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大切な本③「ノルウェイの森」

村上春樹さんの魅力、「文化的雪かき」


高校の図書館でその装丁に惹かれ手に取った「ノルウェイの森」。それまでの読書体験とは全く違う世界が広がった瞬間!デビュー作「風の歌を聴け」から作品を追うのが楽しくて、新刊が出るたびわくわくしてた。

語り口はどの作品もスタイリッシュ、異世界や大人の領域をこっそり覗くようで、文字を追う行為がなんだか粋にも感じたっけ。「アンダーグラウンド」などノンフィクションにも感銘を受け、作者自身の思想にもかぶれるようになっていった。村上春樹さんの小説に出てくる女性たちは男性の都合の良いふるまいをすることも多々あるから、無闇に信奉しているわけじゃない。それでも彼の作品からはとても多くの影響を受けた。「小確幸」「文化的雪かき」「文学的井戸掘り」(これは先日の「春のみみずく朗読会」で触れられたことば。ああ素敵なひと時だったなあ…!!)なども大切にしたいことばたち。

2000年代の拉致問題のさなか、とある私の経験をメールで送ったら真摯にしかもユーモアを交えた回答をくださって感激した。書籍にそのやりとりが掲載されたのはささやかな自慢♡

エルサレム賞受賞スピーチ「壁と卵」も印象強く、今でもその全文記事をとってある。著名人がこうしたメッセージを社会へ投げかけることの影響力を知った。自分はただの一市民にすぎないけれど、自分が大切にしたい指針は世論に押しつぶされず曲げずにいたいし、必要だと思ったら勇気を出して声をあげたいと思う。

好きな作家さんができるととにかくその作品を全部読みたくなる。先をゆく先輩たちが世の中のどこを見、何を感じているのか、学校の授業よりもずっとずっと多くのことを様々な作家さんから学ばせてもらっているように思う。


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