ジャニーズファンだけでなく、多くの人に観てもらいたい秀作「チョコレートドーナツ」
「チョコレートドーナツ」
原作:ドラヴィス・ファイン、ジョージ・アーサー・ブルーム
(ドラヴィス・ファイン監督映画「チョコレートドーナツ(原題:ANY DAY NOW」より)
翻案・脚本・演出:宮本亞門
訳詞:及川眠子
出演:東山紀之、岡本圭人、鎗田雄大、山西惇、高畑淳子 ほか
観劇日:2023年10月17日(火曜)18:00~
劇場:PARCO劇場
同名映画の舞台化で、演出は宮本亞門さん。日本を代表する演出家のお一人ですが、僕はこれまでに観る機会がなく、本作は初めてでした。
ゲイのカップルがダウン症の子どもを育てることになって……というあらすじは事前に読んでいたのですが、結末は知らずに観たので、悲しい結末にショックを受けて、泣かされてしまいました。でも、悲しいだけではなく、少しだけ救いも感じられる作品。そして、マイノリティに対する差別の過去と現在、そして未来を考えさせてくれる作品でもありました。
主演は、今なにかと大変そうな東山紀之さん。これが最後の舞台になるようで、残念です。この世代で。歌えて、踊れて、見栄えも良くて、という役者さん、そんなにいないような気がします。
相手役の岡本圭人さんの舞台を見るのは二度目でしたが、着実に成長されていますね。ちょっと無骨で、感情が伝わる演技、すごくよかった。むしろ、これ以上うまくならないでほしいと思ったりもしました。実際には舞台経験を重ねるほどにうまくなっていくのでしょうが、テクニックよりも人間味が目立つ役者さんでいてほしいなぁということ。
ダウン症のマルコ役は、オーディションで選ばれたダウン症の子ども(トリプルキャスト)が演じているのですが、本当に素晴らしかったです。おそらく、観ている誰もが愛おしく思えたのではないかと。そして、彼の存在が、ほかの役者さんたちにも良い刺激を与えて、温かい座組みになっていたのではないかと。
出演陣で唯一残念だったのは高畑淳子さん。裁判官の役でしたが、熱演するほどにリアリティに欠けて、ちょっと合わなかったかなぁ。
カーテンコールは4回。ほぼ観客全員のスタンディングオベーション。舞台上のみなさん(音楽家を含む)が、いい顔をされていました。