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整骨院版:受領委任払いを償還払いに戻せることで踏む地雷について

数日前にこちらの発出がありました。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/220324_02.pdf

まだ議事録が上がっていませんけれども、委員会などの過去のやり取りを見る限りでは、まあそうなるよねというお話でした。

今回意外や意外、BOTっぽいのを除くと、意外とポジトーーカーの反応もそんなにない感じがします。
以前(2年前)償還払いを一か月だけやった時の記事を引っ張り出しつつ、今回の発出の内容と影響について考察していきたいと思います。

念のため書いておきます。
全ての院が療養費を扱うべきだとは一切思っていません。
ルール上こうだからうまくやってねってスタンスです。
子の意図にそぐわない形の引用には一切関知しません。

発出の内容

とりあえず大きなトピックとしては、


第9章 患者ごとの償還払いへの変更 (保険者等の行う通知・確認等) 46 保険者等が、患者ごとに施術の必要性を個々に確認する必要があると 合理的に認めた場合については、保険者等は、次に掲げる事項を実施する ことにより、当該患者に対する施術について受領委任の取扱いを中止し、 当該患者が保険者等に療養費を請求する取扱い(以下「償還払い」とい う。)に変更することができること。なお、患者ごとに償還払いに変更し た場合に当該患者が保険者等に療養費を請求するときの申請書の様式 は、様式第5号の2とすること。 (1) 保険者等は、被保険者及び被扶養者に対して、患者ごとの償還払い への変更の対象となる患者類型等について予め周知すること。 (2) 保険者等は、以下に該当すると考えられる患者について、当該患者 及び当該患者に施術を行っている施術所の施術管理者に対して、償還 払い注意喚起通知(様式第9号及び第9号の2を標準とする。)を送付 すること。 ① 自己施術(柔道整復師による自身に対する施術)に係る療養費の 請求が行われた柔道整復師である患者 ② 自家施術(柔道整復師による家族に対する施術、柔道整復師によ る関連施術所の開設者及び従業員に対する施術)を繰り返し受けて いる患者 ③ 保険者等が、患者に対する 35 の照会を適切な時期に患者に分かり やすい照会内容で繰り返し行っても、回答しない患者 ④ 複数の施術所において同部位の施術を重複して受けている患者 (3) 保険者等は、(2)の対象患者について、償還払い注意喚起通知を送付 した月の翌月以降に、同様の施術及び療養費の請求が行われ、なお(2) 別紙 第1章~第8章 (略) (新設) 2 ①から④までのいずれかに該当すると考えられる場合は、事実関係を 確認するため、当該患者に対し、文書等により、施術内容、回数、実 際に施術を受けているか、外傷によるものなのか等の説明を求めるこ と。なお、(2)③に該当する患者については、保険者等は、文書だけに よらず、電話又は面会により、当該患者に対し、照会に回答しない理 由とともに、施術内容、回数、実際に施術を受けているか、外傷によ るものなのか等の説明を求めること。 (4) 保険者等は、(3)の対象患者について、(3)の確認の結果、状況が改 善されないなど、なお(2)①から④までのいずれかに該当し、療養費の 適正な支給の観点から、その後の施術の必要性を個々に確認する必要 があると考えられる場合は、当該患者及び当該患者に施術を行ってい る施術所の施術管理者に対して、償還払い変更通知(様式第 10 号及び 第 10 号の2を標準とする。)を送付すること。また、保険者等は、当 該患者に対して、償還払い変更通知が到着した月の翌月以降に施術を 受ける場合は、償還払い変更通知を施術所に提示するとともに、施術 所に施術料金を全額支払った上で、自身で保険者等に療養費の請求を 行うよう指導すること。なお、(2)③に該当する患者については、保険 者等は、償還払い変更通知の送付だけによらず、電話又は面会により、 当該患者に対し、償還払いに変更となること、施術を受ける場合は施 術所に償還払い変更通知を提示すること等を説明すること。 (5) 保険者等は、(2)①に該当する患者については、(2)及び(3)の手続き を経ることなく、当該患者及び当該患者に施術を行っている施術所の 施術管理者に対して、(4)の償還払い変更通知を送付することができる こと。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/220324_02.pdf

ざっくりまとめると、個別にちゃんと審査しなきゃいけなそうな事例(患者)の場合は、受領委任払いの協定を結んでいる整骨院であっても償還払いに変更が可能になります、6月から。
ってことです。
その際は施術所と当該患者に通知が行きますよっと。
あはきの方で受領委任が導入されていなかったら、これ等の動きはもう少し早かったかもしれません。
議事録を見る限り、あはきの代表の方の議論、交渉はかなりうまいと感じましたので、柔整側もそこに寄せて言っていたらまたわからなかったかもしれませんが、それは別の機会に書くことにします。
さて、以前一月ほど償還払いにしたことがあった時に書いた記事を次の項で持ってきます。
読んだことある人は飛ばして下さい。

以前書いた記事

院のサイトに書いた記事(現在は非公開)をとりあえず持ってきました。
以下小見出しは全て当時の記事の引用になります。
原文はいじってません。見出しだけ小見出しに変更します。

皆気軽に言うけれども

こんにちは、償還払いを一か月やっていた4F整骨院です。

これは以前から確定していたことですが、5月末に副院長が退職、副院長に施術管理者をしてもらっていた+去年から管理者研修の抽選に落ち倒していたため、先月一か月は償還払いをしていました。

その体験から得た結果、償還払いは微妙だなって結論になりました。

なぜかというところをお伝えしていきたいと思います。

患者さんの負担がでかい

って書くと、「本来10割の価格はそういうものだ!そうじゃないから患者さんが割引券と保険証の区別がつかないんだ!」って言う人いますけど、それじゃないです。

書類が面倒です。

きょうび申請を手書きでやってる人はあまりいないと思いますけれども、私たちはレセコンシステムの恩恵があったので、そこまで書類関係は手間ではありません(毎月悪いことしてる人は知りません)。

しかし、患者さんはフル手書きです。

さらに、自分たちは日夜やってる話なので、記載なども苦ではありませんが、患者さんは畑違いの自分のけがについて書類にいろいろ書かないといけません。

そもそも、健保組合側の準備が出来てない

これはとある保険組合のサイトなのですが、同じような攻勢を複数の組合サイトで確認しています。

このページは立替払い(患者さんの償還払い)の部分なのですが、ご覧いただいてわかるように、

整骨院の欄がない

のであります。

つまり想定していない組合が一定割合いるということです。

嫌がらせでない限りは。

健保連も長年償還払いって言ってる割にはこの準備のなさは・・・もしかして・・・

おっと、誰か来たようです。

償還払いは不正の温床になる可能性

償還払いは不正の温床になる危険をはらんでいます。

患者さんが傷病原因から何から自分で記載して出します。

ということは、内容について照会しようがありません。

現状、患者さん向けに来ている照会の内容をほとんど網羅しているからです。

また、書類に不備があれば当然支給されないので、患者さんとしては、万全を期したいですよね。

万全を期すってことは、整骨院に確認するケースが考えられます。

あたりまえですよね、万全を期すんですから。

そうなると、悪いことしているところは当然口裏合わせをしやすいです。

去年東京新聞の記事で、申請された件数のおよそ、0,22%が不正なものだったというデータがありますが、あれを上回る数字で不正が行われる可能性が高いです。

よくわかんない書類を相談しながら書いたら七割貰えるんですから。

そしてそれを調べる手段に乏しいですし、書類の不備を施術者に確認すること自体は違法でも何でもありません。

また、償還払いの場合は指導監査ができないので、うわべの不正率は減るかもしれませんが、実際の状況はむしろ悪化する可能性をはらんでいます。

少なくとも、何の準備もしていないサイトを見る限り、実は償還払いをされたら困る健康保険組合も一定数いるのかもしれません。

整骨院が不正ダガーのかたも、それだと寂しいと思います。

引用おしまい。

以前までのネックと変更点

上記したように、2年前において最大の問題点は、健保組合が言う割に準備してなかったことにあります。
しかし、今回償還払い用の書式が出来たことによって、ある程度混乱が少ない運用が可能になるかもしれません。



これにより、SNS上で定期的に発生する

「保険使えますかって来た患者さんに説明したらもめた(帰った/他ではうんうん)、うちはちゃんとやってるのに」
的な愚痴が消滅する可能性があります(趣味で続く可能性もあります)。
なぜなら、そういうもめがちな人に対して制限がかかる可能性が高く、そんな戦いをしなくてもそういう人の数は減少していくと考えられるためです。
ストレス発散で書いてる人にとっては少し寂しくなるかもしれません。
以前やったことはあるので気持ちはわかるかもしれません。
#所詮他人の人生である

なお、書式が出来たという事は、整骨院側の負担も発生します。
特に自費専門を謳っている方々に置かれましては、療養費の支給基準に含まれる症状に対して施術を行った際は、書類記入の必要が出てきそうで、自費専門を謳っている場合はレセコンなんて置いてないパターンが想定されるため、以外と手間かもしれません。
「うち自費専門なので、保険使えないんですよ」で患者さんをおし切れるかがカギになりそうですが、患者さんが仕組みを知っていた場合、これはこれでやべーことになります。
受領委任だけなら、


協定してないので自分でやってください、なお健保組合に書式はありません


が今まででしたが、例えば足をぐねった患者さんが来た時に、「うち自費専門なんで」をぶちかましてしまい、

「え?ケガの場合申請出来るんですよね?組合からも書式はあるから書いてもらえば申請できますっていわれました」

って言われて詰む可能性があります
詰まなくても、あそこ仕組みもわかんないのに整骨院やってるみたいなことになるかもしれません。
まああはきさんも同じことは起きえそうですが、多分数は少なそうです。
患者さん側が自費だって言う思い込みが多そうなので。

「自費整骨院」が準備しておくこと

一応医師ではないため応召義務はありません。
したがって、施術を拒否することは可能なので、療養費の支給対象となるものをそもそも扱わないというスタンスは取ることができます。
これは償還払い対象のものを自費と言い張る行為と一線を画します。
うっかりケガした人を処置してしまった場合、料金は自費で徴収しても構いませんが、それは療養費のエリアでの出来とになります
また、整骨院と届けているエリア内では、柔道整復師の業を行うことが法律上可能ですが、それ以外の業を行うことについては制限が付きます。
たとえば、「うちは整骨院ですけどエステなんで自費です」みたいなことを言ったらオウンゴールです。
自費移行コンサル的な人ほど、本来責任をもって療養費の兼ね合い的なものやルールを教えて移行させた方が親切に思いますが、あまりやっている痕跡を感じないので、ちょっと自分でやるしかないかもしれません。

https://shop.shaho.co.jp/140428

自分でやるぶんにはこちらを参照ください。
厳密にいえば、ここに書いてあるのが現行のルールなので、それを捻じ曲げたこうあるべき論とか自分ルールは無視でオッケーです。

ベテランの方や、いわゆる従来型の整骨院が準備しておくこと

https://shop.shaho.co.jp/140428

重複しますが、これ読んだことない人は割といると思いますので、まずは熟読しましょう。
通知の中に明細書の発行の部分があるのですが、これ理解していないと明細事態だしようがないと思います。
死体蹴り動画を出されている方の出身のグループに、数年前たまたま行ったことがあるのですが、鉛筆で領収書が出てきたときはたまげました。
また、慌てて自費移行するのはあまりお勧めしません。
別メニューを準備しているならともかく、今までのものをそのまま自費価格にする行為は破滅に繋がります。
・保険使えなくなっても中身が一緒って、前のやつは保険じゃなかったの?
・なんで保険証使ってた時と価格が違うのに中身は一緒なの?
・もしかして、以前から・・・
みたいなことになりかねません。

自費移行の方が準備しておくこと

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