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【絵のない絵本】押し売りの多いブティック
カランコロン
いらっしゃい。おや、随分べっぴんなお客さんが来たもんだ。今日は何を探しに来たんだい?え?全身コーディネートして欲しいだって?なんだいお客さん、近々デートの予定でもあんのかい?え?いいねえ、若い人は。
いいだろう。ここは私が一つ、お客さんに最高のコーディネート、見繕ってやろうじゃないの。
まずね、これなんかどうだい。紫陽花のワンピース。紫陽花の花びら一枚一枚が丁寧に縫われてる
【詩】紫陽花が綺麗だから
彼女が私を購入したのは、 私が彼と出会ったのは
もう10年以上も昔の話だ もう潰れてしまった小さな家電屋さん
今となっては随分と旧型の私を どれだけ新しいものが出ても
彼女は捨てずに使い続ける 私は絶対に彼を手放さない
【絵のない絵本】とある春の日に耳をすませば
きゅるきゅる さあさあ
ぴゅんぴゅん びゅうびゅう
きゅるさあ さあぴゅん
ぴゅんびゅう びゅうきゅる
そよそよそよそよ
そよそよそよそよ
びゅうさあ きゅるぴゅん
さあびゅう ぴゅんきゅる
「ったくはるかぜの奴!」
「じゃあ、春はしばらく先延ばしってことかい 」
「ええ、はるかぜさんが元気になるまでは」
「早いとこ、今日の担当を決めないとですよっ」