卒研サイトを100人の学生と共創した結果
Webディレクター・プランナーの平藤(へいとう)です。明星大学デザイン学部デザイン学科で非常勤講師をさせていただいている関係で、卒業研究報告展Webサイトのアドバイザーとして制作プロジェクトに参画させていただきました。コロナ禍の影響で、いままで大学のキャンパスでリアル開催(オンラインは未開催)されていた展覧会のオンライン化を学生100人と共にチャレンジをしてきた気づきをまとめました。
明星大学 デザイン学部 デザイン学科
第4回 卒業研究報告展
https://sotsuken.meide.jp/
公開期間:2021/1/24~3/31(プレゼン動画は1/31まで)
そもそも、明星大学デザイン学部デザイン学科では、毎年この時期に学生生活の学びの集大成として、報告展を実施してきました。前述したように、いままでは大学のキャンパス(日野市)で2日間開催され、インターネット上への情報掲載はごく限られたものでした。卒業報告展では、学生による
・研究報告書の展示
・学生によるプレゼンテーション
の2つを実施していることがこの学部の特徴でもありました。
※ 2018年の明星大学デザイン学部デザイン学科の卒業研究報告展の様子、学生別にブースを設けて研究報告書を展示している partner-web.jpより引用
※ 学生による研究報告書のプレゼンテーションの様子。当時は記録やライブ配信は実施していなかった(2018年)partner-web.jpより引用
そのため、この特徴を残してオンライン開催することで、学生たちの考えとしてまとまり、無事特設サイトが2021/1/24に公開されました。
※ 第四回 明星大学デザイン学部デザイン学科の卒業研究報告展の個人ページ。全学生の研究内容を閲覧することができる(2021年 足立達也氏)
※ プレゼン動画も視聴することができる(2021年 足立達也氏)
公開したページからは汲み取りにくいですが、実は学生の個人ページは、学生自らページを作成(流し込み)しています。プレゼン動画は、事前収録した(本来は大学キャンパスで収録予定だったところ、緊急事態宣言を受けて急遽リモート収録へ直前変更された)データを自ら編集し、Youtubeにアップロードしたものを貼り付けています。こうして特設サイトは学生主導で完成&公開されました。
過去の卒業報告展では学生による主体的な取り組みによって報告展が企画・運営されており、オンライン開催となった今回も私を含め、教員や指導員はあくまで学生のサポートに徹しているところが特殊なプロジェクトでした。ということで、100名の学生と共創したプロジェクトの中で私の取り組みを以下にまとめます。
声をすくい上げ、共有する
当たり前ですが、100人も学生がいると意見をまとめることが非常に困難です。しかし、人数が多いことでさまざまなアイデアや価値観を吟味できることが強みのひとつだと考えました。
特設サイトの制作にあたっては、Webサイトに詳しい学生もいれば、別分野が得意な学生もいます。ですので、学生の目線を合わせる意味合いで、卒研サイト事例を調査し、報告してもらいました。同時に、学生がどんな報告展を求めているのか?卒研に対して学生がどんなことを不安に思ってるのかなどをヒアリングするためにアンケートを実施しました。
こういったプロセスを経た後に、学生から特設サイトに関する提案をもらうことで、サイトの大枠が徐々に見え始めてきました。
不確定要素の洗い出し
関わる人数が多いことや、業務がセクター分けされた組織の中での複雑な承認フローであること、初めてのチャレンジであることなど故、早期に不確定要素を洗い出すように意識しました。
大学側の承認が必要な項目
・サーバー、ドメインなどのインフラ
・SNS、広報
・googleアカウント関連
・公開前の確認の範囲
・学長、学部長の原稿
学生による個人ページ作成
・投稿アカウントの管理
・投稿マニュアルの作成
・投稿手順
・担当教員による承認手順
公開ステータス別のタスク
・公開前(告知サイト、SNSディザー運用など)
・運用中(更新作業)
・公開終了後(終了後の処理)
以上のような項目をリスト化し、担当分けすることで確実にプロジェクト進行できる体制を整えました。
コミュニケーションを円滑にする
100人の学生は5つのチームに別れてプロジェクトを進行しました。なんとなくのチーム毎に役割分担されていたものの、いざ作業が発生するとどのチームが作業を担当するべきか判断できず、都度調整しながら進めていくことが求められました。また、チーム別の作業分担が曖昧な故、ステータスが把握しにくい状況でした。そのため、コミュニケーションを円滑にする必要がありました。5つのチームと役わり以下です。
マネジメントチーム
→卒業報告展全体の進行管理
ビジュアルチーム
→グラフィックデザイン、サイトデザイン、印刷物など
サイトコンテンツチーム
→サイトのインフラ、文章、コーディングなど
プレゼンチーム
→プレゼン動画の撮影、編集、公開の総括
広報チーム
→SNS運用、PV制作、広告出稿など
コミュニケーションツールとして、E-MailやLINEなどざまざまなツールが使用されていましたが、特設サイトの制作はチームを横断したコミュニケーションが必要だったためslackで統括し、各チームの動向を見える化することに努めました。また、各チームの担当者や、作業分担、ステータスが不明確だったためGoogleドキュメントを導入し、見える化しました。
円滑なデジタルコミュニケーションができる下地が整った後は、ステータスをアップデートしつつ、常時slackをウォッチし、作業が止まっていそうであれば促すような声がけ(応援)に徹しました。
まとめ
拙さを兼ね備えた特設サイトでありますが、100人の学生とその教職員が一体となってつくり上げたことが、効率やスピードを求められる企業サイト制作とは全く異なるプロジェクトとして、貴重な体験をすることができました。また、100人が企画を発表し、100人がプレゼンテーションしている卒研サイトにすることで、明星大学デザイン学部らしさの伝わるサイトになったと思います。
個人や集団の力を底上げしながら(しかもリモートで)プロジェクトを進行させていく場面は今後さらに求められる気がします。学生と教員の信頼関係、学生の力を引き出す力、大学の体制と文化を理解し、ネットやテクノロジーに精通していて、ファシリテーションできる人材の必要性も感じました。やり遂げた100人の学生はもちろん、サポーターに徹していただいた教員、指導員の方々へ大変感謝いたします。ありがとうございました。
※
サイト公開後、学生が企画し実現した明星デザイン公式インスタライブにもゲスト出演させていただきました。当日の様子は、IGTV(公開終了)でご覧いただけます。何事も学生(若手)主体で物事が進む事に刺激を受けつつ、若手がイキイキと活躍できる社会に希望を抱きました。
---
株式会社マルチプルは、創造力で組織を活性化させる、ディレクションカンパニーです。Webディレクター・プランナーに関してTwitterで情報発信しています! 平藤篤|MULTiPLE Inc. @hey2gm
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?