一緒でも、ひとりでいられるということ
「ぼく、ムーミンたちのことだって、煩わしく思うこともある。だけど、彼らとくらしていると、一緒でも、ひとりでいられるんだ。」
ムーミンシリーズに出てくる旅人、スナフキンの言葉だ。
ムーミンシリーズの中で、僕が特別好きな一節でもある。
一緒にいるとひとりでいられない相手
一緒にいてもひとりでいられる相手
というのが、たしかにいると思う。
一緒にいると自分ひとりになれない相手というのは、ずっと相手の存在を気にしていなくてはいけない人。
一緒にいる時間を相手のためだけに割かないといけない人。
一緒にいても自分一人になれる相手は、一緒にいるときでも、必ずしも相手のために全ての時間を割かないでいられるような人(お互いに)。
例えば一緒にいて、急に空想にふけり出してもほっといてくれたりする。
各々別の本読んで過ごせたりもする。
スナフキンとムーミンたちの関係というのは、おそらく後者のような、自由さのある関係なのだと思う。
そしてその自由さというのは、きっと自立と、強い信頼をベースにしている。
僕は油断すると、会話の途中でぼーっとしてしまうことがある。相手の言葉から連想ゲームみたいなものが始まって、頭が遠く、空想の世界に飛んでいってしまう。
そんな時、
「お前って、たまに話聞いてないよな」
と笑いながら言ってくれる友人が何人かいる。
まあ、相手からすれば失礼なことだし、その度僕は反省するのだけど、同時に少し嬉しくもある。
油断している自分と、それを笑ってくれる相手との間に流れている、自由な空気を感じる。
そして、相手にとって自分も
「一緒にいてもひとりでいられる相手」
でありたいと思う。
お互いの「ひとり」を大切にできる。
そういう自由でしなやかなつながりを、大事な人たちとは、つくっていけたらと思う。
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