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レア 囚われの身6🏰 (仮題) 2029文字
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第六章🌲🌲🌲
夏の暑さがあるなか、早くも冬の寒さを想像させる風があっても、まだまだ山の葉の色は変わることがなかったのですが、9月に入り一気に秋の色になり、レアは様々なオレンジや黄葉、紅茶の色の燃ゆる山々に「わぁ」っと楽しくなります。
秋から冬の景色の移り変わりは、レアにとって楽しみのひとつでした。心が弾むような秋の色に、深く息を吸い込みます。
レアが山に入ることもないし、下から木々を見上げることもない、秋のキノコを見ることもないし、落ち葉を踏んで山を歩くこともありません。
バルコニーには、風で飛んでくる葉っぱや小さい小枝が、バルコニーに転がってくるだけで、数も多くはありません。
ビュュュュュューと、秋の風の音が強く響き、レアは肩をすくめると同時に肩にかけた薄い水色のショールを前でぎゅっと掴みます。
白い夏生地のワンピースを着てるレアは、ブルっとしながら、
「そろそろ長袖かな」
といい、小塔に入り下に降りていきました。
1階の台所のテーブルに大きな袋があり中には、赤いコートに厚手の長袖の白のワンピースが2枚、チェックのショールが1枚、白い寝巻きが2枚入っています
「もう用意してくれたんだ」
と言い、
レアは釜戸に火を入れスープを温めます。
お皿にあるサンドイッチをパクパク、暖かい火にスープの匂いに寒かった体も、ほぐれていきます。
「夜も、このスープね」
とジャガイモがたっぷり入った量に頷き、まだまだ冷たいジャガイモを指で一つ掴んでモグモグ、熱く入れた紅茶を一口飲みます。カップを両手で持つ手は温かく、紅茶の色に香りに落ち着きます。
薄暗い台所で、椅子に座ってカップを持つレアの長い長い金色の髪と白いワンピースで、レアはとても厳かで光輝いて見え、お姫様がなにかの理由で幽閉されて、この場所ににいるように見えます。
「ショール色好きなんだけど、洗いに出した方がいいわよね。すぐに戻してって紙に書いておこう」
と、その時レア急に大きな声で言いました
「私の服、全部白ばかり?ショールやコート、セーターやカーディガンは色や柄はあるのに!秋の山のオレンジや黄色の着てみたいな。緑色とかも、紙に一緒に書いてみようかな?服の色のことも」
と口にした瞬間、急に体の軸がブレるようにドクっとしました。
レアは
(あれっ、ん?)
と思うも気にせず、スープをよそい食べ、服の入った袋を持って3階に梯子で上がってく途中、2階の途中で足を滑らせ、一気に一階の台所に大きな音を立てて落ちてしまいました。
背中から落ちたレアは、気がつくと3回の天井を梯子の通った穴から見上げていました。
気を失っていたのかは、レアはわかりませんでしたが、仰向けの体は痛みを感じますし、すぐには起き上がれませんでした。
(あー、落ちちゃった)
と、痛みがあるのに呑気に思うレア、右の膝から下の足がかなり痛みます。
起き上がるのに時間がかかり自分の体に怪我はないかと見回すと足がかなり痛く、
(前落ちた時は捻挫だったけど、捻挫ではないよう。右の膝下全体が痛い、足首回りは痛みはないけど、後で腫れるとかかな)と痛さ共々、レアはふーと息を吐き、足を庇いながらハイハイで袋から散った服を集め入れ、
「今日はもう降りて来ないから、持っていこ」
と、テーブルのリンゴ2個とパンも袋に入れ、長い髪はクシャクシャですが、袋の取っ手を左肩にかけ、右脚はぶらっとさせたまま、両手と左脚だけを使い、左脚で一段一段飛び、梯子を登っていく金色の体より倍の髪に白いワンピースのレアの姿は、長い金色の髪がそう思わせるのか、見えない糸に引き上げられていくよう、スルスルと、綺麗な蜘蛛が上に上がっていくように見えます。
当のレアは、少しボーッとしているようでした。
上を見上げて、両手と片足で登るレア。
両手を交互に梯子段に手をかけるたびに、ふらっと目を閉じたりしていました
(つい眠りそうになる、眠い。眠い、眠い。落ちた直後だから?眠い、眠い、眠い!なのに、体の奥から湧き上がってくる衝動とざわめきが、一段一段上がるたびに、眠けと一緒に上がってくる。この感じは、ナニ?眠いのに、麻痺していた思考が薄れていく感じ、これは、ナニ?」
レアが、梯子に一つ一つ捕まる力が強くなっているように見えます。
「また、落ちたくないんだけど。眠い、眠いのに。霧が晴れていくこの感じ、『私、いつから此処にいるの?』、『何回、一年を繰り返してるの?』、ねぇ私今ナニを考えてる?」と、言いながら眠けとともに登り、3階の床の穴から、眠りたそうな顔を出すレア。
袋を床に置き、這い登り、レアは部屋の暖炉の前に座わり、右脚はヒビか折れているように思いましたz
(どのくらいで治るかな)と思い、ゆっくりと床に転がって、眠ってしまいました。
レアが起きた時は、翌日の朝早い時間でした。
レアは夕食を食べ損ねたのを残念に言い、欠伸をし、右脚は痛いままで、暖炉に火をつけ、暖かさから暖炉の前でまた寝てしまいました。
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レア 囚われの身6 🏰 (仮題)
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