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#今週の一曲一枚

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2019年6月から、InstagramとTwitterで始めた週一回の感想文。 シングルリリースの「一曲」やアルバム「一枚」、はたまたミュージックビデオまで。形式にこだわらず好き…
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2022年9月の記事一覧

ピアノ男 / Fakesax (2022)

ソフト音源の管楽器の音というのは、不思議な音だとずっと思っていた。ほかの楽器よりも、再現度が低いように思う。何が違うのかはよく分からない。完璧に再現できているように思うのだが、やっぱり何か違う。 でもそれが良いところでもあって、機械の管楽器の音がかっこいい、良い味を出しているポップソングはたくさんある。 この作品は、そんなソフト音源を「Fake」とはっきり言い切った上で、偽の音源だと割り切っているからこその、サックスとは全然違う音を用いた楽しい音楽になっている。 偽のサ

Ana Roxanne / ~~~ - EP (2019)

季節の変わり目には、こんな落ち着く音楽を体が欲する。くぐもったシンセサイザーの音が、心地よい。 派手なテクニックはないし、感動的なメロディーもない。踊っちゃうビートもない。 でも、とてつもない引力がある。何で好きなのかと問われるとよく分からないが、曲をスキップして聴くなんてできないし(あまりしないが、曲によってはしたくなる時はある)、耳を澄ましてしまう。 音楽を聴く時、いつもどんな楽器が使われているだのハーモニーがどうだのメロディーが、と思っているけれど、そういった類の

BIALYSTOCKS / 灯台(2022)

ファルセットで音が割れるところが好き。音が割れない録音に慣れているけれど、こうやって聴くと割れるという現象は物理的に自然な感じがするから不思議だ。 1曲の中で、ベースの音だけで始まったり、リズム楽器が消えたり、静かになったり、地声っぽい歌声と、裏声と。たくさんの質感が「めまぐるしい展開」「工夫を凝らした」とは良い意味で感じさせない、ただただ心地よく聴ける曲。 さりげなくドラムの手数が多いのと、ラテンパーカッションが最高。ゆったりしたメロディーに、打楽器って本当に映える。

el fog / Rebuilding Vibes (2009)

ジャケット画像でも分かるように、ヴィブラフォンを扱ったアルバム。全体的に「叩く」のは控えめで、わんわんと響いている部分を特に聞かせようとしているように感じられる。 機械のノイズやシンセサイザーの音が多用されているが、(電気の力は使うけれども)物体から音が直接出るのと、機械の音は違う音だなあと感じる。10曲目のNovemberは、特にそれを感じる。 1曲目のBrokenは面白く、これは拍手の音が入っている。これも物体から音が直接出ているが、録音したものを組み合わせているように聞