カタカナシリーズ『ネ』

R6.11.25
ラムネかきんっ　これは開国の始まり
　　　　　　　　　青井えのこ
ラムネ飲んでも中耳炎痒い
　　　　　　　　　坐花酔月
ボンネット灼ける匂ひのほの甘し
　　　　　　　　　どすこい早川
ボンネットの熱れ八月十五日
　　　　　　　　　押見げばげば
ネーブルをこっそり白き保健室
　　　　　　　　　Ｒｘ
手術同意書ネーブルを文鎮に
　　　　　　　　　西川由野
ネーブルに甘やかされて佳き職場
　　　　　　　　　七瀬ゆきこ
ネーブルの光や裸婦の手の中の
　　　　　　　　　井上さち
正しさに尖るペン先シネラリア
　　　　　　　　　常幸龍ＢＣＡＤ
かみ合わぬ夫やすっぱきサイネリア
　　　　　　　　　岬ぷるうと
アネモネや神はとっくに死んだのに
　　　　　　　　　蝦夷野ごうがしゃ
アネモネの怒りに触れぬやうに水
　　　　　　　　　桜鯛みわ
モネの妻いそうねネモフィラの丘は
　　　　　　　　　一斤染乃
モネの絵の人は淋しい星は飛ぶ
　　　　　　　　　大紀直家
火恋しとマレーネ・ディートリッヒの眼
　　　　　　　　　山田喜則
凶作やネロの塑像の胸の傷
　　　　　　　　　うめやえのきだけ
刀豆の太し皇帝ネロの自死
　　　　　　　　　凪太
R6.11.1
顔のなきマネキン春は好きですか
　　　　　　　　　岩のじ
母の日の父のテネシーワルツかな
　　　　　　　　　そまり
蚊柱やネクストバッターズサークルの頭上
　　　　　　　　　さんぺきみほ
カタカナのネは転びさう文化の日
　　　　　　　　　三尺玉子
秋思とはつまりチョココロネのお尻
　　　　　　　　　広瀬康
常温のネクターきみの秋思とは
　　　　　　　　　はぐれ杤餅
ネクターの桃の絵怖き夜寒かな
　　　　　　　　　亀田荒太
ネクターの温くて甘い鴎外忌
　　　　　　　　　家守らびすけ
ネクターの甘きに咽ぶ夜長かな
　　　　　　　　　めぐみの樹
ネクタイのへたる夜業のカップ麺
　　　　　　　　　笑笑うさぎ
夜食今変なペンネームに咽て
　　　　　　　　　さとけん
ストーブやネトフリにあれないのかよ
　　　　　　　　　コンフィ
ネクタイの締め方冬のほぐれ方
　　　　　　　　　四條たんし
時雨のネオン今更一般職
　　　　　　　　　立田鯊夢
一畳のネカフェへ戻るクリスマス
　　　　　　　　　平良嘉列乙
ネットスラング海市より受信せり
　　　　　　　　　丁鼻トゥエルブ
『天』
冬波やアテネ文庫の死刑論
　　　　　　　　　山尾政弘