Sonic Boom Vol.2 AIが暮らす街でマーケティング
美術館で絵画の鑑賞をする場合など、人もAIも同じような絵が記憶に残るという実験結果が出たそうです。(※1)
また、25体の生成AIキャラクターを作り、それぞれに性別や人格を与えて一つの街で活動させたところ、恋愛に発展したりパーティをしたりと人間と同じような活動をしたという実験も話題になりました。(※2)
つまり、LLMで生成されたAIは人間と似たような行動もするし、同じような感性も持っているということです。そこで、擬人化したAIをまるでゲームの「どうぶつの森」のような街に住まわせたら、その街自体がマーケティングテストの街になるのではないかというアイデアです。
「1000人のAIが住むメタバース・マーケティング・サービス」
サラリーマン、主婦、高校生、老人など様々なキャラクター設定した1000人のAIを実社会の構成比に合わせて生成します。
「シムズ」や「どうぶつの森」のようなメタバース空間を作り、そこでAIに生活させます。
このバーチャル・タウンでマーケティングリサーチのサービスを提供します。
まず、街のイメージはこんな感じです。
(出典 This is a pre-computed replay of a simulation that accompanies the paper entitled "Generative Agents: Interactive Simulacra of Human Behavior." It is for demonstration purposes only.)
このようなイメージの街に先ほどのAIたちに家族もろとも生活させます。
AIたちは会社にいったり、学校にいったり週末にスポーツしたりと、キャラクター設定に合わせて日常生活を送ります。
彼らはメタバース上で「生活」で企業の商品やサービスを試用したり、広告を見ます。その反応を検証することでマーケティング調査が可能です。
AIのペルソナ設定のイメージは下記です。
大宮市在住 男子高校生。アニメと音楽が好き。好きな女の子はいるが、話すだけで告白はできない。Tiktokやyoutubeショートみてるとついつい20～30分すぎてしまう。
同様に、家族の設定、友人の設定、学校の先生、父親の会社の設定などリアルなキャラクター設定を1000人作ります。
この1000人は日本の人口比に合わせて属性を設定します。
AIたちは現実と同じように1か月の収入が決まっています。
どのような消費をするかを考え、最も満足度が高いように消費をします。
そして、会社、学校、レジャー施設などもメタバースには用意されており実在の街に人間が暮らすのと同じようににAIが暮らしています。
このメタバース空間はいわば、人が住むデジタルツインの街。このAIの住むデジタルツインの街で広告効果や商品・サービスの売上予想の検証サービスを提供したいと考えます。
どのようなマーケティングサービスができるか。
1-広告効果の評価
「広告表現のビジュアルやCF(コマーシャル・フィルム)などを評価。」
生成AIたちはスマホでニュースを見たり、SNSを楽しんだりしています。
その中に広告を表示し、そのクリックレートやコンバージョンレートを検証することができます。
2-リアルなマーケティング・トライアル
「AIの消費行動を検証することが可能。」
電気店やスーパーマーケットなどでの買い物時にどのような商品を購入するか。
ゲームや映画などをがどのように視聴されるか。
それらの計測が可能です。
そのことから商品の購入意向などか予測できます。
★おまけのアイデア
将来は自分自身の分身AIを住ませることも可能にします。
自分の分身AIがマーケティング調査に協力した場合にはリサーチ料が支払われるようにすることもできると思います。
※1 wired日本語版の記事から「イメージを記憶に焼きつけるものとは何なのか？ 人とAIの“絵画鑑賞”から見えてきたこと( https://wired.jp/article/beauty-is-in-the-eye-of-the-beholder-but-memorability-may-be-universal/ )」この記事によると美術館などで絵画を見たときに多くの人間が同じ絵の記憶が残っているとのこと。
※2 「仮想空間の街の中で25人のAIエージェントの行動をシミュレーション」https://ai-scholar.tech/articles/large-language-models/generative-agents※資料2 実際の活動イメージがわかるデモサイトhttps://reverie.herokuapp.com/arXiv_Demo/