見出し画像

AAEE オンライン国際交流の挑戦(バングラデシュー日本学生交流プログラム(2)

大瀬 新企画「バングラデシュ・日本学生交流2020 (Bangladesh-Japan Exchange Project 2020」は今日で3日目ですね。序盤の展開はいかがだったでしょうか。AAEEのこれまでの対面型国際交流プログラムでは、隠れた問題点や混乱が表面化するのが3日目と言われてきましたが。オンラインの場合は何か違いなどありますか?」

一昨日のオープニングセレモニーは、オーガナイザーや参加者の努力のおかげで見事だった。自己紹介動画配信、それに続くアイスブレーキング活動。参加者、オーガナイザー皆が力を合わせて作り上げた感じがよかったね。儀礼的で単調になりがちなセレモニーを、オンラインならではの工夫を最大限に取り入れた。正に新時代のオープニングセレモニーと言えると思う。

大瀬 「事前研修の段階で、バングラデシュ学生たちのネットワーク環境の脆弱さが課題となっていましたが、そちらはいかがでしょうか。これはオンラインプログラムでの一番の懸念点になり得ると思います。」

事前研修後に何度かリハーサルを重ねた結果、個々の参加者が自身のネットワーク環境を把握し、最大限の改善をすることができた。おかげで、3日間、完璧とは言えずとも何とか予定通りにプログラムを進めることができている。もちろん、ネットワークが完璧とは言えないから、ネットが不安定のために欠席を余儀なくされたり、途中で急に接続が切れてしまうなどの問題が数名に起こっているがけどね。前回も話したけど、こちらとしては参加者のWi-fi環境が完全にダウンしたときのことまで想定して臨んでいるので、上出来と言える。

大瀬 「そして2, 3日目に行われた集中ディスカッション企画はいかがでしたか。プログラムを見せていただく限り、私だったらへとへとになってしまうような議論尽くしの毎日ですが。しかもオンライン。なかなか息抜きがしづらい環境ですよね。」

今回のプログラムの特徴の一つは、チームビルディング活動(いわゆる仲良くなる活動)を省略していること。今までのAAEEのプログラムでは最初の3日間くらいにチームビルディング活動が必ず組み込まれているよね。けれど、このプログラムでは2日目と3日目の今日、いきなり両国に関係するテーマについてグループに分かれて議論を繰り返した。3日目の今日だけでも8種類のテーマについて5時間に亘って議論・発表を繰り返した。テーマも「教育」、「貧困」、「ジェンダー問題」など、SDGsに関わる重要なものばかり。
正直に言うと、プログラム準備段階では「このプログラムは少しハードルが高すぎるかな」とアシスタントメンバーに指摘したんだ。しかし、「英語での議論型プログラムとはっきりと提示して学生募集すればそれに興味がある人が応募してくるので大丈夫です。」という学生アシスタントの声に従って募集を開始した。結果的には、学生たちが正しかったね。両国の学生共にかなり内容の濃い議論を英語で交わしていた。

大瀬「それにしても、出会った翌日、確固たる人間関係を確立していない状態でいきなり世界の深刻な問題について議論するなど可能なのでしょうか。まずは相手の身近なことを知り、少しずつ議論を広げていくというのがこれまでのAAEEのプログラムの手順だったと思うのですが。」

応募してきた学生たちは海外の学生と英語での議論を求めて参加している。プログラムの最初からその目的を果たすことで、まずは彼らのモチベーションを上げることが大事だ。参加したプログラムが自分の求めていた内容と違ったら当然モチベーションも下がってしまうでしょ?国際交流プログラムのみならず、いかなる活動においても、「まずは参加者のモチベーションを満たす」というのは鉄則だね。さらに、例年の半分の期間で同程度の成果を求めなければならない。強引な変更も余儀なくされたのも事実だ。

ただね、「わずか三日目にしてまるで随分前から親しい友人同士のようだ」と目を丸くして驚いている学生がいたんだけどね、正確に言えばそうではないんだ。話し合うテーマを具体的に与え、(必要に応じて)話し合う方法も伝え、さらに議論直後に発表を課したからこそ、不慣れな相手とでも何とか議論をすることができた。もし、具体的なテーマを与えずに「どうぞ30分、自由に話し合ってください」と言ったらどうだろう?初対面の日本人相手でも何を話したら良いかわからず、お互い心を開けない。特に、人間関係構築に時間のかかる人見知りタイプの人には拷問のような仕打ちになってしまうよね。それが、母語も違い、バックグラウンドが異なる人なら尚更だろう。

大瀬「『無茶ぶり』感満載に見えて、実はしっかりとした教育的配慮がなされているところがAAEEのプログラムのすごいところだと思います。だからこそ、プログラム後の自分の変化を感じたり、プログラムに特別な思いを抱いた参加者が、今度はアシスタントとして協力してくれるんですね。そのメンバーの数が年々増えてきていることは嬉しい限りです。特に、今年は中途半端なオンライン授業に飽き飽きしている学生が多いと聞きます。コロナウィルス により行動が制限された日頃のストレスをぶつけるように頑張っている姿が伺えます。」

議論後に続く発表も一日に何度も繰り返すでしょ。そうすると、回を重ねるごとに改善されていくのが面白い。オーガナイザーや僕が特に発表方法のアドバイスをしているわけではないよ。繰り返し伝えているのはただ1つ。「5分という発表時間を守ってください。」これだけ。
でも、これがなかなか難しい。整理整頓できていない発表はどうしても長くなってしまう。それで、ここからが大事なのだけど、彼らは発表を繰り返していく中で自分たちの発表の問題点を、他者に指摘されなくても発見していくんだ。現に今日の発表も1回目の発表と最後の発表では見違えていた。自ら発見する「気付き」は、人から指摘される受動的な学びの数十倍の学習効果を発揮する。

大瀬 「参加学生の皆さんは繰り返しの議論と発表を通して、学び、成長し、より良い議論・発表が作り上げられていくんですね。1日目の参加者と最終日の参加者がどのような成長を遂げ、変化していくのかとても楽しみですね!
いよいよ明日から本格的なリサーチが始まりますね。皆さんの準備はいかがでしょうか。」

プログラム開始3日目で準備ができたかどうかと聞かれると、自信を持って頷くことはできない。でも、とにかく一生懸命頑張っていることは断言できるね。こちらとしては、8日間のプログラムという与えられた条件の中で、皆が良いパフォーマンスを発揮できるようベストを尽くして準備するしか他にないよね。最終日に開催するLIVEイベントは、バングラデシュの英字新聞に掲載が決まっていて、現地の著名な教育者や政府関係者も臨席する。全国ネットのテレビ局も注目している。日本とバングラデシュの国際学生会議としてメディアの注目度が急に上がってきたために、イベントの最初に「両国の国歌斉唱がマスト」、などと言う話まで出てきていて・・・。
AAEEの学生オーガナイザーは、100%以上の力を尽くして頑張っていると言って良い。毎晩必死に頭を悩ませ検討を重ねているよ。成長著しいとはこのことだね。かなり消耗している様子が見受けられるけど(笑)、そこは若さで後6日間乗り切ってほしい。結果的に彼らにとって「コロナ禍の最高の思い出」となってほしいと願っている。

大瀬「やはり、AAEEがバングラデシュで活動すると大きな話になってしまうのですね。AAEEあるあるですが、日本国内以上に常に海外で注目の的ですね!でも、それだけ期待していただけることについてはオーガナイザーはプレッシャーに感じる反面、嬉しい気持ちになりますよね。本来2015年に開催するはずだったプログラム。6年間辛抱強く、忘れずに待っていてくださったことは本当にありがたいです。その気持ちに応えるためにもプログラム終了までオーガナイザー、参加学生の皆さんには楽しみながら頑張ってほしいです!先生も、このプログラムを盛り上げることによって、コロナ禍で残念な時間を過ごしている世界中の大学生たちにぜひ夢や希望を与えてください!私は引き続き陰ながら応援しています。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?