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涙の中にかすかな灯りがともったら


何が起きたか、分からなかった

魅せられてしまった、演芸舞台の空間と人の為す技の迫力に

大好きでというから次の機会、是非行ってみたいと約束し

暖簾をくぐった、昨年夏の思い出を懐古する


涙の粒がぽろり…と、驚きと

感動のあまり、溢れていた

滲む目に「揺さぶられてますね」と右隣にいる君が言った


肩を右側にぴとりとくっつけて、私は心を委ねていいサインを出しつつ


凄みのある世界に触れたなと思った


華麗な世界に触れたなと思った


仲入りは一緒に行動して売店を覗き、何かを買った君と席に戻る

鮮やかな芸を目前に、圧倒されていた

輝きが胸を焼き付けると同時に

理性じゃないところが反応していた


我慢していたのか、徹夜明けの眠気に時折コックリコックリと頭が下がりつつ落し所で笑い声を出している君


東京かわら版を不意に渡され手に広げると 君の頬が右から近付いてきて私に語り掛ける


もうずっと、この距離のまんまがいいな…と思った


連れて行ってくれたことで、念願の体験も叶ったし…それ以上の幸福感を感じていた



楽しそうな君の笑顔が印象的だった


落語の中でも噺家さんが、「雰囲気いい感じのカップル」って、その日の客席の様子をあたたかく拾っていた




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