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『霜夜』

『霜夜』
R6.11.22
あぶあぶと霜夜の端を吸へる鯉
          麦のパパ
霜夜かなへうへうと鳴く耳の奥
          細井昴
霜夜を握れば獰猛な金束子
          澤村DAZZA
刃を研ぎぬ霜夜の星の灯るまで
          ひそか
当てつけに創が霜夜を痒がりぬ
          七瀬ゆきこ
作るもの知らぬ工場霜夜に灯
          宇都宮駿介
吸入薬澱む霜夜の喉奥に
          樫の木
銀の螺子入るる霜夜の膝に熱
          一斤染乃
鉛筆の尖りとは霜夜の怒り
          樹海ソース
非行少年おつちんだ霜夜に飛んだ
          葉村直
タバコ一本すら貰えねえ霜夜
          三隅涙
霜夜の死音叉のごとく広がりぬ
          亘航希
逢ひにゆく月の砕けた霜夜なら
          渋谷晶
鶴何羽折れば良かつたのか霜夜
          佐藤茂之
全て贋作霜夜の空に浮かぶもの
          凪太
霜夜しんしん画布へまた星を足す
          三浦海栗
R6.11.29
新米の父星探す霜夜かな
          芦田葉月
星ひとつある出奔の霜夜かな
          音羽凛
タクシーてふ小箱霜夜を漂流す
          常幸龍BCAD
スナックは小舟霜夜が湖ならば
          碧西里
ガーデンの霜夜に花の蘂赫し
          古瀬まさあき
象嵌の銀細やかに打つ霜夜
          錆田水遊
鹿皮に磨く待針霜夜なる
          くま鶉
霜夜なり襤褸の僧の爪の割る
          仁和田永
波音はものの壊るるをと 霜夜
          ぞんぬ
白鯨の降つてきさうな霜夜かな
          はぐれ杤餅
プレートは呻く霜夜の地震の熱
          ほろよい
反射炉の余熱にくもる霜夜かな
          理酔蓮
神話繚乱霜夜の星を蘂として
          元野おぺら
『天』
緊急地震警報霜夜の星吼ゆる
          窓辺のラジオ
襖絵のふくろふ飛び立ちて霜夜
          藤色葉菜

教え・・・惜しい!ちょっと直せば優秀句!!(11.28 一句一遊にて)
さよさよと兆す幻聴霜夜かな
          とよさん
コメント:「幻聴」で意味が切れるため、下五の「かな」の詠嘆に調べが繋がっていない。
【添削後】さよさよと幻聴兆す霜夜かな

置くやうに国歌を歌ふ霜夜かな
          えらいぞはるかちゃん
コメント:調べは良いが、上五中七のフレーズがとても良いので、季語を変えるともっと良くなりそうな匂いがする。

霜夜なり激しき火花溶鉱炉
          山村楓
コメント:中七をひっくり返すだけで「なり」が効いてくる。
【添削後】霜夜なり火花激しき溶鉱炉

宝灯を守る素足に更く霜夜
          田中東万
コメント:「宝灯」「霜夜」に対して「素足」の語感がもったいない。
「~宝灯守る徒跣」としてみてはどうか。

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