椋鳥 ヒロコ

数年前tokyoから地方に移住した  性別 女性   無職

椋鳥 ヒロコ

数年前tokyoから地方に移住した  性別 女性   無職

最近の記事

田舎はそんなにいいところじゃない #2 その6

#2 木を切る人々 ⑥  ただ腰を落ち着けて木をみる 地面から太い幹 上へ視線を移して 太い枝から細い枝へ 何本もの枝を目でたどる 枝の先まで目でなぞる。葉のある季節なら緑を視界いっぱいに吸収する 風が吹いて葉擦れの音を聞く 自然のものの豪華さや惜しまない豊かさを感じとる 心が落ちつく。自分の頭上が緑の葉でおおわれているのはここちのよいものだ。街を歩いても木があれば自然に視線が向いて樹を愛でる TOKYOではそれはふつうのことだった。  イナカに゙移住したら この地では周

    • 田舎はそんなにいいところじゃない #10

      #10 イナカのスーパー  所詮 わたしたちはスーパーの奴隷になって生きるしか他に術はないのだから見切り品というのは有り難いものだ。  TOKYOではもちろん元の品物の種類が豊富だし 多種のスーパー 小売店が限りなく存在しているわけで 流動性が高いので見切り品もバリエーションがあってそれぞれの店で特徴もあるし 見切り品を漁るのは楽しい娯楽のひとつだった。  今住んでるところは人口がチョー少ない廃墟のような県でありゴーストタウンのような市だが こんなところでもいくつかの種類

      ¥100
      • 田舎はそんなにいいところじゃない #9

        #9 イナカの日射しは殺人光線  ここの日射しってばちょーキビシイ 夏の西日ときたらピンポイントで急所を狙われる殺人ビームのようだ。このイナカに移り住んで数年 天気がいいとうんざりする。  何故これほどにものすごい日射しなのか TOKYOより西にあるせいなのか空気の澄み方のせいなのか。TOKYOだって夏はもちろん日射しはキツかったはずだがこれほどのキョーレツな感じは味わったことがない。ここでは街路樹の扱いがトカイと違うので心地よい木陰を体験できないことが常態だし 日射しを遮

        ¥100
        • 田舎はそんなにいいところじゃない #8 その2

          #8 イナカのプール事情 ②  イナカにはbgプールってやつがアル。そのひとつだが 入ってみるとロッカーとか割とまともだし入る前のシャワーなんかも許容できるものだが入ってみるとビニールハウスだった。プールの上を巨大なビニールの屋根が覆っている 巨大な換気扇がついている。泳ぎ始めるとしかしビニール臭い 息継ぎに水上にカオを出すたびに臭い匂いの空気を吸い込まねばならず やりにくいので換気扇をかけてもらったら割とラクになった。が2度めに行ったら入れてくれなかった。換気扇はつけられ

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #8 その1

          #8 イナカのプール事情 ①  私は泳ぐのがスキだ 大人になってから泳ぎはじめた。つまりTOKYOにいる間に泳げるようになった。あるときイキナリ泳ぎたくなって教えてくれるところを探した。TOKYOならもちろんいくつもそれらしいプールがあるのは知っているが 費用も抑えたいし手軽な場所を探してN区の体育館に問い合わせたら電話に出たおばさんはとても親切にいろんなことを教えてくれたかなり助かった。  こんな体育館の対応にしろその後の私のスイエー生活のことを思い起こすと泳ぎたくなっ

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #8 その1

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #7

          #7 イナカの図書館  とりあえず利用できる図書館は2つ3つあるが ここの本はページが白いTOKYOではベストセラーなんか 読みたい人が多いので同じ本が2.3冊並んでいてページは真っ黒だし 大体の本がページは薄黒くなって疲弊している。入ったばかりの本だけが明らかに新品とわかる。が ここでは書架に並んでいる本のページは白くてピンピンして新鮮な姿だ。新品という価値観よりも 誰も触らない悲しみを表現した姿に見える。                              申請し

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #7

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #6

          #6 無人駅  自分の最寄り駅は今や無人駅だ。TOKYOでは自動改札だった 定期とかスイカとか差し込んで3歩くらい歩いてさっと取るやつだ。  無人駅では一応ホーム(っつーか)に小屋みたいなやつあって 中に小さい自動券売機が設置されている。来たばかりの頃はエキ周辺に若い奴らがたむろっていたり 小屋を占拠してスマホで洋楽流したりしていた。その小屋の入り口のガラス窓が壊れてたことあって 風の強い日に行ったらガラスのない窓の空白部に透明ガサ突っ張って風を防いで若い連中が立てこもっ

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #6

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #5

          #5 ENCANTADA イノシシ  住み慣れたTOKYOの地ではドーブツをよく見かけたものだ。 もちろん街の中では ノラネコはウロウロしているし カラスやら鳩の群れはフツーだしアライグマ ハクビシン タヌキを目撃したり 公園ではたくさんの 種類も豊富な飼い犬を見ることができたし 土と木がたくさんあるので野鳥もいろんな種類がやって来る。 イキイキした自然の楽しげな感じが身近な生活の中にあったものだが このイナカに来ては 人間は過疎だしノラネコは全く見られない 街全体が死んで

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #5

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #4

          #4 イナカに公園はない  TOKYOでは公園のベンチに座って美しい木々を見てくつろぐのが習慣だった。他の人々もそれぞれのやり方で公園を利用しているから自分もそこにいられた。のんびり自由にしている人々を見ていれば自分もくつろげた。田舎にもそんな環境があるんだろうと思いこんでいた。なにしろ自然がいっぱいなんだし 田舎ってのんびりできるところなんだろ?  手始めに立ち寄った小さい公園でベンチに座っていたら 子供を遊ばせてる若い母親からまともに睨みつけられた。明らかな敵意を示さ

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #4

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #3

          #3 イナカ散歩  ここに来たばかりの頃 田んぼの広がる景色の中の あぜ道や人家の固まっているあたりを物珍しく歩き回ったものだが トイレがないのは困った。  TOKYOでは なんらかの公共の建物があれば なんの摩擦もなくトイレ借りられるし 公園には必ず公衆トイレあるし 不便を感じることなく 知らない街でも時間を気にせずプラプラできたものだが。  例えば このイナカの公園にはトイレはない。あってもちょーきたないとか壊れてるとかだ 便器が壊れてる 戸が壊れてる そーいうやつ

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #3

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その5

          #2 木を切る人々 ⑤  生きている限り季節は巡る 寒い間は葉を落とした冬木立も美しかったが時期が来れば芽を吹いて 新緑の季節 緑の葉の色もいっせいに変わって 新しい美しさを120%感受できる幸福感にあふれた季節だ しばらくは豊かな緑を見て過ごせる。 が。 これはTOKYOでのハナシ。  このイナカでも新緑となった時期には スパスパと切られた枝も茂った葉が隠してくれて それまでよりは目を向けられる状態になった。ストレスも少しは緩和された。    来たばかりの頃 てっぺんを

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その5

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その4

          #2 木を切る人々 ④  TOKYOで私が住んでいた街には美しい欅の街路樹があった。どんな季節でも美しかった。時々は剪定の光景に会ったものだが それはとても慎重にやっていた。リフト車に乗って上で剪定する人 下で通行人に気を配る人。 そんなところを通ると 切り取った細ーい枝がうず高く積み上げられた山ができていた。ほそーい枝ばかりだったと記憶している。                 TOKYOの センスや知恵のある人たちのやることは信頼できた。ここのように太い枝を何本も切り取

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その4

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その3

          #2 木を切る人々 ③  TOKYOでは 目に麗しい緑と優しい木陰に慣れていた。整ったTOKYOの環境に慣れてしまった感覚には ここのヒトたちの 木に関しての杜撰なやり方はキツイ。毎日町なかでヒトの蛮行を見せられ続けている感じだ。優しさやホスピタリティの感覚を否定されている感じがする。出歩けば 必ず 何度も 新しい 心の傷つくオブジェを見せられてしまう。出口があったら こんな環境からは猛ダッシュで逃げ出したい。  TOKYOの並木や公園の風景を思い浮かべると それはこうい

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その3

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2  その2

          #2 木を切る人々 ②  ここに来てしばらくは 木の傍でくつろげるところを探していた。TOKYOではそれが習慣になっていたからこんなはずはないだろうという感覚があった。ここが前いたところとは全く違う異世界だということが なかなかわからなかった。田舎に来てそんな場所が見つからないとは想像してなかった。  そして 度々こんな経験をした。  散歩していて 木がもこもこっと森みたいになっているところに入ってみると 必ず「ハカ」という経験だ。墓地 神社 古墳では木は切除いたり強剪

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2  その2

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その1

          #2 木を切る人々 ①  ここに来て2年ほどたった年末に 生活圏の中にある大きな木が切られた。高さ10メートルはある大木が道路脇に3本あったが 最初に2本 すぐに残りの1本も切られた。全部 根元から切り除かれた。さいごの1本のときは 割と近くにいて ノコの音が聞こえたので行ってみた。心の中はイキドオリでいっぱいだった。  現場に着くとトラックが止まっており 業者の人たちが木の上にたかっているのが見えた。 どうやら枝を切り落としているようだ。そこにいた若い男に 何故木を切る

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #2 その1

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #1

          #1 イナカは暗い TOKYOからこのイナカに移り住んで7年 愕然とする違いがある。 田舎は自然がいっぱいで ヒトも素朴な善人ばかりだと思いこんでる人たちに 私の視点で切り取ったイナカの現実をお見せしましょう。  来た当初は夜になると真っ暗だった。TOKYOでは住宅地の道を歩くのに外灯の存在を気にしたことはなかったが。 例えばここでは 最寄りの無人駅からイエまでの道に ろくに明るいところがない。 電柱はあっても電気は取り付けてない!。そりゃー真っ暗やわ。TOKYOのように

          ¥100

          田舎はそんなにいいところじゃない #1

          ¥100