46億年+26年×∞のいのち
DTMで曲のスケッチをするようになって数日。
あたりまえだが、なかなか思うようにはいかない。制限時間1時間で、トラックはSynth、Kick、hihatだけ。頑張って6小節ぐらいだろうか。。。フィードバックは一週間おきぐらいでやってみようと思う。
実家暮らしのお陰か、精神的にかなり安定した生活を送っている。むしろ、生ぬるい生活を送っているから、何か大きな変化が起こった時はどうなってしまうんだろうと思っている。でも、ついこの間までの精神状況は
不安×100
適当に表わすとこんな感じ。夜眠れないないとか、異常に白髪が目立つとか、そういう健康に影響するよくあるタイプのやつ。東京で暮らしていた数年間は、めまぐるしく変化する環境と、変わらない自分の落差に疲弊していたのだと思う。別に今もけっして不安がゼロという訳ではないけど、×3ぐらいですんでる。結構少ない。
昔はもの足りなかった地元の環境だが、今はゆっくりと時間が流れていることに安心感を覚える。自分の変化とだいたい同じぐらいだからかもしれない。もちろんコロナには気をつけなくてはいけない緊張感はある。でも両親と一緒に暮らし、騒音を気にせず大きな声で歌える。そして今年甥っ子が生れた。毎日スマホで生れたばかりの赤ちゃんの画像をなめるように見ていられる。ちょうどいい。これくらいが。私は平和だ。
今朝、毎日見ていた「池上さんのニュース検定」が突然終わりを告げた。
よく考えれば年度末であるし、番組が変わるのはしかたない。世の中は動いている。
しかし、今日が何曜日なのかもわからないような生活を送っている私にとって、突然の出来事だった。動揺した。あのコーナーに思い入れがあるわけじゃないし、ボケっと見ていたから正直内容なんて殆ど頭に残っていない。でも、ずっとこの先もあたりまえのように続くと思っていたことが、こんなにあっさりとなくなってしまった。ちょっと怖い。
今日のクイズは「地球が誕生してからおよそ何年?以下の選択肢のうちどれでしょう」
青:46万年
赤:46億年
緑:46兆年
奇しくも私は即答できた。答えは赤の46億年。
なぜなら、一昨年の一年間だけ仏教を勉強していて、これを耳にたこができるほど聞いていたから。
「あなたは年齢はいくつですか?生れてから20年と少ししか生きていないと思っているかもしれないが、今身体に流れているDNAは、地球がビックバンで生れてからの約46億年の歳月の上になりたっているのです。だから、あなたの本当の年齢は46億年+25年なのですよ。」
少々忘れっぽいおじいちゃん先生は、このくだりを一年間のうちに何回も繰返す。
当時はもう飽き飽きしていたので、後半から聞き流していたが、この思想はもはや暗示となって、不安指数が×100だった私を楽にしてくれた。
たいそうな期待を懐いて出てきた東京で、私は何にもなれなかった。社会一般の人がこなしていることさえもままならない。ここで何をしているのだろう。なぜ行きたかった道にいないのだろう。年だけがくれていって、自分の貴重な若さを無駄遣いしているようだった。私は、もう25歳だった。
46億年なんて数字、想像出来ないし、イメージすることさえ途方もない。私が今挑戦しているDTMの苦労なんか比べものにもならない。46億年のうちの人間の人生なんて、瞬きにも満たないし、そんな一瞬をああでもないこうでもないと悩んでいたって、どうしようもないじゃないか。
肉体が朽ち果てて人生の時間がつきたとしても、それは終わりではない。長い長い螺旋状の糸の中で、いのちは形を変えて続いていく。私はその一部だ。それを理解できた時、心にストンと落ちて、不安の質が変わった気がした。自分の年齢なんて、もうどうでもいい。
池上さんの解説を聞きながら、そんなことを思い出して、クイズの答え合わせが終わった頃には、さっきの動揺も恐怖も忘れていた。
いのちは続いていく。
私は続いていく。
過去にも未来にも。
甥っ子が可愛くてしかたない。
曲作りも楽しくなってきた。
ご飯が美味しい。
私は平和だ。