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「平造夫妻」10 お役目編 「仮面の忍者赤影」青影・陽炎の両親のお話 R18 2806文字



城外、桜並木🔥
どんと響く爆音と共に続く、鳴き声のような音に、城の外や桜並木を見回っていた忍び達は、『何があった!』と、御殿の方から聞こえる音にすぐに振り向くと!!
夜目に輝く炎、空高い火柱に見た者全員が驚く


「御殿が火事!」


「あの火柱は、なんだ」

火事か!火事にしては」騒つく忍び達


「火を付けられたのか、御殿に火が!」殿御一族の報せを聞いて冷や水被った気持ちの中、巨大な火柱に、討ち死にしそこなった武士のように唖然と固まっている忍び達


「そんな事はいい、火を消しにいくぞ。火事ならば一刻も早く消さねば」矢で射抜くような厳しい声で、指揮を取る女白雪
皆その声に飛ぶ矢のごとく、走り出す忍び達
気配を消すのも忘れ



城の門番と忍び🔥
門前の門番と、忍びは爆音のする方角にすぐに体を向け、空高く見上る
夜目に輝く炎に、咆哮のように聞こえる音に驚く


「火事!」二人一斉に声を上げ


「何故」と、口にする門番に


「一緒に来い。火を消すぞ!」
場所を離れるのには不安はあれど、火事ならば直ぐに消さないとならず、不安を消し飛ばす
「直ぐに、他の忍び達も来る。行くぞ」


「はい」とたち吉の先輩門番は答え、二人は戸を潜る


桜並木、頭領飛影、四七しいな、一茶🔥
門前から一町の桜並木の入り口
頭領飛影は爆音に、すぐ様御殿に振り向き、上がってる火柱に、自分が残るべきだったと後悔をした


隣にいる一茶、四七も、御殿の火柱を見ている


頭領の口笛で、集まった忍び達も驚きを隠せず、焦りと不安と狼狽から口々に声出していた


「あの火柱は!」


「火事!御殿が火事!?」
    素っ頓狂な声が飛び交う


「火事か、火事にしては」頭領の言葉に
全員が、ぎょとした目で天に届きそうな炎に心を奪われていた。まるで天変地異を見るような顔だ。それも無理からぬ、今朝の雪と桜の光景に吉兆と気分よくした気持ちが、かき消されて、あれはなんだったのかと思えていた


「全員、御殿に行って火を消せ。わしは、ここで朝飛達を待つ。四七と一茶は、ここに残れ。私と共に」と頭領飛影が、指示を出す


「はっ」と全員頷き、矢のような勢いで向かい
また、炎を見て駆けつけた者達も、頭領飛影に合図を送り、御殿へと走って行く


「まさか、火をつけるとは。なら、何故最初からせん」と唸る飛影



雑木林 百道ももち、三平🔥
雑木林の手前にいた百道と三平も、玄流斎の住処に行く者を選び伝えていた時の事だった
爆音と共に辺り一帯を明るく見せる火柱に、御殿に火が付けられたと驚く
「あれは火柱!!何が?」と源流斎の住処の見張りにと集められた忍び達は、固唾を飲み気が焦り出していた

このまま、源流斎の住処へと行くのかと

城中に薬で眠らされている気を失っているだけと思える、女中や家臣達の事が気になった


「百道殿、御殿に火が」と、口々に飛び交う


「まさか、火が付けられるとは。左から三名、火事ならば火消しを手伝え。そうでないなら、頭領に指示を仰げ。我らに合流せよと言われるとは思うが」


「はっ」と三名は頷き、城にと飛び急ぐ


「我らは、このまま雑木林を見回ろう」の指示に、残った二名の忍びと三平が驚く


「玄流斎の住処に行かないのですか」残った忍びの一人が、言う


「殆どの者が、火消しに行っているだろう。ほぼ全員と行ってよい。見れば、どうしても行かねばならぬ。火事であったら、火を消さねばならぬしな。それでは、雑木林が手薄になる。行くのは火事かどうか、わかってからでもよい。それにな、奴らの手かも知れん」と百道


「あんな大きな炎で。火事でないと言うのですか」三平は、意外な顔をする
夜空を、あんなに明るく見せる火であるのにと言いたげな


「夜空をあんなに明るく見せる火であってもだ」読心を使う百道
三平と任命を受けた忍び達は、はっとした顔をした。汗をかいている気持ちに、風が吹いていくような気持ちに、全員なった

特に三平は、自分の心の中の一字一句違わない言葉を百道が言った事で、百道が読心使いと、再認識した。


ここにいる者達全員、百道の読心は聞いたぐらいにしか知らなかった。三平以外の忍びは一字一句のようには思わなかったが、自分の心を言い当てられた気持ちであった


百道は敵と相対すると、拳を交えながら相手の心を読み揺さぶり、惑わし、敵を自分の使いやすい駒に変え、手助けにきた仲間と裏切らせる結果を作ったり、自分の仲間と同士打ちさせる手腕を持つtl聞いていた事を思い出す
また、こうも言われていた。一騎打ちの相手に向かない、腹の黒い戦い方をすると

だからこそ、頭領は妖を扱う玄流斎の住処にと皆に思われての事と再認識する


「最初から火事にしなかったのは、何故と思わんか?」百道は、嗄れた声でいう


「じゃあ、あの火は幻術かなにかですか」百道から一番離れた忍びが、驚いたように言う


何寝ぼけた事言ってくれると思う、百道
殿達の惨劇は信じられぬ話であるし、惨劇を見てない者達には信じられず衝撃は高いにしてもと思う
「月が霞む程に明るく見える炎であるから、幻術ではなかろうよ。ただ、火を付けて回ってなければと思うな」(妖術師か皆そちらに思考が行き過ぎか?わしもか?)と、頭領飛影の口にしていた事を自分を比べる百道


「敵は一体、何名なんでしょう...。やはり、妖術師では?」震える声で言う、もう一人の忍び


「本当に何名であろうな?二名は確実であろうが」皆、玄流斎やお付きの男達の体型を思い出しては、疑問を重ねていた
それを見越して、百道は続ける
「下働きが買収されておったとすれば、何名であろうな」苦い顔をする百道
買収されたのが下働きなら、数はいても、忍びニ人いれば十分だが、火を付けて回られていたらと気持ちは歯軋りしたくなる程だ
「妖術師かどうかは、まだわからぬと言っても、思いたくなるよな。だが、決めてかかるな。正体がわからぬと言うのは、まったくもって厄介だな」丸め込むのが上手い百道

現地に行かずともと、玄流斎の抑揚のある言葉で、今自分達の言い分がなくなったと思う三平や他の忍び達は、御殿から遠い自分達が向かうよりと思う気持ちになってはいたが、少しづつ火の勢いが無くなっているのではと、徐々に炎の高さがなくなってはいると思ったが、他に見えないだけで火が広がっていないかと、気が気ではなかった


「ホー、ホー」と、雑木林からいつもより大きな梟の声を聞く。近くから、遠くからもいつもよりは大きな鳴き声

三平も他の忍び二人も耳をすましてる


「ホー、ホー、ホー」と、百道は大きく鳴き真似をする。


「ホー、ホー。ホー、ホー」
いつも静かな雑木林も、今日は騒がしい
それも、そうだ。大きな音に、いつもより明るい夜空。鳥や虫、動物達がざわつかない訳がない
鳴き声が、あちらこちらから響きわたる
梟の鳴き声は、次第に遠くの方へ遠くの方へと響き渡って行っているようで、玄流斎達の回りは梟の鳴き声はおさまっていた
それは了解の合図であり、最初の鳴き声は、指示待ちの合図であった




続く→
「平造夫妻」11  お役目編


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