ポッドキャスト|AIラヂオ010前編|生成AIの言葉と人間の言葉は何が違うのか?芥川賞作家の神回答がツボにはまった件【文字起こしつき】
みなさま、こんにちは!テック系フリーランスライターの五条むいです。
テクノロジーとの共生でハッピーになりたいHarmonic Society株式会社の師田賢人とテック系フリーランスライターの五条むいがゆるく愉しくお届けする、〈AIラヂオ〉をお届けします!
AIをアシスタントにして書いた『東京同情塔』が芥川賞を受賞した九段理江さん。 NHKのインタビュー番組からインスピレーションを得て、師田と五条が「人間による文章と生成AIによる文章は何が違う」をテーマにトークします。
ポッドキャストは、〈AIラヂオ〉のWebサイトから配信しています。
文字起こしもついてます。それではよろしければ、しばしお立ち寄りください。
AIラヂオ010前編の文字起こし
師田:みなさん、こんにちは。AIラヂオです。AIラヂオは、やさしいDXの推進をテーマに、AIに関する情報発信をしています。
今回のテーマは「人間による文章と生成AIによる文章は何が違う?」というテーマでお届けします。
お届けするのはHarmonic Society株式会社代表の師田と、五条むいです。
五条:五条です。よろしくお願いします。
師田:よろしくお願いします。五条さん、今回のテーマは難しいテーマだとは思うんですけど、「人間による文章と生成AIによる文章は何が違う」っていうことに関して話していきましょう。
五条:はい。お願いします。
師田:お願いします。前回の話で、ノーベル賞を受賞したヒントンさんのことで、AIが人間を凌駕するというような話を取り上げましたが、何かそれに関してそ、五条さんはどう思いますか。
五条:ボク自身、ヒントンさんの主張が、どうしても理解できないというか、AIが人間を凌駕するといったことを疑問視せざるを得ないと思う立場なんですね。
師田:そうなんですね
五条:なんでそう考えるようになったのかっていう、きっかけになったお話があるんです。
師田:うん。ぜひ聞かせてください。
五条:今年、2024年の1月頃にNHKを見ていたんですね。そしたらあるインタビューを偶然、視聴したんですよ。
当時、芥川賞に、九段理江さんの『東京都同情塔』という小説が選ばれまして。それに関するインタビューがあったんですけど、九段理江さんが大きいことを二つ言っていて、その二つとも非常に興味深いと思ったんですよ。
その一つ目っていうのがですね、『東京都同情塔』っていうのは、AIをアシスタントにして書いた小説だということで非常に関心を呼んでたんですけど、インタビュアーに聞かれて九段理江さんがですね、
と言っていて、これがまず一つ目に、非常にボクの興味を引いたんですね。
師田:なるほど、なるほど。相手との関係性ってことですね。
五条:そうですね。たとえばボクが今、師田さんとAIラヂオで対談しているわけです。
この言葉を交わす中で、新しい言葉とか、考え方とか、新しい意味が生まれてきてるような気がしませんか。
師田:そうですね。なんか一緒に作っていってるような気がしますね。
五条:そうですよね。私も対談をしている中で、あれ、こんなこと考えてなかったなっていう発見がいくつもあるわけですよ。
これが「相手との関係性の中で初めて生まれる言葉があるのが人間」だという意味ですよね。
師田:なるほど、なるほど。
五条:でも生成AIって、そうじゃないじゃないですか。生成AIの真ん中にモデルがあって、そのモデルは何をしてるかっていうと、統計解析をしていて、次に続く、もっとも、もっともらしい言葉は何かっていうのを数値計算してるわけですよね。
師田:そうですね。
五条:だから生成AIは、たとえばボクとの関係性の中で、新しく言葉を生むということがないんですよ。そこが根本的な違いだなというのが一つですね。
師田:はい。はい。
五条:つまり生成AIって、その動作原理からして、一番、もっともらしい言葉を生み出すことしかできないっていうか、機械的、論理的にそうやって言葉を作り出しているので。
だからボクは機械的知能だという意味で、(アーティフィシャルインテリジェンスではなくて)エイリアンインテリジェンスだと思ってるんですね。
師田:なるほど、なるほど。それと関連するかもしれないんですけど、なんかAIと人間による文章の何が違うかっていうので、ボクは、人間のフィードバックとかに対して、部分的に対応しにくいっていうふうに思ってて。
そういうのは、たとえば、AIの書いた文章とか、この部分は、もうちょっとこうして、この部分はもうちょっとこうしてみたいなフィードバックがいくつもあるわけじゃないですか。
それを全部伝えて、また再出力しても、なかなかそれに対してきめ細やかに対応してくれないんですね。
なんかやっぱり、今、五条さんがおっしゃったみたいに、AIと対話して文書を作って、一緒に文章を作ってくみたいなことが、結構やりにくいっていう意味で、インタラクティブ性が欠けるんじゃないかって。
インタラクティブに、そういった文章を作り上げていくプロセスみたいなのには向いてないんじゃないかなっていうのと、あともう一つ、AI特有のよく使われる単語や表現があるっていうふうに思っていて。
それがいわゆる「AIっぽい文章」っていうことにも繋がってくるんですけど。
先ほどの統計解析で、次に続く最も、もっともらしい言葉を選んでるっていうふうにおっしゃったじゃないですか。
そうなってくると、やっぱり偏りが出てくると思うんですね。
それがよく使われる単語やフレーズっていうことになっていて、このフレーズを使ってると、「あれ、これ、AIが書いた文章かな?」みたいに、人が気づいてしまうみたいなところもあるんじゃないかなって、五条さんのお話聞きながら思いました。
五条:そうですよね。だから動作原理からして、AIが生み出す言葉っていうのは、事前にボクたちが、AIをトレーニングして教え込んだ言葉の組み合わせとして生み出すわけですよね。
生成したテキストが、なんかちょっといびつだなと思ったら、それを修正するにあたって、それを判断して修正するのは生成AIじゃなくて、ボクたちがそう判断したときに、プロンプトで指令を出して、「こういうふうに修正してよ」っていう指示を出しているわけで。
つまりボクたちと生成AIが対話してるわけじゃないですよね。
師田:そうですね。あくまでもボクたちがっていうことですもんね。
五条:そうです、そうです。だから動作原理からして、対話っていうものが成り立たないんですよね。
師田:それは結構、大きい気がしますね。やっぱりコンテンツとかクリエイティブなものを作ってくときって、やっぱり五条さんがおっしゃったみたいに、他の人と対話したりとか、関係性の中で新しいアイディアとか、発想が生まれていくっていうことが多いと思うんで。
やっぱり生成AIによる文章生成っていうのは、自分主導になってくると思うんで。
そうなってくると、自分が知らないこととか、自分の知識とか知見っていうのを超えたものを生み出すっていうことは、なかなか難しいんじゃないかなとは思いますよね。
五条:そうなんですよね。つまり動作原理からして、新しい言葉を生み出すっていうことを、生成AIはしないんですよね。
ただ新しい言葉の組み合わせが、新しい考えにつながるってことについていえば、新しい言葉の組み合わせから、ボクたちが、新しい発想だなと、ボクたちが感じることはあるかもしれないと。そういう気がしますよね。
師田:たしかに、たしかに。
ちょっとややこしいですけど、あくまでも考えているのはボクたちだけで、生成AIはただ反応してるだけというか、考えてるわけではないっていうことは、強調した方がいいですね。
五条:そうですね。だからこそ、前回のAIラヂオで、ヒントンさんが、AIがユーモアを理解するといったことが、ボクにはどうしても理解できなくて。
つまりAIが、もしボクたちのユーモアを理解しているように見えたとしたら、それは論理的に分析して、ここが面白いんじゃないのって言ってるだけであって。
だからボクたちが人間の感情の機微を、AIが理解してるって感じてるのは、実はボクたちなんじゃないかっていう気が、とてもしてるんですよ。
師田:なんか見せかけということですね。
五条:そうです、そうです。
師田:なるほど。それで言うとあれですよね、論理的に計算し尽くされた「笑い」みたいなのって面白いかもしれないですけど、偶然によって生まれた話題みたいなのに対してやっぱりちょっと面白さ的には欠けますよね。
これは面白いんだみたいに論理的に説明されても、いや、なんかちょっと違うけどみたいな話になりますよね。
五条:そうですね。だから九段理江さんが、二つ目にとてもその大切なこと言ってるわけです。
(後編に続く)