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正欲

多数派であり職業柄という立場から常に自分の持つ正しさを信じて疑わない検察官は世間一般のレールから外れる不登校YouTuber志願の息子とそれに寄り添う母親にやきもき。 兄の秘密を知ったことがトラウマでダイバーシティに目覚める文化祭実行委員の女子大生と、そんな前のめりで前向きな新しい価値観に対し諦念を持って冷ややかにみる男子大学生。 その大学生と同じく生来の性的指向に悩まされつつも、それ以外に興奮を満たすことができず生きるために手を組む同級生の男と女。 移り変わる登場人物の視点

    • 優しさについて

      自分の振る舞いが誰かに与える影響について想いを巡らせる。取り分け優しさの本質について考えた時、それを構成する成分にエゴが含まれていることに気づく。また一方で、相手に影響を与える、与えてしまった、というのも傲慢である気がする。はたして自分なんかが誰かに与える影響なぞあるのだろうか。過ぎるファーストクエスチョン。人は自分では無い他者に対して時に驚くほど無関心だったりする。それは意図的であり無意識のうちに。だから例えばエゴの含まれる優しさをそれでも誰かに差し出したくなったら、ここを

      • ききまつがい

        聞き間違いをすることがある。それは普段の会話に留まらず、ある曲においても例外なく聞き間違える。ききまつがい。そしてある日突然、ふとしたきっかけで、その歌詞や描くイメージの認識は訂正を余儀なくされる。 *8月の小さな冗談と真夏のもういい塩梅(8月の小さな冗談と真夏の重い病) →8月は少しの冗談が許されるくらいには暑くて、許容される冗談の範囲はその暑さに比例して熱を含む。その比率、みなまで言わすないい、塩梅。 *15の聖者を拾って帰る(中古の戦車を拾って帰る) →各方

        • ますます眠れなくなる宇宙の話

          この広い宇宙の何処かに、果たして地球外生命体は存在するのか、そんないわゆるオカルトチックなロマンを天文学や科学的な観点から可能性を語る。 今まで我々地球人が地球外生命体を発見するために行ってきた試みや経緯なんかもまとめられている。宇宙からのメッセージを受け取ろうとしたり、逆にこちらから発信する試みとそれに関わる人たちの物語はとても真摯で思わずグッと来ちゃう。そもそも人類自体が地球外から飛来した隕石にくっついてた生命のカケラを基にして進化した、なーんていう可能性もあるらしい。

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        • 散文
          1本
        • 読了記録
          5本

        記事

          火星に住むつもりかい?

          ある事件をきっかけに中世の魔女狩りよろしく、ジョージオーウェルが描くよな監視社会のディストピア。密告によって平和警察に裁かれては公開処刑されてしまう人びと。そんなところに現れた正義のヒーロー孤軍奮闘物語。 本作の巻末にぼくのりりっくぼうよみさんがあとがきを寄稿してるんだけど、あとがきとしては最近読んだ中でも抜群に良かった。教育を受けて育つ過程には道徳があって、そこではいいこと、わるいこと、っていう社会規範や秩序を教わるし、法治国家である以上、一応ルールも決まっている。こうやっ

          火星に住むつもりかい?

          ギケイキ

          源義経の軍記を描いた古典『義経記』を町田康の手によって再構築された物語。ラディカルな表現を多用しているにもかかわらず、軸にした史実には忠実であるらしいので歴史の勉強にもなるな、ははは。やっぱ町田康の解釈で史実をテーマにした作品って本当に最高だと思う。早く続きが読みたい。 笑いを嚙み殺すのに、白目を剥いたり、腹をふりふりしたり、果ては汚れた血のアレックスよろしく、疾走しないと理性を保てなくなるので、公共の場で読むことはオススメしない。 それにしても近代に入る前の日本というのは、

          幸福論

          幸福の定義や方法論についてアランが綴ったプロポ。つまるところ、内面から生じる鬱屈した感情と、それに直結する行動が不幸に繋がり、矯正を意識した思想や行動、立ち振る舞いにこそ幸福がある、という解釈。 これから俺はもうビッグスマイルアンドダブルピースでキメッ。虚偽の上機嫌がしかし、真実の幸福を作る。バ・イ・ブ・ル。 #幸福論 #アラン #読了

          DANCE TO THE POPCORN CITY #2 3月27日(火)東京 Shibuya WWWX

          備忘録として 昨夜、渋谷でサニーデイのライブを観てきた。すごく久しぶり。彼らのライブでずっと印象に強く残っていたのは、長い夏休みの、ある夕暮れ時に野音で観たライブだった。蝉が鳴いてて、真っ赤な太陽を演奏してる時にちょうどステージの後ろの方に日が沈んでいくようなシチュエーションで、なんだか夢みたいだな、なんてことを思いながら観ていたのを覚えてる。それからも何回か観た気がするけど、サニーデイ・サービスのライブを思い出すときはずっと、あの夏に観たライブのシーンとか、その時飲んでた

          DANCE TO THE POPCORN CITY #2 3月27日(火)東京 Shibuya WWWX

          ナイン・ストーリーズ

          サリンジャーの自選短編集。気怠くも美しい表現が散りばめられている。なかなかこの歳では感覚的に読めなくて、理解しがたい部分は多いけど、だけど妙に惹かれる。最後の物語、テディを読めただけでもこの本を手に取った価値はあった。この物語については学生をはじめ色んな人が論文テーマとしてよく取り上げているみたいなので、折をみてそこらへんもディグりたい。 #読了 #サリンジャー #ナインストーリーズ

          ナイン・ストーリーズ