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85年生きました。恐怖、純愛、素朴を知りました。戦争、引き揚げ、混乱、餓死を体験しました。
明治、大正、昭和、平成、令和、戦争、政治、国際、金融、経済、起業、社会、健康、医療過…
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#無個性
小説「死ぬ準備」勝手に抜書き編
顔のない男
私が四十歳になった頃の話である。百歳で死んだ母はつくづく私の顔を見ながらいった。
「あのおじいちゃんの孫だものね。人並みに世間に揉まれて出世できる顔じゃないね」と母はしみじみと私の顔を眺めながらいった。
「金のない男は顔のない男と同じだよ」ともいった。
母は辛辣な批評家でもあった。
「もう出世は無理ね。出世する人間はそんな顔していないよ。父ちゃんも駄目だったけどお前も駄目だね。タン