死んだ父の日展2021を振り返る〜分析編〜
こんにちは、変化にもっと優しくなりたいむじょうの前田です。
6月9日〜20日の11日間、開催した「死んだ父の日展」の振り返りです。
設計編・分析編・アウトカム編の3編に分けて公開しています。
まだ設計編をご覧になっていない方はこちらを先にお読みください。
はじめに、公開可能な前提条件をお伝えします。
(2021年6月9日〜20日)
総メッセージ数:440件
平均文字数:381文字
最大文字数:1868文字
最小文字数:4文字
総メッセージ文字数:167,210文字
死別当時の年齢平均:24歳
父の享年平均:57歳
PV数:7,877pv
平均エンゲージメント:1分43秒
今回のnoteは公開可能な範囲での分析結果になるので、一部の前提条件のみを使います。
応募者の傾向からわかること
今回はメッセージを書くことのハードルを下げるため、応募者の情報をほとんど取らない形で行いました。
父の享年は登録していただいていたので、享年別のデータを元にわかることを並べていきます。
まず、1~9あたりに数字が出ているのは誤送信ですね。
1歳~9歳のうちに父親になる人はいないです。
なぜこの誤送信が置きたかを考えると、情報登録時の「死別当時のご自身の年齢」という表現が誤認識を招いた可能性があります。また、これは致命的な設計ミスですが、情報を登録する前に登録した情報が本当に正しいかを確認するためのモーダルをつくっていませんでした。そこで誤りに気づくことなく、送信してしまったと考えられます。来年の設計に活かせる気づきです。
次に、ボリューム層を見ていきます。
最も多いのがお父様の享年が49歳〜51歳の層です。比較的若くして亡くなられていることがわかります。応募者も死別当時若かった(10~20歳代)であると考えられます。
応募者の死別当時の年齢の傾向を見てみましょう。
以上のような結果になりました。
ここで気をつけたいのは、「若くにお父様を亡くしている人の方が応募する傾向にある」と結論づけることです。今回、企画の露出という点でみると圧倒的に若者向けのメディア・SNSでの露出が多かったです。
・Tiktok 計100万再生以上
・Twitter 関連ツイート計15万imp
・AbemaTV出演
など、若年層にリーチしています。
朝日新聞さんや産経新聞さんなど、年齢層の高い方がボリュームを占めるメディアでもご紹介いただきましたが、SNS以上のインプレッションを集めているとは考え難いです。(具体的な数字は把握しておりません)
今回は、若くにお父様を亡くしている人の方が応募する傾向にあるのではないか、という仮説に留めます。この仮説を明らかにしていく上で、来年以降、死別からの経過年数と投稿数の関係とメディア毎のPV数を可能な範囲で把握することを試みたいと思います。
手紙の内容からわかること
200通の手紙を読み、「主題(=伝えたいこと)は何なのか」という視点でコード化を行いました。1人のコーダーの恣意性を可能な限り排除するため複数人で行いました。
このような結果が得られました。
私達は亡き父へ伝えたいメッセージは「感謝」だけではないはずと考え、あちこちに「感謝、後悔、恨み、自身の近況など、伝えたいことをおもいおもいに綴ってください」ということを書いていました。
概ね仮説は正しかったと考えられます。1つ意外だったのは、「見守っていて」というお願いのようなメッセージが多かったことです。死後も見守ってくれる対象である、という「死後観」が現れているようでした。
もう少し詳しく見ていきます。死別当時のご自身の年代別の主題を比較するグラフがこちらです。
これはとても興味深いです...
10歳未満の方は自分の近況報告が一番多いのに対して、歳を重ねる毎に自分の近況報告をする人の人数は減っています。
30歳以上40歳未満の年代で近況報告の割合が多いのは「孫ができたよ」という旨の報告が多いからと考えられます。
歳を重ねてからの死別であればあるほど、後悔の割合が大きくなるということも伺えます。
企画を拡散する上で「お父様に伝えることは感謝だけではなくてもいい、後悔でも、恨みでも、近況でも...」というメッセージを最も強調していましたが、それが伝わったことで、様々な感情を抱く方が集まったと考えられそうです。
手紙の内容からわかる死後観
「見守って」というメッセージが多かったことから、亡くなった人は見守ってくれる存在であるという死後観を持つ人が多いとわかりました。次は死後観に絞って分析していきます。
死後観を示す表現を大きく5つにわけ、全メッセージから抽出しました。
見守ってくれる存在
会いにきてくれる存在
会いにいく存在
夢に出てくる存在
待っていてくれる存在
尚、
見守ってて/見てて
会いにきて/会いにおいで
会いに行く/そっちにいく
夢に出て/夢で会おう/夢で会いたい
待っていて/待っててて
(※平仮名・漢字の変換の各組合せ)
など、同じ意味を含むものは1つのまとまりとして扱っています。
このような結果が得られました。
亡くなっても、お父さんは見守ってくれる存在であることは変わらない。かもしれない。
そしてまた会える。かもしれない。
という死後観が伺えます。
抽象的な「死者」ではなく「お父さん」に宛てる手紙だからこそ見えてくる、混じり気のない死後観に触れることができました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次は「死んだ父の日展2021を振り返る〜アウトカム編〜」を公開します!
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