レックリングハウゼン病
レックリングハウゼン病と言う聞き慣れない病気。
この病気の説明は意外と簡単だ。
デビッド・リンチ監督の映画『エレファントマン』をご存じの方は多いと思われる。
孫がその病気の可能性がある、というのだ。
身体に1cm程の薄いカフェオレ色斑点が2〜3個あるというのだ。もちろん、それだけでは確定診断には至らないが、一応頭の片隅に置いておく必要がある、とのことであった。
それは非常に厳しい話であったが、映画の様になる人と、ソバカスのような皮膚になる人がいると言う。
小さな良性の腫瘍が身体の外に出来るらしいのだが、それがたくさん出来て、重なるようにして大きな腫瘍になる場合もあると。仮に全身が腫瘍で覆われたとしても、良性の為に命に直接的に影響は無いが、それが身体の内部に現れると、話は違ってくる。
ただ、やはり外見の問題が精神的には一番きついのだと思われる。
それは本人はもちろん1番つらいのだが、その家族も大きな葛藤の中で生きねばならないのだ。
ただ、今の段階ではただの痣の可能性もあるし、何とも言えないとのことであった。
そして病魔はさらなる攻撃を仕掛けてくる。
精密検査の結果、成長ホルモンの値が低く、今のままでは殆ど背が伸びない。『成長ホルモン分泌不全性低身長症』と言う病気が該当するとの話だが、今から成長ホルモン注射を始めると、最低でも160cmにまでは伸びるとのこと。それならば普通にボクシングのフライ級世界チャンピオンと変わらないので大丈夫だろう、と一筋の希望が見えたかに思えたのだが…………。
しかし、その治療は莫大な費用がかかるらしく、一般的な収入の範囲で治療出来る金額ではないと、医師から話があったそうだ。
初期費用だけで家を買うくらいだと言う。少なく見積もっても6千万円かかると言う。
日本の医療制度はどうなっているのか。これを決めた方々はバカなのか?
ただ、一つだけ方法があると。
仮に知的障害があれば公費補助を受けられる場合があると。
しかし、知的障害と診断された時点で、将来的な学業の足枷にならないとも限らない。
やってあげてもいいよ、と医師が歩み寄ってきた。
あとは、親のプライドの問題。
若い娘夫婦は新たな葛藤の中でもがいていた。
孫の知能指数は高く、驚くほど明晰な頭脳だったのである。
答えはでた。
この子の経歴に『知的障害』と刻印された。
つづく