People In The Box『Family Record』俺的名盤レビュー③
こんばんは。
俺的名盤レビューシリーズなんですが、台風クラブ、セカオワと来て次は誰にしようかめっちゃ迷いました。
そして今日は先週に約4年ぶりの新譜を発売したPeople In The Boxを紹介しようかなと思います。
2003年に結成した彼らは現在進行形で名作を創り続けているんですが、今日は一般的に最高傑作と言われている『Family Record』を紹介します。
ポストロックやマスロックの雄、People In The Box。
2000年代後半から残響レコードを中心としたレーベルがよく扱っていたサブジャンルでしたが、当時からPeople In The Boxはその中でも頭ひとつ抜けていた印象があります。
それは影響を与えたアーティスト (米津玄師や川谷絵音といった大御所から、おいしくるメロンパンやリーガルリリーといった若手まで) もそうだし、
単純に音楽性としても、非常に難易度の高くて難解なリズムに挑戦していながら聴きやすさや心地よさも極限まで追求しており、その2つの要素が見事なまでに両立しています。
このアルバムも、#01『東京』からいきなり (多分!) 8分の13拍子が出てきます。でも、手数の多いベースのリフとドラムとのびやかなボーカルの対比が心地いいです。
#02『アメリカ』は4拍子で進む疾走感溢れるリードナンバー。すごく聴きやすいし、ピープルっぽい歌詞世界も魅力的です。
(この歌詞を「アメリカ」って曲名でやってるんだから凄い。。。)
#03「ベルリン」ではまさかのメタリックモジュレーションが登場。ジャキジャキ刻むギターリフはそのままに、終盤からいきなりテンポが変わります。
終盤のメロディもまたいい。。。
#05「旧市街」は彼らの代表曲。ポエトリーリーディング→Bメロ→サビ (コーラスあり) という展開も盛り上がりに一役買ってるし、ギターもリフ→アルペジオ→リフ→コード弾きって展開もメリハリがついていて流石です。
というか彼ら、3ピースとは思えない音の広がりを見せるから本当に凄いです。
最小限の音数で音楽をやってるのに、全然「ミニマル」じゃないし、むしろ聴いてると曲の情景が勝手にどんどん浮かんでくるくらい。
その後も#06「ストックホルム」#08「マルタ」#10「スルツェイ」と都市の名前が続きます。
どうやら家族旅行がコンセプトのようで、アルバムにもどこか闇を抱える家庭の描写がよく出てきます。
そしてこの旅行も最後は#11「JFK空港」に着地します。
個人的にこの「JFK空港」と#12「どこでもないところ」が大好きです。聴きやすい歌メロは勿論、コード進行も秀逸だし、何よりメランコリックでストーリー性のある歌詞がたまらなく好きです。
ピープルの歌詞は本人以外が完全に理解できることはないだろうし、本人達も解説をしてないので個々人の感受性によって感じ方も変わりそう。
個人的には散文的でありながらも歌詞の描く舞台からストーリーまでもが鮮明に浮かんでくるところが本当に素敵です。
…
「本当に素敵」って、語彙力なくなってるな。。。
でも百聞は一見にしかず、People In The Boxの楽曲は実際に聴いてみる方が良さがよく分かると思います。
米津玄師とか好きな人は特に聴いてみるのをオススメします。特に初期ハチはピープルにガッツリ影響受けた音楽性です。
全然わからないようでわかる、よくわかるようでわからない。でも、確かに良いと思える。曲も、歌詞も、まさにそんなバンドですピープルは。
こんなこと言うのはアルバムレビューをしている者失格なんですけど、このアルバムは結構右脳的なんで、左脳的にその良さを言語化したりすることは難しいです。感情や感性に訴えかけてくる感じがアートに近いです。
言葉足らずというか、魅力を完全には伝え切れなかったのは歯痒いんですが、この記事から一人でもPeople In The Boxを好きになれた人がいたら最高に嬉しいです。
というわけで今日は「JFK空港」のカバー動画でお別れです。最後の最後で語彙力が崩壊しましたが、これまじで聴いてください。特にこの記事読んでる知り合いは。
俺はこれ聴いて久々に涙が溢れました。
それでは。
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