『夢』より『好き』を言葉に。
二月中旬、ちょっと縁があって超個人的なコミュニティの為にBGMを作ってほしいと頼まれた。去年からみれば、思ってもみないことだ。
『夢や願い事は口に出すと叶う』という法則を、世で成功している人ほど提唱しているように思う。その法則を信じていた私も少し前、
「歌手になりたい」だの、「ラジオに出てみたい」だの、
ほざくだけほざいては、大した努力もせず上手くいかない事に傷ついていた。今思うと、それは自己憐憫に浸っていただけなのだ。
もちろんその法則を完全否定するわけではない。少しずつ音楽と向き合えるようになって、自分の夢や願いを口に出してまわりを動かしていくことより、まずは音楽を形にするための内なる実験を重ねていくことの方がよっぽど大切だと、やっと気づくようになった。
最近は夢を語る代わりに、『趣味は音楽をつくることです』と言えるようになった。正直、自分が暗中模索でやっているこれが趣味だとは到底思えないし、若干のプライドと意地が邪魔をする。
それでも、本当の夢や願望を口にしたとき、他者から揶揄されることの方が辛い。やりたいことをやるのに年齢は関係ないと思うが、世間はこの歳で夢を語る人に冷たいのを知っている。今持っている熱量を自分が正しく認知し守っていくことが夢への近道なんだ。まわりの同意や同調などは必要じゃない。
そんな捻くれた情熱をひた隠し、へらへらとリモート打ち合わせで自己紹介をしたら、冒頭の頼みに繋がった。
もしかしたらこれこそ、例の法則の実現!?
と思ったりもしたが、違うだろう。
私がこっそり隠してきた情熱と実験が、たまたま発した言葉が良い感じに相まって人に届いたのだと思う。
今の私には、夢より好きを言葉にするのがちょうど良い。