『吉例顔見世興行 夜の部』の話
どうも、私です。
急に冬になったけど、みんな無事?(?)
というわけで(?)、「寒さを蹴散らす夜を過ごした話」をします。
お付き合い下さい。
◆
冬の京都南座で見られる『吉例顔見世興行』。
姉「仁左衛門様が、『元禄忠臣蔵 仙石屋敷』をやるんですよ」
私「日本の冬と言えば、『忠臣蔵』ですな」
他にも、『色彩間苅豆 かさね』、『曽我綉俠御所染 御所五郎蔵』、『越後獅子』が上演される上に、『色彩間苅豆 かさね』に関しては、『初代中村萬壽ご当地にて御目見得』と、萬壽さんが襲名後初の南座公演ということもあって、私達はワクワクした。
姉「お母さん、行く?」
母「お母さんも行きたいけど」
私「では、3人でゆく!」
花道に近い席のチケットを取り、当日を迎える頃には、仁左衛門さんのことが好きな姉は恋煩いに陥っていた。
推しを前にすれば、人類みな乙女(?)。
私「お姉ちゃん、息してる?」
姉「…ギリギリ」
母「大丈夫かな?笑」
と姉の心配をしつつ、席に着く。
間もなくして、幕は開いた。
『元禄忠臣蔵 仙石屋敷』
総評
今回上演されたのは、大石内蔵助(片岡仁左衛門さん)を始めとする、赤穂浪士47人が幕府大目付の仙石伯耆守(中村梅玉さん)の元で取り調べを受けた後、4つの大名家に別れて預けられ、公儀の裁定を待つことになる『仙石屋敷』の場面。
吉良上野介を討った翌日の場面だ。
内蔵助が、時折涙を見せながら、仕えてきた浅野内匠頭への想いや討ち入りの経緯、伯耆守の裁きを受ける決意について語る長台詞。それを演じる仁左衛門さんの演技や内蔵助の言葉を涙ながらに聞く浪士達の姿に、見ていて切なく、胸が締め付けられる思いがした。
また、赤穂浪士47人全員が勢揃いする為、舞台上には仁左衛門さんを含む47人の役者さんが並び、伯耆守を演じる梅玉さんの内蔵助や浪士達を厳粛な姿勢で裁きつつも、内蔵助の心情を否定せずに労わりさえ見せる姿は素晴らしかった。
ただ、堀部安兵衛を演じる市川中車は、『俳優・香川照之』の個性が強すぎた。
悪い意味で。
(呼び捨てで、失礼します)
確かに、『俳優・香川照之』として見れば、演技力はあるだろうし、これまで様々なキャリアを積んだことと思う。
だが、『歌舞伎役者・市川中車』として見るとなると、話は別だ。演技の基礎は出来ているのかもしれないが、歌舞伎の基礎は、初心者の私から見ても出来ているのか甚だ疑問で、『俳優・香川照之』としての個性が強すぎて、彼だけ演技も動作も浮いているように見えた。
あまりの仕上がりに、姉、ブチギレ。
姉「歌舞伎、舐めてんのか」
私「この件に関しては、お姉ちゃんが正しい」
母「初心者すぎる私でも、無理」
以前、仁左衛門さんが、
仁左衛門さん「私が指導した通りにしなくても良い。基礎をしっかり掴んだ上で、自分のやりたいようにやりなさい」
と愛之助さんと中村獅童さんへの演技指導の際に言っていたのをTVで見たことがある。
本当にその通りだと思った。
だからこそ、仁左衛門さんや梅玉さんを始め、出演していた役者さん達が素晴らしかったので、本当に残念だった。
『色彩間苅豆 かさね』
総評
心中を約束した仲の、浪人・与右衛門(中村萬太郎さん)と腰元・かさね(中村萬壽さん)。
土壇場で出奔した与右衛門は、かさねと木下川の堤で再会するのだが、川面に鎌の刺さった髑髏が流れついて……。
というあらすじなのだが、『七月大歌舞伎 夜の部』での萬壽さんは立役だったのもあり、今回、初めて女方を演じる姿を見たのだが、とても美しかった。
また、萬太郎さんも『七月大歌舞伎 夜の部』以来だったが、更に立役としての凛々しさ、雄々しさが増していて、格好良かった。
(↓『七月大歌舞伎 夜の部』についてはこちら)
思わぬ形での父子共演だったが、萬壽さんと萬太郎さんによる『四谷怪談』にも似た運命を辿る与右衛門とかさねの姿は、鬼気迫るものがあった。
姉「萬太郎さん、さらに格好良くなったよね」
私「萬壽さん、綺麗…」
母「2人共、凄い…」
『曽我綉俠御所染 御所五郎蔵』
総評
『片岡仁左衛門 監修』なだけあって、御所五郎蔵(中村隼人さん)と星影土右衛門(坂東巳之助さん)の演技の端々に、仁左衛門さんを感じた。
ちょっとした台詞や動作、仕草の間に仁左衛門さんの風味が加わって、隼人さんと巳之助さんの演技にさらに深みが増したように思う。
また、2人の因縁に巻き込まれる傾城・皐月(中村壱太郎さん)と傾城・逢州(上村吉太朗さん)が登場するのだが、壱太郎さんも吉太朗さんも美しく、特に吉太朗さんは本物の女性のようだった。
姉「隼人さんも巳之助さんも、格好良いけど、吉太朗さんが女性すぎる!」
私「可愛い!」
姉「しかもさ、五郎蔵が皐月と間違って逢州を切った後の見得でさ、刀に照明が当たった加減で廓の門のセットに使われた朱色が上手く反射して、刀に血が滴ってるように見えるの凄かった!」
私「確かに!」
母「巳之助さん、初めて見たけどよかったな…。ただ、お父さんがねぇ…」
姉、私「三津五郎さんのことは触れないで!笑」
危なかった(?)
『越後獅子』
総評
角兵衛獅子(中村鴈治郎さん、中村萬太郎さん、中村鷹之資さん)の舞は美しく、三者三様の踊りで見応えがあったのだが、何と言っても、
鴈治郎さんが、丸くて可愛い。笑←
萬太郎さんも鷹之資さんも品があってしなやかで、とても良かったが、鴈治郎さんに釘付けになってしまった。
だって、丸くて可愛いから←
終演後。
姉「仁左衛門様♡」
私「乙女だな。笑」
母「1年の締めくくりに、良かったね」
姉「うん♡」
私「お母さんはしばらく、『越後獅子』ブームだな」
母「だって…笑」
姉、私「何わろてんねんwwwww」
母は気に入ったのか、鴈治郎さんの真似を始めた。
(今もブームは続いている)
姉「鴈治郎さんの真似、やめれwwwww」
母「だって、丸くて可愛いからwwwww」
姉「分かるけどwwwww」
笑い合いながら、ふと、私は姉に言った。
私「鴈治郎さんって、舞踊物出ないイメージだったけど、出るんだね」
姉「出るわwwwwwwwwww」
大変失礼致しました。