『りゅうおうのおしごと!』は何故ロリなのか

『りゅうおうのおしごと』の最新巻を読んで、目頭を熱くしてしまった。

私が初めて手にしたラノベである本作は、将棋の熱い勝負の世界が直球で描かれている。メインキャラが女子小学生でロリコン要素が多いが、それはうわべだけで、厳しさや残酷さに満ちている。しかし、女子小学生でなければならない理由もちゃんとある。

女子小学生でなければならない理由
①女流棋士にスポットを当てている為
②才能や勝負の厳しさが重要なテーマである為

本作の女性たちの頂点にいるのは銀子という名の中学生であり、女流棋士相手に無敗のタイトルホルダーだ。最新巻で銀子に挑むのは、天衣(あい)という名の天才小学生である。二人とも才能や将棋への執着という点で他を圧倒している。

年齢に関係なく、才能の格差は厳然として存在する。持つ者と持たざる者がいて、持つ者の中でも更に持つ者と持たざる者に区別され、何度も選別を繰り返した先にプロ棋士や女流棋士の世界がある。さらに、本作を読めばプロ棋士と女流棋士の間にも途方もない差があることがよくわかる。

そして、勝負の世界では大人も子供も関係ない。相手との力の差、己の弱さ、心の揺らぎといったものを長時間かけて思い知らされる。思いがけない落とし穴もある。そして、対局中はたったひとりでそれを受け止めなければならない。

子供を子供扱いしない

先述の天衣は最新巻で苦しみを味わい尽くすことになる。彼女がもがき苦しむ姿を見ていると小学生であることを忘れてしまう(救いはあるので安心してほしい)。

この作品の良いところは、(盤を挟めば)子供を子供扱いしないところだと思っている。周囲は「まだまだ幼いのだから」と思ってしまいがちだが、本人達にそんな気はさらさらない。もう後が無いと言わんばかりに身を投げ出して戦う。紛れもなく本気で、大人と同じように痛みを味わっている。子供を侮ってはいけないことを教えてくれる作品だ。

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