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死んだ父の日展2021を振り返る〜設計編〜

こんにちは、変化にもっと優しくなりたいむじょうの前田です。
6月9日〜20日の11日間、開催した「死んだ父の日展」の振り返りです。
設計編分析編アウトカム編の3編に分けて公開していきます。
まずは設計編から!

死んだ父の日展の概要

死んだ父の日展は公募型のオンライン展示会です。
天国のお父様へ、父の日のメッセージをサイト上で送信すると、展示サイトに公開されます。

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展示方法は、匿名でお父様の享年死別当時のご自身の年齢が書かれた封筒を並べる形式です。
封筒をクリックすると手紙が開き、読めるようになります。

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この企画の目的はお父様を亡くされた方の、父の日の過ごし方の選択肢をつくることです。

応募者には


「天国の父に言葉を届けられてよかったな」

「溜めていた想いを吐き出せたな」
「同じ境遇の人がいるな」

と、俯きがちな父の日に目線を10°上げれるような体験を届けることが第一歩になります。その初めての試みが「死んだ父の日展2021」です。

「手紙」と「展示」はコンフリクト?

「手紙なんて、人に見せるものじゃない」
「他人が他人に宛てた手紙なんて興味ない」

一見、手紙と展示は相性が悪そうですが、「手紙」を「展示」する、というやり方を選びました。理由は

・手紙なら思いの丈を発散できるのではないか。
・父を亡くした人同士、気持ちを知ることで自身の悲嘆と付き合いやすくなるのではないか。

書く体験と読む体験、どちらも捨てないためです。こう判断した以上、書き手と読み手の双方の心地よさを求めたいです。
それぞれに向けてどのような設計を行なったかを整理していきます。

書き手へ向けて〜ボトルメッセージ効果〜

手紙は1対1の関係性の中でやりとりされます。
宛先にだけ読まれることを想定して書けばOKです。
書いた手紙は、手渡す、プレゼントに添える、ポストに入れるなど自分の手から離すことを通じて届けます。

では、手紙を届けたい相手が亡くなって場合はどうなるのでしょうか?
仏壇やお墓に供える、という選択肢が1つ。
一方で、結局はご自身で回収することになるので手元に残り、「届けられた感覚」が欠けてしまうという声もありました。

そこで、ヒントをくれたのがボトルメッセージです。
ボトルメッセージとは、瓶に手紙を詰めて海へ投げ込むものです。

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ボトルメッセージを投げる人の気持ちとしては

・奇跡的に届いて欲しい
・届かずとも、誰かの目に触れる可能性を残したい

といった気持ちでしょうか。

届く・届かないが問題ではなく、「海に託した」という感覚がボトルメッセージのパワーだと思います。
死んだ父の日展では「死んだ父の日展という海」に手紙を託す体験がつくれていました。

見られうるけど、ほぼ見られない。みられたとしても匿名」という程よい観覧者との距離がまさに「海」になっていました。投げた手紙は「父の享年」と「死別当時の自分の年齢」という手がかりだけを残し、それぞれの潮の流れに任せて漂います。

境界が曖昧ですが、ここからは読み手へ向けた設計になるので章を分けます。

読み手へ向けて〜潮流効果〜

Webのニュース記事を選ぶ時や書店で本を選ぶ時は見出しやタイトルを頼りにします。
今回は手紙、という性質上、書き手に「タイトルをつけて!」とは言えません。そんなことをすると、「1対1の関係にある手紙」という性質が崩れてしまいます。

そこで、展示サイトにおいて、どの手紙を読むかを判断する手がかりを用意する必要があります。
今回は「父の享年」と「死別当時の自分の年齢」を手がかりにしました。

・今の自分と近い歳でお父さまを亡くした方の手紙を読んでみようかな。
・自分のお父さんと近い歳で亡くなったお父さまに宛てられた手紙を読んでみようかな。

自分との共通点を頼りに、手紙を選ぶことができます。

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死んだ父の日展という海の中で、心地よい潮の流れに乗ってきた手紙を読んでいるうちに、自分も書きたくなる。
書いたものには父に宛てた想いを共に、「誰かの書く動機にでもなれば嬉しいな」という気持ちも重なる。
そして書いた手紙を潮の流れに任せることで、それを読んだ誰かが書きたくなる。

今回、読み手として展示を観た方が書き手になる例が多くみられたことから、こういった生態系ができていたと言えそうです。

潮の流れ、という表現をしていますが、境遇が近い人同士の「引力」のデザインとも言えるかもしれません。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次は「死んだ父の日展2021を振り返る〜分析編〜」を公開します!

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また、今回の応募者様からのご要望を受け、死んだ母の日展2022の開催を計画しております。ご関心をお持ちの方は、こちらのフォームにご登録ください。死んだ母の日展2022の応募開始時にメールにてご連絡いたします。



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