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職員室の内側30‐新学年勉強合宿‐
高校入試を前に新年度入学生の担任団が発表され、入学準備が進められている。現在の勤務はコロナ禍以前、4月入学直後に2泊3日の勉強合宿を行っていた。今年度、新型コロナ感染症が5類に移行したことにより5年ぶりに復活した。新学年団も4月入学式から6日後には勉強合宿に出発する。
新しいクラス、新しい先生のもと宿泊して生徒同士、生徒と教員が理解を深めることは大切である。また高等学校の学びについて集中してレクチャーすることも大切であろう。
しかし、新年度早々の勉強合宿実施には課題を感じている。
第一に、実施場所が確定していない。現在インバウンド需要の増加の影響で240名の生徒が宿泊し、学習環境もつ場所を東京近郊に見つけるのが難しくなっている。また宿泊費や貸し切りバス代も高騰している。
第二に、生徒状況を把握しきれていないことである。新年度早々で担任も生徒を把握できていない。近年は食物アレルギーや発達障害をもつ生徒が多く、配慮が必要となっている。これらの対応が不十分なまま宿泊行事を実施することはリスクがあると感じている。
第三に、実施による効果に対する疑問である。入学後は各種オリエンテーションが続き生徒も教員もばたばたしている。落ち着いて学習についてレクチャーするならば校内で各教科担当が実施したほうが効果があるのではないだろうか。公立高校ゆえに教員の異動があり、学校の様子や方針を十分理解していない教員が教科担当者になる場合もある。
第四に教員の負担である。実施向けては3月に実地踏査、入学生徒が確定したところでクラス編成や各種準備をしながら、宿泊行事届の作成、実施要領の作成、学習計画の作成、参加教員との打ち合わせ等業務が多い。
新入生の担任は配慮すべきことも多く、緊張度も高い。入学式を含めてわずか数日間生徒と接しただけで宿泊行事を実施する負担はかなり重い。
また宿泊行事にともなう代休もなかなか取得しずらい環境もある。
これまで多くの宿泊行事を担当してきた。以前に比べ、宿泊行事には配慮すべき事項が増えたので、教員の負担も大きくなってきている。
宿泊でしか経験できないことはあるので、新入生の宿泊行事自体は否定しない。時期としてはせめて1ヶ月後以降にして、場所も都内または近隣県で移動の負担を減らすべきだと考える。また名称もフレッシュマンキャンプなどにして、学習だけでなく宿泊行事でしかできない内容をメインにするのも必要かもしれない。
前例通りに実施ではなく、行事の意義や教員の働き方改革も考慮にいれて、慎重に学校教育を進める必要を改めて感じている。
新入生担任団がイキイキと新入生と走り始めることを祈っている。