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ビールスタイル図鑑【エール編】

これはなに?

世界のビールやクラフトビールのビールスタイルについて、その発祥地と製造方法、味わいの特徴をまとめたものになります。

僕自身が、よく世界各地のビールやクラフトビールを飲むのですが、飲んでいるとその歴史や特徴を知りたくなってきます。

しかし、そのスタイルの特徴がまとまっているものが存在しなかったので、自分で整理してみようと思い、記事にしました。

ビアバーに行く際は、ぜひこの図鑑を片手にビールを楽しんでください。

今回は【エール編】です!では、はじめます!

【ペールエール系】

1. ブリティッシュペールエール

発祥地: イギリス・バートン・アポン・トレント
発祥時代: 18世紀後半
製造法:
- イギリス産ペールモルト使用
- 硬水で醸造
- イギリス産ホップ使用
- 上面発酵(18-20℃)
特徴:
- 琥珀色〜銅色
- IBU: 20-40
- ALC: 4.0-5.5%
味わい:
- モルトの甘みとホップのバランス
- フルーティな香り
- ミネラル感のある味わい
雑学・豆知識:
- バートンの硬水が独特の味わいを生み出した
- インド向けのIPAの原型となった
- 「ペールエール」という名称の発祥となったビール

2. アメリカンペールエール

発祥地: アメリカ合衆国
発祥時代: 1980年代
製造法:
- アメリカン2段モルト
- アメリカンホップを大量使用
- クリーンな酵母使用
特徴:
- 淡黄金色〜琥珀色
- IBU: 30-50
- ALC: 4.5-6.2%
味わい:
- 柑橘系のホップの香り
- クリーンな麦芽の甘み
- さわやかな後味
雑学・豆知識:
- クラフトビール革命の先駆け
- シエラネバダ社が確立
- 現代のクラフトビールの基準となった

3. インディアペールエール (IPA)

発祥地: イギリス(現代版はアメリカ)
発祥時代: 1780年代
製造法:
- ペールモルトベース
- 大量のホップ使用
- 上面発酵後の長期熟成
特徴:
- 黄金色〜琥珀色
- IBU: 40-70
- ALC: 6.0-7.5%
味わい:
- 強い苦味と豊かなホップ香
- しっかりとしたモルト感
- アルコールの温かみ
雑学・豆知識:
- インドへの輸送用に開発
- ホップの防腐効果を利用
- 現代のクラフトビールの代表格

4. ベルジャンペールエール

発祥地: ベルギー
発祥時代: 20世紀初頭
製造法:
- ピルスナーモルトベース
- ベルギー産酵母使用
- キャンディシュガー添加
特徴:
- 淡黄色〜黄金色
- IBU: 20-35
- ALC: 4.8-5.5%
味わい:
- スパイシーな酵母香
- フルーティなエステル香
- 軽やかな口当たり
雑学・豆知識:
- 修道院ビールの影響を受けている
- 独特の酵母が特徴
- 食事との相性重視

【琥珀/赤系エール】

1. アンバーエール

発祥地: アメリカ合衆国
発祥時代: 1980年代
製造法:
- クリスタルモルト使用
- アメリカンホップ
- 中温発酵
特徴:
- 琥珀色〜銅色
- IBU: 25-40
- ALC: 4.5-6.2%
味わい:
- キャラメル風味
- バランスの取れたホップ
- モルトの甘み
雑学・豆知識:
- アメリカンクラフトの定番
- オールシーズン対応
- 食事に合わせやすい

2. アイリッシュレッドエール

発祥地: アイルランド
発祥時代: 19世紀
製造法:
- ローストバーリー使用
- 軟水での醸造
- 伝統的な上面発酵
特徴:
- 赤褐色
- IBU: 18-28
- ALC: 4.0-5.0%
味わい:
- 軽いロースト感
- スムースな口当たり
- 軽い甘み
雑学・豆知識:
- スミスウィックスが代表的
- セントパトリックスデーの定番
- 「赤毛」にちなんだ名称

3. スコッチエール

発祥地: スコットランド
発祥時代: 19世紀
製造法:
- ピートモルト使用
- 長時間煮沸
- 低温発酵
特徴:
- 濃い琥珀色〜茶色
- IBU: 15-30
- ALC: 6.0-8.0%
味わい:
- キャラメル風味
- スモーキーな香り
- しっかりとした甘み
雑学・豆知識:
- ウイスキー文化の影響
- 寒冷地向けの高アルコール
- 伝統的な製法を継承

【ブラウン/ダーク系】

1. ブラウンエール

発祥地: イギリス
発祥時代: 17世紀
製造法:
- ブラウンモルト使用
- イギリス産ホップ
- 中温での上面発酵
特徴:
- 茶褐色
- IBU: 20-30
- ALC: 4.2-5.4%
味わい:
- ナッツのような風味
- チョコレート風味
- キャラメルの甘み
雑学・豆知識:
- ロンドンの労働者の飲み物として人気
- ニューカッスルブラウンが代表的
- 一時期絶滅の危機に

2. ポーター

発祥地: イギリス・ロンドン
発祥時代: 1720年代
製造法:
- ペールモルト、ブラウンモルト、ブラックモルト使用
- 長時間熟成
- 上面発酵
特徴:
- 濃褐色〜黒色
- IBU: 18-35
- ALC: 4.8-6.5%
味わい:
- ローストの苦味
- コーヒー風味
- チョコレートの風味
雑学・豆知識:
- 港湾労働者(ポーター)に人気で名前の由来に
- スタウトの原型
- 産業革命期のロンドンで最も人気

3. スタウト

発祥地: イギリス・アイルランド
発祥時代: 18世紀後半
製造法:
- 焙煎大麦使用
- ブラックパテントモルト
- 上面発酵
特徴:
- 黒色
- IBU: 30-45
- ALC: 4.0-8.0%
味わい:
- 強いローストの風味
- エスプレッソのような苦味
- クリーミーな口当たり
雑学・豆知識:
- ギネスが代表的ブランド
- 「スタウト」は「強い」の意
- 当初はポーターの強いバージョンの意味

4. バーレイワイン

発祥地: イギリス
発祥時代: 18世紀
製造法:
- 大量のモルト使用
- 長時間煮沸
- 長期熟成
特徴:
- 琥珀色〜濃褐色
- IBU: 35-70
- ALC: 8.0-12.0%
味わい:
- 濃厚なモルトの甘み
- 複雑な熟成香
- アルコールの温かみ
雑学・豆知識:
- ワインに匹敵するアルコール度数
- 貴族向けの高級ビール
- 熟成により味が変化

【小麦系エール】

1. ヴァイツェン/ヴァイスビア

発祥地: ドイツ・バイエルン
発祥時代: 15世紀
製造法:
- 小麦麦芽50%以上使用
- 特殊な酵母使用
- 高温発酵
特徴:
- 淡黄色〜黄金色
- IBU: 8-15
- ALC: 4.3-5.6%
味わい:
- バナナのような香り
- クローブ風味
- 爽やかな酸味
雑学・豆知識:
- バイエルン王家の専売特許だった
- 特殊なグラスで提供
- 酵母を残して瓶詰め

2. ウィットビール

発祥地: ベルギー
発祥時代: 14世紀
製造法:
- 未発芽小麦使用
- コリアンダー、オレンジピール添加
- 上面発酵
特徴:
- 白濁した淡色
- IBU: 10-20
- ALC: 4.5-5.5%
味わい:
- スパイシーな香り
- 柑橘系の風味
- さわやかな後味
雑学・豆知識:
- 「白ビール」の意味
- 一時絶滅するも復活
- ヒューガルデンが代表的

3. ベルリナーヴァイセ

発祥地: ドイツ・ベルリン
発祥時代: 16世紀
製造法:
- 小麦麦芽使用
- 乳酸発酵
- 低アルコール発酵
特徴:
- 非常に淡い黄色
- IBU: 3-8
- ALC: 2.8-3.8%
味わい:
- シャープな酸味
- レモンのような風味
- ドライな後味
雑学・豆知識:
- ナポレオンが「北のシャンパン」と呼んだ
- シロップを入れて飲む習慣
- ベルリンの伝統的な夏の飲み物

【ベルジャン系】

1. デュベル

発祥地: ベルギー
発祥時代: 1920年代
製造法:
- ピルスナーモルト
- 瓶内二次発酵
- 特殊酵母使用
特徴:
- 黄金色
- IBU: 25-33
- ALC: 8.5%
味わい:
- フルーティな香り
- スパイシーな風味
- 複雑な味わい
雑学・豆知識:
- 「悪魔」を意味する名前
- 見た目と強さのギャップが特徴
- 専用グラスでの提供にこだわり

2. トリペル

発祥地: ベルギー
発祥時代: 1930年代
製造法:
- 大量のピルスナーモルト
- キャンディシュガー添加
- 長期熟成
特徴:
- 黄金色〜琥珀色
- IBU: 20-40
- ALC: 7.5-9.5%
味わい:
- 濃厚な麦芽の甘み
- 複雑なスパイス感
- アルコールの温かみ
雑学・豆知識:
- 「3倍」を意味する名前
- ウェストマレ修道院が確立
- ベルギービールの代表格

3. セゾン

発祥地: ベルギー・ワロン地方
発祥時代: 18-19世紀
製造法:
- 複数の穀物使用
- 特殊な農場酵母
- 長期熟成
特徴:
- オレンジがかった濁り
- IBU: 20-35
- ALC: 5.0-7.0%
味わい:
- スパイシーな風味
- 軽い酸味
- ドライな後味
雑学・豆知識:
- 農場労働者のための季節ビール
- 各農場で独自の製法
- 現代のクラフトビールに影響

4. ランビック

発祥地: ベルギー・ブリュッセル周辺
発祥時代: 中世
製造法:
- 自然発酵
- 古樽での熟成
- 未発芽小麦使用
特徴:
- 淡い黄色〜琥珀色
- IBU: 0-10
- ALC: 5.0-6.0%
味わい:
- 複雑な酸味
- ワインのような風味
- 野生酵母の特徴
雑学・豆知識:
- 世界で唯一の自然発酵ビール
- ゼンヌ川流域でのみ製造可能
- フルーツを加えた種類も人気​​​​​​​​​​​​​​​

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