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『冬菫』
R7.1.31
冬すみれ小学校が遠すぎる
そら
菓子缶は手紙の棺冬すみれ
ツナ好
冬すみれ神童のままいたかつた
平山仄海
求職のための出勤冬すみれ
二重格子
転職の運河の街を冬すみれ
鈴木麗門
決心は固し冬菫へと風
川越羽流
冬菫のためにしゃがんだわけじゃない
多数野麻仁男
冬菫笑つた気がしたと記す
山本パンダ
冬すみれ考(ちち)は明るき丘の上
紫水晶
冬菫余命の見える眼欲し
GONZA
冬菫おれ死にたくはないらしい
イサク
モルヒネの夢の片隅冬すみれ
十月小萩
さつきまでてふだつたこの冬菫
渋谷晶
祈るとき人は小さし冬菫
一斤染乃
主はこれをあはれみ選ぶ冬すみれ
中岡秀次
ひかりとはマリアの吐息冬すみれ
樹海ソース
たましひは鈴のかたちや冬すみれ
ぞんぬ
R7.2.7
冬菫あえかな風が痛さうな
仁和田永
慰めのごとき雨音冬すみれ
山内彩月
街灯の光を雨が冬菫
ほろよい
駐車場五番の奥の冬菫
のなめの子セカンド
冬すみれ雲はどこから見ても横
元野おぺら
冬すみれ父の物忘れはきれい
モッツァレラえのくし
ふるさとの海はしわくちや冬すみれ
常幸龍BCAD
冬すみれ燧灘へと風の鳴る
妙
原発の海暖かし冬すみれ
ちろりん
冬すみれ揺らす震源から風
夏風かをる
冬菫ここは活断層の上
小笹いのり
詩歌とは愉しき呪い冬菫
横縞
仕合せな詩人はきらひ冬すみれ
長谷川水素
冬菫深く彫らるる義民の名
藤白真語
冬菫これより革命の春へ
錆田水遊
『天』
かく晴れてよく鳴りさうな冬すみれ
古瀬まさあき