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パラセーリングで上空200メートルを飛んできました

先日、人生のはじめての経験をしてきました。

パラセーリングです。エメラルドグリーンの海の上でパラシュートをつけて船に引っ張られながら空を飛ぶ、あの夢のようなアクティビティです。

ただ、めちゃくちゃ楽しかったしいい経験だったのですが、その前後があまりに刺激的だったため、どうしても船を降りたときのテンションになってしまいます。今のうちに重ねて言っておきます、パラセーリングは、最高でした。

飛ぶ我ら

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沖縄に行ったのは数年ぶりで、主要な観光地は何度も行き着くしてしまった私にとって、この旅行はある意味ずっとビーチにいられるぜいたくな旅でした。

パラセーリングをしたいと思い立ったのは、ホテルのアクティビティでたまたま目にしたからでした。お馴染みのバナナボートやジェットスキーもあったけれど、200メートルの高さまで飛べるというパラセーリングの映像に、私も連れも大変そそられました。

もともとジェットコースターはとても好きです。高いところも全然怖くないし(ずっと展望台でバイトをしていました。)だから連れの誘いに、二つ返事でOKしました。

でも、それを聞いて私のことをあ〜〜とってもアクティブで外遊びとか好きなんだろうな〜って思われたかもしれません。ぜんっぜんなのです。アスレチックとか、サバゲーとか、あとはみんなでやるゲーム的なのとか、むしろ苦手かもしれません。

だからいつもだったら海だって泳がなくていいし、アクティビティーはあんまり時間のかからないもの1つでいいと思っていたはずなんです。でもその時はなんだかカラフルなパラシュートの写真に釘付けになってしまいました。

だって200メートルも空飛ぶなんて絶対楽しいもん。夢じゃないですか?シンプルに空を飛んでみたいんだが。

久々の沖縄で、きっと浮かれていたのかも


さてこのパラセーリング、なめていたのですがちゃんと同意書を取られるやつです。

よくバンジージャンプとかそういうので書くやつ。万が一死んじゃっても自己責任ですよってチェックボックスに印を入れて、署名をします。病歴や薬の服用なんかも確かめられて、かなり緊張したまま私は当日海の家の前に立っていました。部屋を出てから一度戻って、酔い止めを飲み直したほど。


「よろしくおねがいします〜」

ホテルから5分ほど車に揺られて、港まで連れて行かれます。真っ黒に日焼けしたおじいちゃんに貸し出しカメラの説明を受けたけれど、最初は何を言われているのか全然わからず焦りました。業者の人に渡したら写真を撮ってくれるってことらしい。沖縄の方言ってこんなに強いんだ。最後にはわかって一安心。

水着の上にすぐ脱げるワンピース。合流したカップ二組のカップルはそれぞれもうみんな水着に着替えていて、私たちも促されるままに小さな船に乗り込みます。この時が多分、私たちが1番元気だった時です。そしてはしゃぐカップルたちを見て、地元の海の男たちは、元気でいられるのも今のうちだとと思っていたに違いありません。

海を進むこと10分ほど

そうです、この小さな船は、都会っ子には信じられないくらい揺れました。こういうアクティビティーに参加したことがある人や、普段から釣りをする人はご存知かもしれませんが、小さな船ってものすごく酔います。

それに加えてこのパラセーリング船、猛スピードで沖まで向かうのです。エメラルドグリーンの美しい海を退けて、紺色のうねる波の中に突っ込んでいきます。ジェットスキーのでかい版みたいなスピードで波を砕くんです。

わ!!!!という男性の声がすぐ近くで聞こえます。自分も掴まりながら必死でそちらを向くと、60キロ以上もあるだろう男性が、スーパーボールみたいに座席から弾き飛ばされていました。本当に笑っちゃうくらい、弾むは揺れるわ。口を開けると砕けた波がもろに入ってくることもありました。

「もうこれで充分やわ〜〜〜〜帰りましょ〜〜〜と叫んでいた関西のお姉さんは、帰り道には船から顔を突き出していました。

そんな風に揺れる船の中で、所持品も全て回収された私たちは、真っ黒に焼けた海の男たち人の言うがまま、体に金具を取り付けられていました。言葉にするとおどろおどろしいですか、信じられないほどの的確さと手際の良さで、彼らは数秒間も立っていられない私たちに、素早くアドバイスをしました。

3組中私たちはなんと1番手。見本も何もなく、でも不安を感じる暇もなくその時が来ました。吹っ飛ばされそうな甲板の上から、お尻を床につけたままズルズル後ろに下がります、そして気づけば開いたパラシュートと繋がれていました。

「はい、いくよお!」

ぶわっと後ろの空気が膨らんで、目の前のロープがするすると伸びていきます。カメラを向けられたから必死で笑顔を作ったけれど、それどころじゃなく風が吹いていました。

特に揺れもせず、後ろ向きに体が登っていく感じ。ふわふわ漂うんじゃなくって、エスカレーターで上へと向かっているみたいです。気づけば船が遠ざかって揺れる小さなおもちゃみたいでした。海はただ一面に、塊みたいに広がっていて、これは落ちたら死んじゃうよと他人事のように思ってみます。

こんなふうに船から離れます

けれど同時に驚きます。あの信じられないほど激しく揺れた船とは裏腹に、パラシュートがとっても安定していること。

「もうこのまま空飛んで港まで引き返そうよ〜〜〜。」「もう船戻りたくないよ〜〜〜」

私と連れはそんなふうに言ってのんびりと空を楽しんでいました。空を飛ぶのは不思議な気分で、私は空を飛んだのは初めてなのに、ただ景色を見に来たかのような安心感がありました。

パラシュートってもっとふわふわするものかと思っていたけど、ぐっと引っ張られるように大きな力が働いて、ぷかぷか浮いているのとは全然違う気持ちなのです。展望台に登ったのかな?ってくらいの落ち着き。でも、足元から何から全部が青で、感じたことのない開放感もあります。

想像よりずっと長い時間を、空の上で過ごして、200メートルよりもっと高く飛ばされてもいいな〜なんて思いながら、ゆっくりと船と引き戻されました。最後船に戻るときには、一度ぽちゃんと海に落ちて、その後ふわりと引き上げられました。

空から帰還した私たちはすっかり元気になっていて、残り2組が消耗していることに驚きました。ここより、空のほうが全然楽ですよ!!!そんなふうに関西のお姉さんを送り出したのを覚えています。

でも、そこまで。そこからの二組分、私たちは遠くを見つめる人形と化していました。先に連れの顔色が悪くなり、舵取りをする海の男のひとりに、「酔い始めてます〜」と言っていました。

「近くを見るな!遠くの景色を見ろ」その言葉だけを頼りに、必死に遠くの山を見つめます。すごいな〜山って揺れないんだ〜と、その時の私は真剣に思っていました。

爆音で洋楽のヒップホップが流れる船内、酔っているカップル、遠くを一心に見つめるカップル、動じない海の男たち、飛ばされるカップル。3組目が終わったときには、ようやく海から帰れると言う安堵と、港までもつのかと言う不安がせめぎ合っていました。

そんな私たちとは関係なく降り注ぐ太陽
前日まで雨予報にはらはらしてたのが嘘みたい。

何とか私たちは持ち直し、帰りも激しい波と、音楽と、潮風を楽しめました。3組目の1番おとなしそうに見えたご夫婦は、釣りが趣味だとか言うことでほぼ酔っておらず、特に穏やかなご主人は終始お地蔵さんのように微笑んでいました。シンプルにすげえ。

パラセーリング中の写真を撮ってくれた時、プロの仕事にまたしても驚きます。私たちがこんなにベロベロになっている中、人間を支えながら写真まで撮ってそれを1日に何遍を繰り返す。

「あれはできないよ〜〜ほんとすごいや。」

帰り道に連れと一番話題になったのはそのことでした。

ざ!海の男!という風貌の彼ら。
本当にすごかった。ありがとうございました!!


その日は連れも私も疲れ切り、いつもより2時間も早く寝ました。けれども200メートルも空を飛んだこと、そこから見える景色が良い世の中を買ったこと言いようもなく青かったこと、パラシュートが開くと赤や橙や黄色に気持ちが明るく照らされたこと。私の中に焼き付いた急が映像が、一生に1度の経験をしたんだと改めて教えてくれました。

何より、そんじょそこらのアクティビティでは満足できないくらい、パラセーリングには全てが詰まっていました。あのスピードも高揚感も高揚感も、他のものでは味わえなかったと思います。久しぶりに冒険したって感じ。

「次はパラグライダーがやってみたいなー。」

ホテルまでに帰り道に思わずそう言ったら、連れに笑われました。だってまた、空を飛びたいじゃないですか。ねえ。



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mayu
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