大切な本58「やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記) 」
日記で読む海外の日々
アイオワ大学に世界の書き手が集まり約10週間を過ごす、IWP(インターナショナル・ライティング・プログラム)に参加された滝口悠生さんの日記。自分はただの一人の読みびとでしかないけれど、なんて素敵すぎるプログラム…と、現地の様子に思いを巡らせながら楽しく読んだ。
IWP…どこかでも聞いたことのあるプログラム?と思ったら、柴崎友香さんも滝口さんの2年前に参加されてて、彼女は「公園へ行かないか? 火曜日に」という連作小説集のかたちで記録されている。日記形式ももちろん好きだけれど、敢えてフィクションで表現された彼女の作品も素敵だったな。
海外での生活、自分には別世界のことのように遠く感じられる。仕事や結婚を機に思いもよらず海外生活となった人、夢を追って自分の意志で叶えた人、きっかけは色々だけど、実はそう無縁のことでもないのかもしれない。
最近妹がふと「アメリカで住もうかな」なんて言うからどきっとしたけど、いやいやこんないつ沈没するかわからないような先の見えない日本に固執する必要なんてどこにもないかもと思ったり。
自分も日記をつけているけれど、代わり映えしない毎日にため息が出そうなここ最近。いきなり海外とはいわずとも、もっと多様な経験を日記に綴れるような日々にしていけたらいいな。