【宗教2世ごろごろケア日記11】ハガネちゃんと語る”家族は土台”の話
この「武庫川散歩」さんのnoteは、当初個人ブログ「悟るヒント」のスピンオフとして始まったので、基本的にむこがわさんの考え方というか、思考パターンは「悟るヒント」のほうに2014年ごろから書いている。
「むこがわさん、面白いわ〜。」
という奇特な人は、ぜひ「悟るヒント」もよろしく。
この旧ブログの一番の人気者はなんといっても「ハガネちゃん」だ。ハガネちゃんは、「鋼のようなヨロイを身にまとった美少女」だったのだが、もうすっかりお姉さんになってしまい、誰もが知ってる都会の大企業に勤めながら、新婚さんにもなっている。
むこがわさんはハガネちゃんが高校生の時から師匠なので、就職し、結婚し、幸せいっぱいのハガネちゃんを、うっかり「卒業生」扱いしたところ、
ドチャクソ叱られた!!!!
のが一昨日のお話である。
「おまえは間違っている!おまえはあたしを卒業生扱いしただろう!まてまてまてい!noteもツイッターも全部見とるわボケ!」
と叱られたのである。
そりゃあ、就職して結婚もして、コロナで遅れた結婚式もやって、幸せいっぱい夢いっぱいな女性がいるとして、「よかったね。今からは新しい家庭を築いて頑張ってね!」と、つい言ってしまうじゃあないですか?
誰でもつい、そんなことを口走ってしまうと思うけれど、「それがすでに間違っている」のだそうだ。
話を戻せば、個人情報に関わるのでアレだが、ハガネちゃんは、ある程度機能不全っぽい家庭に育っていて、若かりしころは自分の境遇にたいへん悩んだり苦しんだりした。
なので、まだ若いむこがわさんと、むこがわ家で彼女をサポートして、あれこれ世話を焼いたことがあるのだ。なんと言ってもうちの長男が赤ちゃんの頃からだから、もう十数年前からのお付き合いである。その間、なんどもうちに出家(笑)してきたこともあるので、旧ブログでは「出家女子のハガネちゃん」というキャラで定着している。
ちなみに、ハガネちゃんは宗教2世である。というのも、おかんがどこかの某宗教に入信しているらしいからなのだが、ハガネちゃんがそれを知ったのはかなり後になってからなので、自分が「宗教2世」であるという自認はない。でも、資格はあるので、ここで取り上げるに値する。
その後、ハガネちゃんは関西の大学に進学し、うちに近くなったので、その頃もよく一緒に過ごした。つまり、ハガネちゃんにとっては、むこがわ家は「第二の家庭、第二のふるさと」という機能を果たしていたのである。
さて、では新婚さんいらっしゃい!なハガネちゃんは、なぜ卒業生ではないのか?
それを示す図を、ハガネちゃんはLINEで描いてよこしてきた。っていうか何枚も送りつけてきた。
「よく見ろ!ボケ!カス!」と。
もともとの図は、ハガネちゃんの手描きなのだが、むこがわさんが適宜修正している。
人は生きていると「不安定な沼」に落ちやすい。落とし穴みたいなのは、誰にも待ち構えている。
そんなときに「普通の家族と安心できる実家」があれば、土台が太い。安定性している。もちろん「経済的に太い」なんて要素もあるだろうが、とりあえずは「心の安定」に注目するだけでもいいだろう。
その上に「成長する上での成功体験の積み重ね」とか「充実した学生生活や仕事」が来て、「結婚による新しい家族」が新たな基盤となるわけだ。
さらにその上に、簡単に言えば「未来」が乗っかっているという図だ。
ところが、機能不全家族だと、足が細かったり、アンバランスだったりする。当然成長して上のほうに育ってゆくときにも問題が生じるが、大人になっても「土台」の部分が不安定なので、ちょっとしたことで全体が傾くのである。
あるいはズブズブと沼に向かって沈んでゆく。なにせ土台が細いのがマズいのである。
恐ろしいことに、「結婚して新しい家族」ができたとしても、その家族は安定していると思っていてもダメなのだ。
何といっても自分が育ってきた実家のバランスが崩れているので、土台全体がないに等しいわけだ。
だから、仮に「いくら新しい家族や愛する夫や妻、こどもたち」に恵まれたとしても、根っこの部分でずっと不安や「不安定さ」がつきまとうのである。
けれども、次の図をどうぞ。
ハガネちゃんにとって、「むこがわ家」というのは、現実の実家を補完するような「第二の実家」なので、親類でも縁者でもない「第三者」なのだが、そこに親子間の「無償の愛」の代替があれば、「実家の代わり」として充分に機能する。
結果として、ハガネちゃんの人生は安定して先へ進めるわけだ。
ところが!!!
ここから「むこがわ家」のサポートを取り除いたらどうなるだろうか?
「いやー卒業して良かったね!」
と送り出してしまうと、片足の土台の部分がすっぽ抜ける。あとは不安定な元の実家だけが取り残される。つまり、元に戻ってしまうのである!!!
なので、ハガネちゃんにとっては、「新たな幸せは送り出されるもの」ではない。「ずっと安心が保証されるもの」でなくてはならないというのである。
むこがわ家全体を箱推し!しているというハガネちゃんにとっては、新しい家族があろうとも、心のどこかでずっと抱いている原風景の一部になっているということなんだろうな。
師匠は泣きました。
めっちゃ嬉しかった。そう思っていただければ、師匠冥利につきると言うものだ。
「わかる?むこがわ家がなくなってしまうかもしれない、っていうパニック状態!!!」
「・・・わかる」
「あたしはグレてるんじゃないのだ!土台がまるごと失われる怖さにおののいているのだ!!!わかったか!」
「・・・わかりました」
とまあ、そういうやり取りがあり、「卒業生扱いはしない」ということと、「安定したむこがわ家をちゃんと守ってゆく」ということを約束した次第である。
一人で生きてゆく方がいいのか、それとも土台を感じながら生きてゆく方がいいのか。
そんなの、結論は決まりきっていると思う。
そういう生き方をぼくらは望んできたんだから。
(つづく)
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