記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

『魔女見習いをさがして』感想①~どれみ世代の終わらない物語~


『おジャ魔女どれみ』20周年記念映画『魔女見習いをさがして』がおよそ半年間の延期を経て遂に公開。『おジャ魔女』の主人公であるどれみ達と同じ1990年生まれ。《世代》どころか《同期の桜》である自分に刺さらないハズがない!ということで早速ドッカ~ン!と観賞後の感想を書いていこうと思う。

※そこそこネタバレがありますので、未鑑賞の方はご注意下さい。

『どれみ』の世界と現実の世界

冒頭から早速『おジャ魔女どれみ』メインキャラクター・春風どれみ、藤原はづき、妹尾あいこ、瀬川おんぷ、飛鳥ももこが登場。約20年前と何ら変わらないやり取り、アバンタイトルのBGM、第1話を思わせる、とある街の遠景と綿毛…。


『あぁ、どれみだ…』と一気にノスタルジーの積み上げ。心が子どもの頃にタイムスリップし始め、『そろそろ来るぞ…』と身構える。日曜朝のボンヤリを吹き飛ばす元気なイントロを携えた名オープニング曲【おジャ魔女カーニバル!!】が!!


『ジャカジャカジャーン!!』



『…あれ…??…おジャ魔女カーニバルだけど…あれ…?』

オープニングは事前に予告されていた通り【おジャ魔女カーニバル!!】だった。だったけど、原曲のまさにカーニバルなバージョンではなく、ミディアムテンポのスローバージョン。公開されていた予告では全て原曲が使われていたので、全くの予想外。


『そっか、もう大人だからこういう感じになるんだ…』

理解はしたけれど、少し淋しい。10代だったアイドルが大人になって過去の曲をジャズアレンジとかバラードに変えて歌うあの感じ。また歌ってくれてすごく嬉しいけど、あの頃とは違うんだなぁとなんかちょっと淋しくなる…。

※11/20追記 冒頭6分間がyoutubeにて公開されました!上記の感覚をお家でもぜひ!


そのまま物語は今回の主人公である、長瀬ソラ、吉月ミレ、川谷レイカのパートへ。それぞれの悩みや事情は非常にリアリティーがあり、まるで日曜朝8:30のアニメから火曜22:00のドラマへとチャンネルが切り替わった様だった。
この辺で『あれ?どれみを観に来たんだよね??』と不思議な感じになる。それくらい【どれみ】は登場しない。架空の美空町ではなく、現実の東京、愛知、広島に住む女性達の物語なんだと改めて実感した。それでも彼女達の表情や動き、アレンジされた【どれみ】のBGMが流れる度に『どれみだ!』と思わせてくれる。憎いぜ!!

同世代あるある、そして【どれみ】あるある

物語は現実世界のものである、と認識を改めた所で、物語は3人の交流とそれぞれの問題にクローズアップ。《火曜22:00のドラマ》と表現したけれど、ドラマよりもも~っと!日常的で、同世代なら1度はこういう事悩んだなぁという問題を3人とも抱えている。『あー、こういう上司いるよなー』とか『こういうちょっとした事でも落ち込んじゃうよねー』とか『こんなダメ男とは別れるべきだって分かってるけどまぁ無理なんだろうなー』とか。
良く言えばリアル、悪く言えば地味。でも、それが【どれみ】の世界観。《魔女見習いである》という点を除けば家族の事、友達の事、学校の事、体の事…。小学生のリアルな日常を描いたアニメなので、この物語もやはり観客=どれみ世代のリアルな日常を描いているのである。

ではどれみ達には《魔女見習いである》という+αが合った様にソラ達には何か+されているのか。それは《全員おジャ魔女どれみを見ていた》という事である。
【どれみ】の中で魔法雑貨や花、お菓子を販売していたショップ【MAHO堂】。そのモデルとなった洋館を求める中で3人は出会い、交流を深める。それぞれが好きなキャラクターを語ったり、共通の持ち物が放送当時販売されていた玩具の【魔法玉】だったり、どれみの名ゼリフ『私って世界一不幸な美少女だぁ~』『プップのプー!』が会話の中で当たり前に飛び出したりする。出会うまで日々悶々としていた3人が交流をきっかけに【どれみ】の様に、と動き、変わっていく。
普通の小学生だったどれみ達が【魔女見習い】になったおかげでちょっとだけ特別な存在になった様に、普通の20代だったソラ達も【どれみ】のおかげで、それぞれの毎日がちょっとだけ特別になったのである。
それは観客側も同じで、《おジャ魔女どれみ》を見ていたからこそ、同世代のリアルな日常ドラマが、ちょっと特別な物語に見えてくる。
もちろん【どれみ】を知らなくても十分に楽しめる様になっているのだけど、知っているかいないかでこの物語の見方が大きく変わる。身近に【どれみ】を知らない人がいたら、あえてそのままで一緒に劇場へ足を運んで貰いたい。もしかしたらその人は『ふーん』という感想で終わるかもしれない。でも【どれみ】を知っている人は何故か涙を流している。『なんで泣いているの?』と聞かれたら、『それは、ナ・イ・ショ!』と伝えよう。魔女ガエルになるといけないから。そして【おジャ魔女どれみ】の視聴を薦めよう。ネット配信のおかげで現代なら視聴も容易。次はその人も泣きながら劇場を後にする事になるかも!?

終わらない物語

序盤でソラは《進路》ミレは《仕事》レイカは《彼氏》についてそれぞれ悩んでいた。これを最後までひっぱるかと思いきや、案外中盤でほとんど解決。終盤では少し前進した3人の事が描かれる。特に、これまた【どれみ】を通じて知り合った大学生・大宮に恋をしたソラの勇気ある行動は、約90分の物語の中で大きく成長した事を感じさせる。

そして『さぁ、これで万事解決!夢も叶えてハッピーエンド!』とならないのが【どれみ】。
最後にミレはカフェ【MAHO堂】をOPEN。3人揃って新たなスタートを切った所で物語は終了する。その後3人はどうなったのかまでは描かれない。というか、それは未来の事だから描けるハズがない。
ソラ達も自分達も、《どれみ世代》の人生はまだまだこれから。物語は終わらないのだ。


エンディング曲は長らく伏せられていたが、この予告で『終わらない物語』であると発表。原曲は第3期【も~っと!おジャ魔女どれみ】の挿入歌。オープニング、エンディング含め名曲揃いの【どれみ】曲の中でまさかの大抜擢。でも観賞後はまさにこの曲!としか思えない。そして歌っているのは瀬川おんぷ。どれみでもMAHO堂メンバー全員でもソラ達でもない、おんぷちゃんのソロナンバー。
でも【どれみ】を知っているなら、例え他のキャラクターが好きであっても絶対に文句が出ないだろう。歌といえばおんぷちゃんだから。
尚、曲中の台詞のみどれみが担当。これも誰もが納得するハズ。『みんな 大好き』『みんな 友達』という台詞はどれみちゃん一択!

でもやっぱり大きな声でピリカピリララ!

どれみ世代は皆大人になり、魔法は使えないし、空は飛べない事を知る。でもやっぱり、心のどこかで『魔法を使えたらなぁ、どれみちゃんに会いたいなぁ』と思っている。だからこそわざわざ劇場まで足を運び、お金を払って映画を観ているのである。どれみ本編の様な魔法が飛び出す物語と思いきや、描かれるのはあるある過ぎるリアルな日常。次第にソラ達とシンクロし、ラストに新しいスタートを切った3人を見て、『自分も頑張ろう』と鼓舞する。
ストーリーには満足だけど『もうちょっとどれみ達に会いたかったなぁ』と思った最後の最後。ミレのMAHO堂に見覚えのある影が…。ドアを開けるとそこにはどれみ、はづき、あいこ、おんぷ、ももこ、ぽっぷが居る!

『ホントに会えた!!』

まさに【♭した気持ちも# に!】状態。この辺りはソラ達とシンクロしているので本当に会えた様に感じられた。そしてそこに現れたのは、子どもの頃のソラ、ミレ、レイカ。色んな夢を抱いていたあの頃の自分達。みんなで夢を語っているとマジョリカにどやされてしまう。アニメでよく見た光景だ。ドアの向こうに駆けていったどれみ達を追うと、そこには箒にまたがり空を飛ぶ皆の姿。そして、2回目の『おジャ魔女カーニバル!!』が流れる。
今度はスローテンポではなく、原曲通り賑やかなテンションの、あのバージョン。

『どっきり どっきり DONDON!! 不思議なチカラがわいたら どーしよ??』

『(どーする!!!?)』

やっぱりこれが見たかった。これが聴きたかった。

鑑賞前に【おジャ魔女カーニバル!!で号泣】という感想を見たけど、オープニングの方では全然そんな感じがしなかったので不思議だったが、ここでようやく【(2回目の)おジャ魔女カーニバル!!で号泣】という意味だった事を理解した。原曲に忠実とは言え【(魔女見習いをさがして Version)】として新たに収録、アレンジがされている。世が世なら『どーする!?』も『大きな声でピリカピリララ』も皆で叫べたかもしれない。オープニングでは大人になった事を実感し淋しくなったが、大人になっても魔法の呪文を叫んで良いんだよ!って事をここで再確認出来た。

自分の魔法

終盤、レイカは自分達も魔法が使えるとソラやミレに話した。レイカは『絵が描ける魔法』ソラは『じっくり考えられる魔法』ミレは『行動力の魔法』らしい。
これにはなるほど!と思った。その人にとっては何でもない事も、出来ない人間にとってはまるで魔法に見える。自分もバスケでスイスイゴールを決める人を見ては、ボールに魔法かけてんのかと思ったり、難しい作業を短時間で終わらせる人を見ればこっそり魔法使ってんじゃないか?と思ったりしていた。レイカ、ソラ、ミレのソレは出来ない自分にとって、やはり魔法だ。
じゃあ、自分にとってそれは何なんだろう?他の人から魔法みたいに見える様な物を持っているんだろうか。正直、自分では分からない。
これはぜひ、どれみ世代の人に聞いてみたいと思う。【友達の良いところを見つけられる】のは【どれみ】から学んだ事。そして代わりに他の人の持つ魔法を見付けてあげたい。こんな良い所があるんだよ!って見付けて、伝えてあげられる人になりたい。まだ魔法は分からないけど、最後はやっぱり叫びたい!

ピーリカピリララポポリナペーペルト!
ハッピー ラッキー みんなにとーどけ!

長くなっちゃったので、②へ続く…。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?