タロットの勉強法。78枚すべてのカードを書き終えて

 私がここで愚者のカードを書き終えたのは2019年11月だったようです。いま記事を確認したので間違いありませんが、Noteでは4年前、ということになっています。
 実際のところ、大アルカナ22枚、小アルカナ40枚と人物カードを書き終わるまで4年もかかったのか、という思いでいっぱいで、4年前の私を振り返るには、ちょっと面映い感じです。でも現在の私が愚者のカードを書いたとしても、おそらく同じようなものを書くに違いありません。アップデートできていないわけではなく、根底に流れる解釈に相違がないためです。

 タロットカードの面白いところは、同じカードが出たとしても、その瞬間で解釈が違うことがある、ということが第一です。

 違うといってもまったく違うわけではなく、こうなんというかニュアンスと言うか、力の掛けどころと抜き具合が違うので、毎度のことながら『薄氷を踏む』状態になります。カードを前にすれば私のコンデションなど関係ありません。しかし解釈にはその場の空気感というか、なんらかの言葉が降りてくる瞬間があります。ものすごくざっくりとした答えでもカードは饒舌で、抽象的ながらも実際性がある、という矛盾を常に感じます。

 これは私の実体験ですが、たとえば受験の合否を問われたとき、愚者のカードが出ました。試験本番のギリギリの時期です。もう少しで試験があって、もう不安で仕方がない、とおっしゃっていました。
 本当の解釈であれば0の数字で愚者ですから、無謀な挑戦というのが一般的な解釈だと思います。しかし私がカードをめくった瞬間に発した言葉は
「大丈夫、合格しますよ」
というものでした。これには私自身が驚きました。
 本当にそんなことがあるのかどうか、この地点では私にはわかりません。しかし私には、このカードが、質問者さまの華々しい未来に思えたのです。いまの段階では難しいかもしれないけれど、きっと本質的な実力があって、きちんと次の世界へ羽ばたけるに違いない。いまの世界を飛び出して、もっと上に行ける。そう感じたのです。だから合格します、あなたが想定した以上の、想像以上の経過を辿り、いまは道筋が見えなくともきちんと合格しますから。不安なのは当然のことです。まわりから無理だと言われ続けて、引き留められても、もうあなたには他に道などないのでしょう。やりたいと思うのであれば胸を張って、怖がらずに進んでください。
 そう私は言いました。
 これは愚者のカードの解釈のひとつです。
 実際のところ、私からこういった話をされた質問者さまも、半信半疑だったと思います。
 しかし数日後には合格の報告をいただきました。占いの結果で質問者さまが自信を持たれたのか、それとも本当に不思議な予想外の経過を辿ったのか、もういまの私にはわかりません。
 そして同じ質問をされて、同じ愚者のカードが現れたとしても、合格しますと言い切れるかどうかは、私自身にもわかりません。ほぼ「いまのままでは難しいかもしれません」と言うかもしれませんね。

 もしあなたがこれからタロットカードを勉強されたいなら、カードの意味を覚えてはいけない、と言ったら言いすぎでしょうか。
 覚えるのではなく、カードそのものを理解した方がいい、と思います。

 これは体感が大きいです。
 たとえば『いまの自分の状態はカードで言えばどうなのか』をカードで思い浮かべるのです。

 まずタロットカードの解説書なりカードそのものをざっくり見る。見るというのは覚えなくともいいので、本を読むとか、ちょっとしたカードの印象というものを見つめます。世界のカードをみたら、なんだかいい感じ、とか、死神のカードをみたら、なんだか怖いな、という感じですね。
 それから大アルカナだけで自分のいまの状態を当てはめてみる。そして本当のところはどうなのかを、解説書でもなんでもいいので読み返す。それを繰り返したら、次は小アルカナ。
 これらを集中して、少なくとも1ヵ月くらいは、ちょっとやってみるといいと思います。
 人によっては1週間でもいい、という話にもなりますが、もちろん1年でもそれ以上でも問題ありません。
「あー、ショックだ。いまの私は塔だな」とかでいいんです。これが本当に大切です。
 やっていくうちに『まったく思い浮かばなかったカード』が間違いなく出てきます。メモなどで残しておいて、それを確認するのも、とても良い勉強になりますよ。
 まったく思い浮かばなかったカードは、あなたが使っていないパス、あるいはセフィラです。それを通すのは大変なことですが、基本的にタロットを道標にすれば、あまり問題ありません。なぜならカードで可視化できているからです。闇雲にやっているわけではなくて、段階的あるいか系列的に行っているので、あらゆる部分の強弱を自らで把握できるのです。そうなると苦手なカード、あるいは得意なカードがとてもよくわかり、かなり勉強になります。

 実のところ、解説書に縛られるタロットは、あまり応用性がない感じがします。
 タロットの回路は人それぞれ違うので、文章で入る人もいれば、絵で理解する方が早い人もいるのですが、その両方とか、あるいはどちらでもない、という場合もあるのです。
 ちょっと体感してみて、どうなんだろうと迷ったら解説書に戻り、その都度きちんと反復すれば、かなり振り幅の大きな言葉がポンポンと出るようになります。
 
 もし本当にタロットデッキを展開してから声を聞くとか、情報を得る、みたいな状態にしたいなら、そのカードを前にして自分なりの感触を手に入れなければ、なかなか縛られた解釈あるいは解読になってしまうと思いますし、だいたい覚えようとしたところで、どこまで正確に覚えているの?という気がします。そもそも正確性ってそんなに大事?とか、もう私はそういう気分になっちゃうんですけれど、タロットの解釈には遊び幅があって、ときにはその遊びの部分が本質な場合なこともあるんです。

 ガチガチに覚えなくともいいんですよ。感触とか感覚とか、そういったものに落とし込めれば、タロットカードはいきなり話し出すし、思わぬ解釈が飛び出してくるものです。
 でも、繰り返しますが、メモで残しておいてください。これがないと空中分解します。空中分解すれば中途半端なまま進むことになってしまい、なかなか悩ましいです。

 あまり肩肘を張らず、なんとなくタロットで遊んでみる。
 このくらいのスタンスが、タロットを勉強するには、ちょうどいいと私は思っています。
 どうぞゆったりとタロットをめくってみてください。カードはきっと、待ってましたとばかりに話し始めてくれますよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?