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なぜそこに引越したの?
前回記事、「プノンペンの暗い路地での出来事」のアパートに最初に引越したときの話。
引越してすぐ、在住日本人の友人のA子とアパート近くのローカル飯屋で久しぶりに夕飯を食べることになった。
彼女は、いわゆる「見える」タイプ。
先に私がついて、ビールを飲んでのんびり待っていた。
少し遅れてA子が店に入ってきた。
開口一番、「ムハンマド、明日朝イチでお寺いってお払いしてもらったほうがいいよ、あぶない」といってきた。
なんなんだよ!いきなり。
「肩に女の人がついてるよ、カンボジア人の知り合い」
「え、どういうこと?知り合い?生霊?」
「いや、もう亡くなってると思う、事故かなにかで」
「え?なにそれ、誰?」
「うーん、私にはその子がなにか料理作ってる感じがする。そして、子供がひとりいるのかな。背は150センチくらい。肌は黒め。ムハンマドと一回デートして、たぶんムハンマドが冷めた。」
「その子のことA子は知ってるの?」
「知るわけないよ。ムハンマドとも久々に会ったんだし。誰か心当たりいるの?」
「・・・」
「いるんだ?」
私はだいぶ動揺していた。
「ズバリそのままの子がいた。小さなレストランで働いてて、カンボジア語覚えたてだったから話かけて練習しているうちに仲良くなって。でも申し訳ないけど、一回お店終わってから遊びにいったけど、なんか盛り上がらなくて家まで送ってそれっきり。子供ひとり田舎にいるっていってた。」
「じゃあ、その子だね。ムハンマドとのデートは楽しかったんだと思うよ。それで未練があるのかも知れない。そして突然亡くなっちゃったから、また遊ぼうとしているんだと思う、あっちの世界で」
「もうやめてくれ!怖くて寝れないじゃないか!」
「最後にひとつだけ聞いてもいい? ムハンマドなんでこんなとこに引越したの?あまり外国人が住まないエリアだよね?いろんな選択肢があるなかでなんで?」
「いや、たまたまバイクでどこかいいとこないかなと思っていろいろ走っていたんだよね。それでここみつけて、家賃も安い割りに居心地よさそうだったから・・・・・・あっ」
私は、この灼熱のプノンペンで急激に寒くなっている自分に気がついた。
「その子をバイクで送っていって、その子がここでいいよって降りたところの路地が今のアパートに通じる道・・・・」
「やっぱり・・・今日はどこかゲストハウスかなんかに泊まって明日お寺にお清めしにいきなよ」
「そうするよ・・・」
翌朝、オフィスにいき、カンボジア人スタッフにお寺に連れていってもらい、お坊さんからお経と共に水をばしゃばしゃかけられる儀式をした。
事情を話すと、もう大丈夫とのことなので、それから何も考えないようにした。
「プノンペンの暗い路地での出来事」に遭遇したのはその半年後くらいあと。。
そして、今、結婚した私は、カンボジア人妻と1歳8ヶ月の息子と、わけあって同じアパートに住んでいる。
これから何か起こるのだろうか・・・。