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深く息を吸い込むために-ヨコハマトリエンナーレ2020

もう10年は付き合いのある友人と、ヨコハマトリエンナーレ2020に行ってきた。

みなとみらい駅をでて美術館へ歩いていくと、歓迎するようにたくさんのしゃぼん玉がふわっと流れてきていた。
※作品の演出ではなく、美術館前の芝生でしゃぼん玉遊びをしていた方がいた

どの作品も楽しみながら観賞したが、私にとってAFTERGLOW(残光)を直感的に体感できたのはイヴァナ・フランケ《予期せぬ共鳴》。

青い空、虹色に漂う玉、その奥の風に揺らぐストライプが夢現の始まりのようだった。

ニック・ケイヴ《回転する森》の歓迎を受けて、夢中で館内を巡る。作品名を忘れてしまったが、繰り返し壁にインクを吹き付ける作品の横で滴り落ちたものをじっと見ていた。


佐藤雅晴《死神先生》の中のガイコツ

モチーフと相入れない明るい色調が、秋晴れの空を飛びたいと思う気持ちと重なった。

作者の一言を読んで、彼の恐れに立ち向かう様が、気づかないようにしていた恐れを見透かしたのかもしれないと思った。

エレナ・ノックス《ヴォルカナ・ブレインストーム》は生態系が完成している中で何故か生殖活動を行わなくなったエビに対して、性を触発する取り組みを展示していた。
他人事のように眺めていたが、苦しくて堪らない想いと似たような閉塞感を感じて、同じように外からみたら滑稽なことなのかもしれないと思った。

ほの暗い感想になってしまったが、作品と向き合うことで自らの暗さを客観的に捉えることができるので、呼吸の仕方を忘れかけたら美術館に行くようにしている。

特に芸術祭は、複数のアーティストの作品が、複数の場所で展示されることから、全てを鑑賞しようとすると肉体的にもへとへとになるので、建設的に疲れたいときにも利用している。

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