2021年の春分図を読んでみる。ハウスと天体、サビアンまで。

春分図は占星術において、一年の流れを読み取ります。とくに一年を通じて国家や社会などを読むのに用いると便利。マンデン図は、この春分図で勉強するとわかりやすいです。
ただし、一年の流れではあるけれど、四季図それぞれを読み込んだ方が良い時があります。
一年の基礎的な流れは春分図、夏至になったら秋分までの気運、秋分になったら冬至までの気運、みたいに、それぞれ刷新する感じで読んだ方がわかりやすい時があるのです。
個人的な感触としては、春分図で一年ダラっと行くよりは、四季図で方向性を考えた方がダイレクトな気がします。
でも春分図が根底に流れているので、今回は2021年の春分図を読んでいきますね。

Twitterにて私は「楽しんだ人が勝ちですよ、みたいな図だ」と書きました。
以下に、その言葉が浮かんだ詳細というか成り立ちのようなものを記します。

まずアングルが活動宮、とくにアセンダントは天秤座です。
天秤座は刈り取る星座で、主に対外的なものを重視します。1ハウスから6ハウスまでの個人を重視するサインから、他人の影響を受ける流れになってくる。自分だけでは立ち行かない何かがあるわけです。活動宮だからジッとしていないし、昨年までの流れが変化します。これがアセンダントが固定宮なら前年と同じような空気になるのですが、活動宮だから変化します。しかも自分から。柔軟宮だったら流されて変化しますけれど、活動宮ですからね、自分から変わります。
つまり対人関係、国家で言うと諸外国との関係が変化するという意味です。自分から対外性を変えていくのです。マンデン図では1ハウスは世論など、国民が主となります。国民がいろんなことを対外的に発信していく力となります。ただし2021年の春分図では、天秤座に天体がないので、具体的な方法がない。でも世の中の流れとしては存在する、ということになります。
なお天秤座のルーラーである金星は魚座にあり、太陽とコンジャンクション。性質の違いはあるものの、目標の達成は何とかできそう、ということになります。工夫が必要ではありますが、目標の達成のためには苦も無くできるはずです。

さて一方でICの山羊座も重要です。そしてこの4ハウスには冥王星、5ハウスの近くに土星があります。
冥王星は破壊と創造の星で、根底から覆す力があります。しかし、のんびり生きているだけでは冥王星は働きません。ギリギリの崖っぷちで本領を発揮するのですが、やり方が荒っぽいです。ネイタルで冥王星が強い人は、どこか底知れない自信とか強さがあって折れません。強い影響力を持っています。この冥王星が4ハウスで、4ハウスは身近な環境や親戚や家族、家庭、引いてはマンデン占星術では国土などを示します。すごく強く言うと国体のような、国の柱の内側を意味すると言ってもいいです。
ここに冥王星があるので、しかも水瓶座の冥王星なので、とてもフラットな個人事情ということになります。みんな平等だという意識で、いろんな事情を抱えながらも未来を見据えて走るのが水瓶座。常識などを軽々と打ち破ろう、ということになるのです。ここでアセンダントとの違いが明確になります。
また冥王星という星の意味から、根底からひっくり返される可能性もあるでしょう。ICや4ハウスは、このチャートの根本的なところです。ここに冥王星があるのだから、ギリギリになると根底から変化していくのです。根底が変わったら、すべての意味が変わってきます。個人で4ハウスの冥王星があれば、血族的に避けられないものがあると読めます。抗っても結果的に遺伝的な問題で引き継いでいるものがあるのですが、結果的にそこに戻ります。4ハウスは落ち着く場所なので、そこに安穏と過ごすことになるのですが、そこに冥王星があるとシビアなものになるでしょう。
天体のない天秤座の1ハウスに比べ、4ハウスは強いですね。だから身近な人と話し合ったり、非常に狭いコミュニティ、しかも山羊座のICですから権威のあるものなのですが、ここで常識外れの議論などがあったりしてもおかしくないということになります。4ハウスなので発信力というものは少ないので、小さなコミュニティの中で確信めいたものに気付くのです。自由で革新的ながらも伝統的なところで、ギリギリの駆け引きです。
また、冥王星は山羊座です。同じ4ハウスの土星は水瓶座なのに、冥王星は山羊座です。したがって、冥王星のような強さは、まだ山羊座の権威の中、常識的な範疇の中です。だからこそ4ハウスは身近な人と、土星の永続性を持って、しかも水瓶座の常識を外れた期間と方法によって続けられることになります。仮に冥王星が働けば、この議論は知られないままの存在になるでしょう。ただし時は移り行くので、山羊座から冥王星が離れたときに、この4ハウス水瓶座土星の議論は注目を集めるのです。

また土星のアスペクトは天王星とスクエア、火星およびアセンダントとトラインです。
天王星とスクエアなので、ちょっと新しいことや常識外れなところからは歓迎されません。もっとできるはずだとか、もっと独自の何かを見つけるべき、とか言われてしまいます、天王星なので怒られても仕方がありません。しかも天王星は牡牛座なので、しつこい側面があります。どうやっても動かない。天王星を説得するなら、海王星か冥王星が必要です。
また火星はトライン。双子座の火星とトラインなので、どんどん活発に、好奇心の赴くままに頑張ります。火星がトラインの土星は、やる気力が継続します。突発性の強い火星側としてはそれほど居心地の良いものではありません。目の上のたんこぶのようなもので、なんだかんだで存在が気になります。でも土星側から考えれば、土星にやる気を与えてくれるのです。それをやっていれば元気になるし、ひらめきも生まれてくる。おとなしいだけの土星ではなくなるのです。
またアセンダントとトラインですから、この春分図そのものが水瓶座土星の影響を強く受けています。土星から祝福された春分図と言ってもいいでしょう。もちろん火星からもアセンダントはトラインですので、歓迎されているようです。

さてディセンダントはどうかというと、こちらは牡羊座。春分図での7ハウスは対外性、つまり諸外国からの影響という意味になります。これは牡羊座なので勢いがあります。新興勢力国などとの関係性がクローズアップされるでしょう。それでも天王星が8ハウスの近いところにあるので、どこか相容れないものを感じるかもしれません。サビアンから読み取ると、諸外国が権威主義的なものであることがわかりますが、この勢いに対して日本は、こうあるべきだという姿を切々と説いていく、という感じになりそうです。いろんな経験を活かして上手く乗り切るような道筋をつけることが大切です。
これを個人に当てはめると、勢いのある人に頑張って対応することになります。天秤座はバランスのサインなので、どう舵を取るかを常に考え、その真ん中をフラットに見極めます。

ここまでの流れをひっくるめて言うと「バランスを取る必要がある。相手には勢いがあるので、対等な立場で接することが大切。あまり難しく考えず、その場の流れを重視することがポイント」ということになります。

さてMCは蟹座です。10ハウスには天体がありません。ルーラーは月で、これは9ハウス双子座にあり、かなり緩く火星とコンジャンクション。9ハウスは遠くにあるものを意味するので、研究や宗教、深い意味での思想や教養などを意味します。月が火星とコンジャンクションであれば、かなり月は性急で活動的です。双子座の月は落ち着きのなさが表立ちますので、かなり慌ただしくなるでしょう。月は木星とトラインで、これは受容性が高まることを意味しています。つまり慌ただしい環境を許容します。木星は5ハウスなので楽し気で、どこか面白さがあります。月と火星が近いことからも、月は前向きです。

さらに、太陽のコンディションを読みます。牡羊座6ハウスの太陽が、魚座の金星とコンジャンクション。これだけでも、ちょっとした違いというか違和感はありながらも、調和的な一年だということが読み取れます。ただ期待する部分が強くて、魚座の金星はすべてひっくるめての期待なので、どうにでもなれ的な期待の仕方をします。なんとなくうまくいくはずだ、というのは魚座金星の典型的な部分です。この甘い期待感が一年中あるわけで、現実的なところはあまり重要視されません。やったらなんとかなるという空気感です。さらに金星と緩いオーブで海王星があるので、魚座ルーラーが海王星であることからも、金星の力は途方もない広がりを見せます。現実的なことを考えると頭が痛くなる、という感じでしょうか。現実的ではないことを考えて実行します。6ハウスは、基本的には仕事あるいは奉仕ですが、マンデン占星術では医療という意味もあります。ネイタルでも6ハウスは健康という意味があり、死に至るものではありませんが、身体のコンディションなどを見ることがあります。だからこそ今現在、問題になっている医療問題に関しては、楽観的な空気が流れると読めます。なお太陽は冥王星ともセクスタイルなので、冥王星の破壊と再生という意味から、医療の骨組みが変わる可能性はあるでしょう。極限まで達すると、この医療現場の対応法などは変化します。蛇足ですが太陽の近くには、心の傷や治療者を示す星であるキロン(カイロン)があることも付け加えておきます。

という感じで、ざっくりと春分図を読みます。
ここまできて、私は5ハウスの木星と、天頂近くにある月と火星に注目しました。
4ハウスのものを5ハウスの天体は乗り越えています。あれだけ強い4ハウスは、5ハウスによって調和のとれたものになるでしょう。断片的な意味だけではなく、そこには可能性があるのです。5ハウスは自己表現の部屋で、自分の好きなことをします。4ハウスが安定しているのなら、思い切って安心してできるはずですが、この春分図の4ハウスが強い以上、5ハウスの気持ちの持ち方を考えねばなりません。この5ハウスには拡大と幸運の星の木星があります。木星は緩く月とトラインで、風のサイン同士です。アセンダントと土星、火星のトラインを受け入れるカギは、この木星とトラインの月でしょう。月は9ハウスで思想します。そして非常に社会性に富み、受け入れる姿勢が強いのです。ただし双子座の火星と月は、とてもエキセントリック。思い付きのままに走る傾向があり、継続という意味ではイマイチです。木星の拡大性により、そのエキセントリックさには拍車がかかるでしょう。
さらに進むと魚座の水星があり、とくに魚座の水星は、いろんな方面に向かって叫びます。
そこで月と火星が9ハウスにあることで、教養が深まるような方向に行くと良いのです。なにかを受け取るばかりではなく、いったん自分に引き入れて考えてみる。押しつけの価値観ではなく、自分なりの考え方を構築する、という意味になります。それから叫ぶと、この春分図にあるように、いろんなものが根底からひっくり返る可能性があるのです。
もちろんひっくり返ってから叫ぶ、ということも可能で、こちらの方が流れが強めです。ただしきっかけ作りという意味で使いやすいのは火星であり、それを可能にするのは月です。それを5ハウスの木星が援護するのです。

だからこそ今回の春分図は「楽しんだものが勝ちかな」という結論になったのです。

ちなみに、違った方向から読んでみます。
アセンダントのサビアンシンボルは天秤座の11度「眼鏡越しに、自分の生徒をじっと見る教授」になります。11の数字は展開する数字で、眼鏡は主体者のフィルターです。主体者たる教授は、生徒に常識を外れたやり方で教えるのです。じっと見るのですから、生徒のことを考えています。どうやったらいいかを教授は思考し、眼鏡のフィルターを通じて生徒に伝授します。11度は主体と客体があり、ある程度の距離感があります。でも自分の持っているものを、自分なりのフィルターを通じて、なんとか伝えようとするのです。

さらにICのサビアンは山羊座12度「自然科学についての図解された講義が、ほとんど知られていない生命の側面を明らかにする」です。
まったくの偶然ですが、自然科学という言葉が出てきました。でも教授が自然科学の教授であるかどうかは、ここでは問題ではありません。自然科学というものは、自然の中に存在する何かを科学するという意味で、原則的あるいか原理的な何かを発見し考察するということです。気付かないうちに当たり前のものとして存在するものを、普遍的な思考によって説明しようとするわけです。しかもそれは水瓶座の土星があるので、かなり革新的なもののはずです。
IC山羊座のルーラーが土星なので、ちょっと強めに働きます。性質的には違いますので、ストレートに強さが出てくるわけではありません。

さらに牡羊座11度は「国家の支配者」。教授が教える生徒側と考えてもいいでしょう。生徒は野心家なのでしょうか。

さてMCのサビアンは蟹座12度「中国人女性が、偉大なる教師の生まれ変わりであることを示すオーラを放つ赤ん坊をあやしている」というものです。中国人は東洋人というか、サビアンを作成したジョーンズ氏、エリス氏、あるいはルディア氏が西洋人なので、異質な国の人、という意味合いが強いでしょう。
計らずしも、ここでも教師という、教える人の文字が出てきました。もしかしたら教授が教えている生徒は、この偉大なる教師の生まれ変わりか、あるいは教授の生まれ変わりなのかもしれないという想像が膨らみますね(蛇足ながら個人的には転生という概念そのものは信じておりません)。

サビアンシンボルだけざっくり読んでも、教養というか学問が鍵を握ることになっています。知性のせめぎ合いなので、しかもそれが楽しいと思えそうなシンボルが並んでいます。
とりあえず今回の春分図は、かなり考える必要があるでしょう。どう使うかはあなた次第ですが、なんらかの知識や経験が活かされるのは間違いなさそうです。武器は知性、とも言えるかもしれません。

風の星座に乗れば、かなり前進できる春分図です。
そして活動宮が強いのですから、どんどん動いてみましょう。
驚くべき成果が出てくるかもしれませんよ。

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