2024年 占星術での歩き方

これを書いている瞬間は2023年末のギリギリなのですが、大改革期というか大転換期と言われている2025年にかけて、2024年は本当にひとつのエポック的な年になると思います。2023年はまだ序章に過ぎない。そのあたりを含め、占星術での歩き方、つまり2024年の占星術的な過ごし方を考えてみたいと思います。
 
まずは時系列から。火星までは省いてあります。
 
2024年1月、冥王星が水瓶座へ
   5月、木星が双子座へ
   9月、冥王星が山羊座へ(逆行)
   11月、冥王星が水瓶座へ
2025年3月、海王星が牡羊座へ
   5月、土星が牡羊座へ
   6月、木星が蟹座へ
   7月、天王星が双子座へ
   9月、土星が魚座へ(逆行)
   10月、海王星が魚座へ(逆行)
   11月、天王星が牡牛座へ(逆行)
2026年1月、海王星が牡羊座へ
    2月、土星が牡羊座へ
    4月、天王星が双子座へ
            6月、木星が獅子座へ
 
 
ジオセントリックでは逆行もありますので、いったんサインを移動しても戻りつつ数回ほど行き来します。移動したけれど前のサインでのやり直しや見直しがあり、それを経てから本格的な移動になるニュアンスです。
トランスサタニアンがサインを移動するとき、大きな変異が訪れて「ああ、たぶんもしかしたら」と思うのは、占星術を学んでいる方々なら思い当たる節があるでしょう。とくに土星はトランスサタニアンではありませんが、時代の形や個人的な価値観を作り出す重要な天体です。トランスサタニアンの変化が土星に色濃く影響を与え、それにより土星そのものの方向性が変化します。土星は基本的に枠組みです。その形をトランスサタニアンは変えてしまうのです。
つまり常識や価値観を変えてしまう。
 
個人的な価値観を変えるというのは、その人にとって大きな転換になります。しかもここ3年は、トランスサタニアンの移動が次々に起こります、いっぺんにすべてか変わった、と言ってもいいくらいのものになる、と予想している人々が増えてくるのは、ある意味では仕方がないと思います。
それもその通りで、否定するつもりはまったくありませんし、いまの社会情勢を鑑みても、ちょっとなにかが違うな、というものは感じ取れると思います。
だからといってすべてが終わります、というわけでもない。
 
これは声を大にして言いたいんですけれど、すべてが終わると知ったとして、いったいなにがあなたに残りますか?終わりだと悲観的になって生きるのですか?それとも終わるからもういいや、という、いわばちょっと投げやりなスタンスで生きるのですか?
 
どちらでもない、という人々がほとんどだと思います。それはなぜかというと、年代の重なりがあるからです。若者の将来を奪ってはいけません。もちろん年配の方々を蔑ろにしてもいけません。どの人々も年代を背負って生きている、そしてその年代は、それぞれに役目が違います。なぜなら、それぞれのネイタルでは、それぞれのトランスサタニアンのサインも度数も違うからです。そしてあえて役目と言ったのは、ネイタルでの天体ばかりではなく、年齢域の生き方もある。さらに言うなれば一蓮托生のように、生きる国や地域ではまるっきり違うでしょう。しかしいま生きている以上、それぞれが占星術を案内図にしながら、泳ぎ切ることは可能だと思うのです。
誰か任せではない人生は、それぞれの人々が享受すべき、そして味わうべき福音です。本当のところはそうだと思います。過剰な個人主義でもなく、かといって全体主義でもない生き方です。
 
では迎え撃つ、あるいは追い風にしながら流れに乗り切るにはどうすればいいのか。
その足掛かりになるのが2024年、ということになると思います。
 
こう言うと身も蓋もない感じになってしまいますが、たとえば世の中を読む、という話のなかで、いまの段階のすべてで読めるわけではありません。たとえば2025年に大きな変革点があると仮定した場合、その時が来てからどうしよう、と考えるのは、その場しのぎと言われても仕方がないと思います。とはいえ先を読みすぎて、悲観的あるいは楽観的になりすぎるのも良くありません。それは可能性を極めて狭めてしまうからです。
たとえば占星術で個人としての三重円を読む場合、ものすごい転換期とか幸運期が、数年先にあるとしましょう。しかしとくに幸運期は、その瞬間に素晴らしいことが起こったとしても、いまの段階で想定できる範囲内での幸運になることが多いです。というのも希望や願望があったとしても、その幸運期を待っているだけでは、正直なところ見込み違いになるからです。その瞬間のチャートは時期が短く、かなりピンポイントなので、そのときに長い過程が必要な願望は、ある程度は見通しが立ちますが、それ以上は発展しません。一方で、占星術を御存じではないにもかかわらず、ちょっと頑張ってきたことがあります、という御方であれば、その幸運期が突破口となり、思わぬチャンスやダイナミックな発展を遂げることが多いのです。
 
基本的に幸運期は『スムーズに、いい感じになりますね』という認識です。しかしそれはすべてではありません。
たとえば木星は幸運、拡大、発展などの意味がありますが、とはいえ現状が芳しくないなら、悩みや困難が拡大しますね、という場合も起こり得ます。一方の土星は制限や安定なので、これも関与すると、だいぶ長い低迷期が続く可能性もあるわけです。木星は土星の影響を受ける側であり、ひいてはトランスサタニアンの影響も受けますし、もちろん木星は火星から内側の天体へ影響を及ぼしますので、木星のいわば手先となる惑星がヒットしなければ、木星は大ナタを持っているだけで振り回せなくなります。振り回しても空振りする。
そのため手放しで木星を歓迎するという考え方は、ちょっと違うかなとは思います。もちろん木星が最大の幸運星という認識は、私にとってもまったく間違いではありません。しかし、その働き方はそれぞれの場合あるいは状況によって出方が違う、と考えています。
よく『木星が来たけど、あんまり効果を感じなかった』という話を見聞きしますが、そういう影響があると思います。木星単独ではどうしようもなくて、土星以遠の星からの影響を受けて働き、火星から内側の天体に影響を及ぼしますので、木星が対象となる感受点を引き金にしないと、なかなか効力を出せないのです。ただリラックスしたり、なんだかボンヤリしてしまったりして、結果的に『木星あったはずだけど』みたいなことになる。
 
ここまできて、土星から外側の天体に関与されてはじめて、木星という星の幸運という意味が、ようやくわかります。
土星の枠組みのなかで培われた幸せ。
これを認識していないと、なかなか木星も本領を発揮できません。たしかに地球から見れば木星は外側にありますから、地球上に住んでいる我々には、思いも寄らない幸運と認識されます。それはそれでいいし、問題ありませんが、さてそこから土星以遠を加味するとどうなるかというと、一般常識的な幸せというものは、わりと貧弱なものだったのではないか、という考えに達すると思います。もしかしたら木星はなにかに脅かされ続けてきたのではないか、という感じです。木星は通念上の感覚というか、形にはならずとも、一般的に誰もが考え得る意味での幸せなので、これを守るために土星などで線引きをする必要がありました。その線引きは天王星以遠の星々の影響を受けますので、そうなるとトランスサタニアンの影響が、どれほど強いものなのか、ということがわかります。
 
ではざっくりと、2024年は、どう過ごせば良いのでしょうか。
 
社会的な異変が起こると言われても、実は私はピンときません。というのも、もう既に私たちは、かなりの変化を味わってきました。どこもかしこも異変だらけじゃないですか、という感じです。いろいろやってきた、という意識は、頑張ってきている人たちの共通認識だと思います。そして言いようのない反骨精神だってある。それは、常識が変わっても見失わないぞ、みたいな、確固たる軸みたいなもの。
社会的な拠りどころは土星が握っています。土星はルールを司ります。制限とも言われますが、各々の制限に従ってルールが成り立っていると考えれば、もうそのままです。これを書いている2023年の終わり、土星は魚座の初期度数にあります。うっすらとした、すべてを包括するような魚座のなかで、土星は頑張り始めています。足場のない場所で踏み止まろうとしています。
この土星が牡羊座に移動するのが2025年5月。逆行して本格的に牡羊座に入り切るのは2026年2月です。このとき既に冥王星は水瓶座に居座っていますから、おそらく華々しい、というか派手な移動になると思います。土星を冥王星が援護します。土星と冥王星のアスペクトは底上げ、あるいはステージの書き換えです。土星の枠を冥王星が破壊しますが、なんといってもセクスタイルのアスペクトなので援護になります。まるっきり新しいスタートである牡羊座の土星を、常識はずれの水瓶座冥王星が背後から、勢いよく風を吹かせてくれるのです。そっちの方向でいいんだぞ、という感じになると思いますが、水瓶座の冥王星は、各個人の価値観を粒ぞろいで際立たせます。大本営だから信用に足るという思考は淘汰されてくるでしょう。
 
いままで冥王星は山羊座でしたので、これは体制主義を意味します。寄るなら大樹の影、長いものには巻かれろ、というやつです。ただしさすがに山羊座最終5度くらいになると、新しい流れを予感させますから、山羊座とは言え大本営の言うことばかりを聞いていられない、という流れになってきているのは、皆さまご存知の通りでしょう。まさかと思われる大きな組織が解体されたり、綻びが見えてきて疑問の目を投げかけられたりしたのは、記憶に新しいところだと思います。
2023年は一度、水瓶座に冥王星が入りました。その期間は2023年3月下旬から、6月上旬にかけてです。このとき、皆さま方はいったいなにを感じ、どう動いたでしょうか。これを思い返していただきたいのです。
たとえ具体的な思考や行動がなかったとしても構いません。基本的に冥王星なのでギリギリのところで働く天体です。冥王星を受けない程度に追い詰められていないという意味にもなるので、感じないならそれはそれで良いのです。しかしながらなんらかの変化や動きがあったなら、それは今度数年にかけての、かなり有効なヒント、あるいは有意義な糸口になるでしょう。
 
冥王星以外のトランスサタニアンについてですが、天王星は2025年7月に双子座に入ります。逆行で2025年11月には牡牛座に戻りますが、2026年4月には本格的に双子座に鎮座します。
海王星は2025年3月に牡羊座に入り、同年10月に魚座に戻りますが、それから2026年1月に牡羊座に入ると、そのまま牡羊座に居座ります。
冥王星の移動を受けながら天王星と海王星は、冥王星の働きを助長するかのように、冥王星は天王星と海王星を鼓舞するかのように、それぞれアスペクトを作り上げます。
 
では、それぞれのトランスサタニアンがどう影響を及ぼすか。
 
冥王星が水瓶座に移動すると、体制の改革や刷新が起こりやすいのですが、これが個人になるとグループの活性化とか、立場に縛られない人々のつながりが重視され、より個人の責任が重くなります。責任といえば山羊座じゃないかと思われるかもしれませんが、それは対社会的な立場という意味での責任であり、個人的な責任ではありません。自由と引き換えに責任を負うのは水瓶座の働きです。たとえば会社員であれば会社の一員ですから、ある程度は労働規約により守られます。その代わり労働規約を遵守する責務を負うのですが、個人であればそのようなものはありません。あくまでも個人として自己管理を徹底する責任のもと、なにかに守られる代わりに好きにやる、という自由を手に入れるのです。社会的なところではなく、個人として責任を負うのです。これが地域または国家、あるいはもっと狭義さらには広義のなにか、という部分で起こります。
 
また牡羊座の海王星は『生まれ変わり』です。海王星は魚座の守護星であり、海王星にとっては居心地の良い場所でした。本来の力をストレートに発揮しましたが、芸術分野の成熟や思想の多様化というところで活かされたのではないかと思います。しかしながら今度は牡羊座なので、ちょっと新しいムーブメントが起こってきます。たとえば海王星が牡羊座に入ると、売れてきたものが売れない、良いと思われてきたものが良くなくなってくる。海王星も魚座も基本的には全体主義みたいなところがあって、多数決での採用が全体を支配します。たとえるなら流行やトレンドがそうです。世間がそう言うならそうなんだろうな、というものです。しかしこれが通用しなくなる。もっと違うなにかがあるはずだ、という意識のもとで、新しい価値観を模索し始めます。
 
双子座の天王星は、この海王星の新しい価値観の模索に関して、鋭い指摘を投げかけます。牡牛座の天王星は掘り起こしで、いまあるものを再認識します。古典回帰、過去の問題の掘り起し、などがそうです。現在において、その過去の話は大切なのかという問題が頻発し、疑問視されています。しかしこれが落ち着くと、つまり天王星が牡牛座でやるべきことをやったあとは、双子座ですべてを散らします。牡牛座も双子座も個人主義的であり、基本的は他者の動向などは気にしません。どちらも、いま私がこう思うからこうなんだ、という強さがあります。しかし双子座は風のサインですから、どんどん散らします。牡牛座の一点集中型の深掘りではなく、あれこれと目移りをさせながら、あっちだこっちだと、ありとあらゆる方向性を試します。つまり落ち着きません。しかも他人より自分が第一なので、自分のパッションや興味を広げることが目的になります。トライアンドエラーを好奇心のままに実行するので、見切り発車や勢いだけの動向でも苦になりません。とはいえ長続きするかというと、そこは風の固定サインである水瓶座の働き如何によります。水瓶座の後押しを受ければ軌道に乗り、長続きします。ただし長期化が歓迎されない場合は、これが足を引っ張る可能性もあるのですが、とはいえトラインですから、あまりマイナスには働かないでしょう。
 
付け加えるなら、2026年初頭、海王星と土星が相次いで牡羊座に入るのです。土星は制限を意味しますが、安定も司ります。頑として揺るぎません。そうなると前述した海王星の生まれ変わりは確固たるものになります。海王星はボンヤリと果てしなく広がりますが、この広がりを一気に確かな空気に変えてしまうでしょう。土星を凶星として認識するなら、この海王星の広がりを、いわば忌むべきムーブメントとして意識化します。しかし土星を安定と現実化の星と認識できれば、まったく凶星ではなくなります。海王星の働きを盤石なものにしていくでしょう。もともと土星と海王星の組み合わせは難しいものです。相反した働きをもたらすからです。どちらに肩入れしようとしても戻され、さらに泥沼化させることもあります。しかし2026年はいっぺんに牡羊座に入るので、土星の価値観は海王星の影響を受け、土星そのものの制限を外し安定させるでしょう。いわば、ちょっと土星が甘くなると思います。
 
問題は、ここまでになにができるか、の一点です。
もちろん、各人のネイタルチャートを照らし合わせながら、どう影響が及ぶか、またはどこが動かしやすいのかを読むと、よりわかりやすいと思います。わかりにくいならアセンダントとMCを基軸として読むだけでも間違いありません。その場合はハウスだけではなく、アセンダントとMCへのアスペクトを、より重視して読みましょう。アンギュラーハウスカスプなので、ICやディセンダントがおわかりなら、さらに詳細に読めます。
 
ここでも一年に1サインを移動する木星を読めば、なんとなくの流れは見えてくると思いますが、2024年前半では牡牛座にありますので、目の前の問題に掛かり切りです。しかし後半になれば双子座に入りますから、いきなりフットワークが軽くなります。土要素が苦手な人は、思い切り良く飛び出せる感じになりますが、牡牛座の深掘りが得意な人にとっては、ちょっと居心地が悪くなるかもしれません。そんな駆け足の時代の流れには乗れないよ、みたいな感じになる。
 
でもネイタル次第なので、そこにはトランスサタニアンばかりではなく、現世で意識しやすい個人天体があり、それぞれがどの要素がどう働いているかで変わってきます。基本的には一概に言い切れません。そもそも風や火要素が強い人でも、ネイタルに初期度数に天体などがなければ、なんとなくでも変化を感じない、という場合もじゅうぶんにあります。それでも2025年から2026年の激動に対して、あらゆる手段を尽くせると思います。繰り返しますが木星は1年に1サインを移動しますので、当然ながらサインのなかも移動します。中期度数、後期度数は、ゆっくり時間を追って触れてくるので、トランスサタニアンの移動などを加味しなくとも、きちんと効力を発揮できることになります。
 
ここまで星を読み解くと、もうおわかりだと思います。前もって意識して、木星あるいは土星がここまできたら動くんだという意志を持ち、準備を始めましょう。水瓶座という風要素の冥王星の前では、なにもかもが早いです。これに木星と土星が関与してくるなら、さらに早まるでしょう。たとえば2026年に木星が獅子座に入りますが、思い切りの良い獅子座木星が、土星以遠の天体の影響を受けどうなるかは、ちょっと考えるだけでも破裂しそうなほどの派手さ加減です。
たとえばサイレントマジョリティーなどの言葉は意味を成さず、個人としてどう生きるかが問われます。いろんな枠組みを超え、それぞれの価値観や思想のもと、立場の違う人々が手を組みます。画一的な、誰かに作られた思想は、押し付けの常識や価値などは、いっぺんに意味を失くすでしょう。いままでの社会は押し付けだらけだったのか、と気付くのも変化の一歩です。そして、なにを信条として生きるのか、その方向性は、マジョリティーだけではなく、マイノリティーにおいても平等に判断されます。山椒は小さくともピリッと辛い、みたいなもので、マイノリティーでも抜群の存在感を発揮します。そして反対にマイノリティーでも判断する立場になり得ます。
そしてそんな動きのなか、もし声高だけのマジョリティーが生き残るなら、それは本物になるでしょう。しかし、これは変だと思うものに対しては、通念上意味のないマジョリティーに対して、マイノリティーは徹底的に戦います。なにもかもひっくり返る可能性があり、それはいままでサイレントマジョリティーだった存在のなかから生まれるでしょう。ここで徹底的に戦わねばならないのは、冥王星が水瓶座だからです。お仕着せの価値観に対してノーと言えるのが水瓶座です。いままでなんとなく許容されてきたものに関しては、粘り強く、しかも有能に立ち向かいます。それは大きな扇動になりかねませんが、大きくなりすぎると山羊座のカテゴリーに入ってしまい、水瓶座から攻撃される側に回ってしまうので、ある程度の規模にはなるけれど、本当の意味での意志疎通をしながら、社会的概念を一新させます。
風要素は切ります。乙女座の無駄を省くというのは、個人的な枠組みのなかでの排除なのですが、水瓶座は社会的な要素が強いので、思い切り動けば世間が動きます。世間を切り刻む要素が風にはあります。双子座は知性を磨き、天秤座はあらゆるバランスを取るために切り、水瓶座は全体を切る。
 
その前の準備段階が2024年と言えるでしょう。
しかし準備と言ってはみたものの、私個人としては、かなりの歯がゆさを感じます。
というのも2023年でいったん冥王星が水瓶座に入り、くさびを打ち込んだのです。これを受けての2024年は、1月に再び水瓶座へ、年末まで移動します。ということは前述した2023年3月から6月にかけて、なんらかの変化を感じ取った人々にとっては、既に2024年は本番です。
わかりやすい言葉で言うなれば『時差』です。これは星が運行している都合上、誰にでも起こるので、早いから良くて遅いから悪い、という意味ではありません。早い段階に変化があるということは誰にも経験がないので、手探りで進んでいきます。しかし遅れて変化がある人々は、いわば熟成されたワインのようなもので、ある程度は固まってきたなかで動けますから、目に見える形での驚くべき成果を上げるでしょう。早い人は素早く次へ移れますが、その足場をさらに頑丈にしていくのが、そのあとに続いて進むべき人たちです。
 
これの判断は、私の口が酸っぱくなるほど繰り返しますが、各人が生まれ持ってのネイタルに寄るので、とくに個人天体がどう作用するかでも変わってきます。たとえば射手座初期度数に冥王星がある年代は、射手座の理想主義を掲げ、来るべき次の事態へスムーズに移行します。言いたくとも言い出せなかった人々は、ここで勢いよく時代を作るでしょう。しかしたとえば冥王星が射手座初期度数にあってもネイタル金星が牡牛座の場合、ちょっとした矛盾を感じます。個人的には楽しくないかもしれません。しかしスクエアは試行錯誤をしながら、新しい価値観を探り当てるので、牡牛座の金星の意味するところの『居心地の良さ』を見つけます。基本的に金星にとっては時代なんか知ったことではないのですが、きちんとスクエアを作る時期には、それぞれの居場所を見つけます。それは山羊座冥王星にいったん落ち着きながらも、時代の変化に押される形で、違う方向性を見つける、という意味です。
 
とにかく2024年は冥王星の移動が最大の問題というか変化になりますから、まずはそこにフォーカスしてネイタルと照らし合わせながら、ちょっとやってみる、という形になると思います。そういった意味での準備期間というのなら、きわめて有意義な1年になるかな、というのが、私の率直なところです。
 

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