデザインをあつらえて、お客さんが「私は〇〇出身です」「私は〇〇を推しています」と自撮り一発で主張出来るようにする。
アパレルと同じように、こちらは『食べられる投票装置』としての機能の方が価値があると思います。
で、その派生で…
③『各県専用クーポン』を添える。
折角トレジオンという『ご当地メニュー』を扱っているお店があるのなら、『各県ご当地メニュー限定割引』のクーポンをクラウドファンディングのリターンに加えます。
目的は、支援してくださったお客様がトレジオンのドリップコーヒーと割引券を『お裾分け出来る様に』です。
折角なので更に自発的な「ビラ配り」の動機を促します。
この方式だとコアファンの方が複数枚購入する理由が増える為、しかもお店と各県に対する宣伝力が格段に跳ね上がるんですね。
『東北全部を勝たせる』という理念を貫くならば、『各地に各県を宣伝してくれる人を増やす』という仕掛けが何よりも大事だったかなぁ…
と外野の身としては強く感じました。
■まとめ。
『ドリップコーヒー』はあくまでも『飲めるチラシ』として活用すべきかと。
トレジオンへのバックエンド商品としてではなく、徹底して『東北全体へのフロントエンド商品』としての立ち位置が理想的。
本命のバックエンドがやりたければ、交通の要所を握った以上『観光業界への導線』が王道です。
「トレジオンさんのレシートを持ってきてくれたら」とか「トレジオンさんにチラシを置かせてくれるなら」などなど色々打ち手はある筈なので。
今回ばかりは本当に勿体無い案件だったので、このクラファンは非常にそもそもの設計が大変に良くなかったな…と感じました。
それでは、バイバイ。
〜おしまい〜
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