膝関節屈曲拘縮がある場合の車椅子シーティング
今日はシーティングの症例まとめです。
高齢者施設において、人的問題や離床時間の確保の観点から良し悪しにかかわらず利用者が車椅子で過ごす時間が長区なる傾向にあるかと思います。今回経験した症例は「膝関節屈曲拘縮」という壁にぶつかり施設の車椅子では対応できず、自費レンタルという形で対応しました。
しかし、車椅子選定の結果得られたベネフィットは大きく
・車椅子姿勢の改善
・姿勢保持中の全身の過緊張の軽減
・移乗介助量の軽減
・離床時間の延長
という効果が得られました。
症例の基本情報
ネット上ですのでかなり簡便に入居者の身体的特徴を記します。
・60代男性、10年以上前に交通事故による脳挫傷と多発性脳梗塞を発症
・上肢機能は残存、車椅子自走や食事の自力摂取は可能
・下肢は屈筋の緊張が優位で起き上がり、移乗動作は中等度介助
・両股関節屈曲80°と制限あり、両膝関節は屈曲拘縮あり-100°。
標準的な車椅子を使用した際の問題点として
・膝関節屈曲拘縮がありフットサポートに足が乗らない
・無理にフットサポートに足を乗せようとした結果、殿部や大腿がずりおち仙骨座りのような姿勢となる
・接地面の少ない姿勢が続き乗車中の疲労感、全身の筋緊張亢進が見られる
上記の問題点に対してお世話になっている福祉用具のレンタル業者に連絡をとり相談したところいくつかの車椅子を紹介されました。
ネクストコアーくるり(松永製作所)
こちらの車椅子は座面の真下にフットサポートが位置するタイプになります。これにより回転半径が小さくなるため小回りの効いた操作が可能になることから「くるり」と名付けられています。
フットサポートを手前に移動させた分、前輪キャスターは横にずれた形状となり、安定性向上のため後方にもキャスターが着いた6輪式となっているのも特徴です。
こちらの車椅子は車椅子姿勢こそ良肢位でしたが、アームレストの跳ね上げが自走式だとできない点、重量がネックとなり自走での重量感から却下となりました。
グレイスコア(松永製作所)
同じく松永製作所の最新作、グレイスコア。こちらの車椅子はネクストコアくるりほどは座面下にフットサポートが位置していないものの、膝関節が屈曲90°のあたりに落ち着くよう比較的手前に位置している機種になります。
こちらの方がバックサポートの機構が最新のものでリクライニング角度もちょうどよく、私も座ってみましたが背中全体をトータルで支えられている感じが強く感じられました。
総合点で姿勢評価をしたところ、グレイスコアで今回決定したいしました。
まとめ
膝関節屈曲拘縮、もしくは全身の緊張が高く車椅子姿勢で膝が屈曲しやすい方も臨床上多くみられます。
同じような症例でお悩みの方がいらっしゃれば今回ご紹介した車椅子もご一行いただけると良いかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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