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愛する猫の命が天に還っていった。ここにある喪失感から、今日これからをどう生きようか。 ( 4 ) 〜土葬編〜
▼こちらの続きです。
ひさしぶりに朝すこしすっきりした気分で起きた。
朝といっても、最近は夜眠れなくて起きるのもお昼になってるけど・・・
今日はあおを土に還していく日。
外にでて、ぴよとこけ(鶏たち)を庭に放ち、
「どこがいいだろうか。」と思いながらブラブラとあるく。
いつもあおちゃんがトイレをするところが気になって
その近くに穴をほってみた。
ちょっと不思議な感じがしたけれど、悪くなかった。
その後シェアメイトたちが出てきて、「もうすこし奥の、プラムの木のねっこのところはどうだろう?」と声があがった。
そこは少し暗くて大きなコンポスト用のプラスチックがあって、すこし悩んだけれど、草を刈ってコンポストをどけて、ゴミを捨てたら、風が通って、なにかしっくりくる感じがした。木の根っこがあるから、空気も水も通っている。
もともとは「あお」という名前だから、あおの眠っている土壌に青いブルーベリーの木を植えたかったけれど、もともとあるプラムの実はとても美味しいし、庭をみわたせるし、木に登ってあそぶこともできる。
「ここにしようか」といって、プラムの木の近くに穴をほった。もみがらくん炭と炭(竹炭、木炭)と落ち葉を集めて、準備を整えた。
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あたたかくて、沁みて、ありがたかった。
少し広い範囲で、小さくて深い穴をいくつもあけて、くん炭や炭をいれる。ぐりぐりしてなじませる。あおちゃんが横たわる場所には、落ち葉でベッドをつくる。
あおちゃんの身体を抱いて、落ち葉の上に寝かせる。
もう固くて、コチコチのあおちゃんがちょうどすっぽり入るくらいの穴は、いつも小さな箱にはいってあそぶあおちゃんにとって、居心地が良さそうだった。
あおちゃんの周りにも炭をまいて、少しずつ土をよせ、落ち葉をかけていく。
顔以外のすべてが隠れた。
「あおちゃん。今までありがとうね。これからは天に還って、安心して楽しく遊んでね。」
それぞれが、心のなかで声をかけ、
手を合わせる。
もう、泣き崩れるほどではなく、すこし笑えるようになった私は「この場所を心を込めて、整えていこう。あおちゃんの周りに花をうえて、みんなが笑顔で集まる場所にしよう。」と少しこれからを想えるようになっていた。
あおちゃんのおかげで、
より一層祈りが日常のなかに、
もうあたりまえのようにあるよ。
こうやって心をともにして、生きていくんだね。
ここにきて、生命が巡っていくんだということを思い出すね。
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数日後、私は実家に帰った。
年末は「あおちゃんがいるから長く帰れない」と断っていたのだけれど、今はなんの心配もいらない。
いずれ来るであろう親の死も、今までで一番リアルに感じ、重い腰を上げて会いに行った。
「ね、万が一のときにはお葬式には誰を呼んでほしい?どんなお墓にしてほしい?」と聴いたり、今までよりもまた少しだけ思いやりをもって、会話をすることができた。
誰かの嘆きや、嘆きを通り越した批判や怒りの表現を聴く時、自分の余裕がないとキャパオーバーになり、心が苦しくなったり、耳を閉じたくなることがある。
今回、もちろん心身は万全ではなかったけれど、この弔いの日々のなかで自分が嘆きにたえた分、人の嘆きを受け取ることもできるようになったのかもしれない。
今までで一番、母の話をそのままにちゃんと受け取れた気がした。
なにかほっとする気持ちがあった。
今までの人生で蓋をして、押し込めてきたものがひらき、光があたり、そして自然と閉じていくというプロセスがまた動きだすのを感じる。
古民家に帰ってくると、共に屋久島を旅した友人から
本と手紙の贈り物があった。
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亡くなった方が語りかけてくれるような
やわらかい詩が、1ページに1行かかれていて
あおちゃんからのメッセージのよう。
わたしのことを、これまでどおりの親しい名前でよんでください。
あなたがいつもそうしたように。
気軽な調子で話しかけて
詩:ヘンリー・スコット・ホランド 絵:高橋 和枝 発行者:島田潤一郎
そうだね、
いつまでも悲しい顔であおちゃんの名前を呼んだり、
寂しい気持ちばかり思い出していなくていいよね。
あおちゃんとの日々のなかで感じた
限りない幸せと愛を、いつでも思い出して
名前を呼ぼう。
そして、私がこれからも
あらゆる存在との間で感じるかけがえのないあたたかさが
どれだけ貴重で、幸せなものか、いつも思い出せますように。
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P.S.
そうだ、あおちゃん。あおちゃんが還ってから数日後、はじめてぴよたちが卵をうんだよ。こけーって言って、みんなげんきにしてるよ。そろそろあったかくなってきて、だんだん春っぽくなってきた。そちらはどうですか?
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あおちゃんとの日々を、忘れないために。
安心して忘れ、また思い出すために。
この体験から、新たに私の生命を生きる意味を見出すために。
喪失感や弔いや、生命に向き合う人との分かち合いのために。
最後の日々をここに残しています。
あなたは本当に自由気ままで、愛らしい。
猫アレルギーのシェアメイトの車に乗り込んだり、母屋にのりこんで、勝手に笑ってゆるされちゃうくらい居心地よさそうに寝てたね。
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古民家の塀で門番のように寝転んでいたり、
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避難訓練のために、バッグに入ったこともあった
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変な寝相でたくさん笑かしてくれてありがとう♡
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最後までよんでくれて、ありがとうございます♡
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最後に、土葬の参考にさせていただいたものを載せておきます。