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無能生存体

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記事一覧

全体領域と境界について

「壮麗なるものには隠然として、邪悪なもの、怪異なもの、頽廃したものが秘められ、夜光のような輝きを放っている。」 森敦『意味の変容』    畏き白蛇の神に思いを馳…

nura
1年前

昼寝の夢日記

夢の中だけに存在する博多駅がある 異なる夢の中でも同一性を保って登場するが、見るごとに悪魔進化している 博多駅構内のラーメン部 ラーメンストリートのようなもの 人が…

nura
2年前

さか

榊に賢しげなる魚の逆巻きたる相模の酒場を遡りて、左岸の栄えし堺や美作にて諍いて探したるに、山河の性は嵯峨を境に騒がしたるものなく、佐賀、相良に下がりては咲かざる…

nura
2年前

日記

高校時代の友達から連絡があり趣味についての話をしていると 「特に趣味はないけど、強いて言うならば考えることが趣味だな。多分俺は他の人の4倍は考え事してる。」 と…

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2年前
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脳死書き流し4

去る街を過ぎ足を止めて見上げると線上の空が地平線の向こうまで広がっていて、消えた雲と空の間から撓み縺れた白い砂浜の景色が瞬いて降ってきた。砂すら描くことは叶わず…

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2年前

脳死書き流し3

 定まらない視点は常に一点を突くが如く浮いていて、開けた口からは何も出てこない。風の音は体を軋ませて、鋭く唸っている。左手は軽く握ってあって、何かを掴むでもなく…

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2年前

脳死書き流し2

 沈み行く太陽が地平の向こうへ降り立つとき、帯状の雲が途切れなく姿を変えながらそれを翳らせ、隙間から漏れ出て灼熱に晒された朱色の水面のような揺らぎを地面に映し出…

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2年前

脳死書き流し

 転んだ先の小さな溝から覗いた先の小さな庭には花が飾られていて、誰かが世話をしているようである。摘まれゆく花の下には摘まれた花が散らばっていて、束ねられる宛もな…

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2年前

全体領域と境界について

「壮麗なるものには隠然として、邪悪なもの、怪異なもの、頽廃したものが秘められ、夜光のような輝きを放っている。」

森敦『意味の変容』

 
 畏き白蛇の神に思いを馳せてみる。その蛇神を壮麗たらしめているものは何であろうか。それは鈍色に光る鱗の流れであり、二股に分かれた細く赤い舌を啜る囁きである。そして、とりわけ、その恐ろしき牙である。
 いまここに、蛇神が牙を抜かれたとしたら、それは自身の邪悪、怪

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昼寝の夢日記

夢の中だけに存在する博多駅がある
異なる夢の中でも同一性を保って登場するが、見るごとに悪魔進化している
博多駅構内のラーメン部
ラーメンストリートのようなもの
人がごったがえしていてどこも入れない
マイクぬわらによるリポート
「ここはどういうところなんですか?」
柔道部らしき男性の返答
「ただのラーメンストリートじゃなくて、魂がこもってるので「部」として最高っす!」
どこにも入れなかったのでラーメ

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さか

榊に賢しげなる魚の逆巻きたる相模の酒場を遡りて、左岸の栄えし堺や美作にて諍いて探したるに、山河の性は嵯峨を境に騒がしたるものなく、佐賀、相良に下がりては咲かざる酒匂の坂に盛れることなし。

日記

高校時代の友達から連絡があり趣味についての話をしていると

「特に趣味はないけど、強いて言うならば考えることが趣味だな。多分俺は他の人の4倍は考え事してる。」

と言っていた。
どんな考え事をしてるのかと問うと

「やっぱりウクライナ情勢を見て世界とか歴史の中に自分たちが生きているんだなと言うことを実感したよ。ウクライナ情勢毎日チェックしてるもん。ほんとに自分らは歴史の中にいるんだな」

−なんか

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脳死書き流し4

去る街を過ぎ足を止めて見上げると線上の空が地平線の向こうまで広がっていて、消えた雲と空の間から撓み縺れた白い砂浜の景色が瞬いて降ってきた。砂すら描くことは叶わず、ましてや砂浜などは描ききることは出来ないし、逆に描写し尽くさないことも難しい。砂浜は常に動いて留まらず、同じ様には二度とならない。3年間同じ人間でいられるわけがない。沖に浮かぶ船から砂浜を眺めたとき、人が賑やかにしていれば、これを良いこと

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脳死書き流し3

 定まらない視点は常に一点を突くが如く浮いていて、開けた口からは何も出てこない。風の音は体を軋ませて、鋭く唸っている。左手は軽く握ってあって、何かを掴むでもなく、それでいて縋るようにそっと置かれている。体を横たえて天井をふと見上げれば、青とも黒ともつかぬ深海の底のような重く静かな色をしている。浮いた目線が向くと、それは徐々に凝っていって粘りのある空気を結んだ。空気は体に纏わりついて重く、まるで沼の

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脳死書き流し2

 沈み行く太陽が地平の向こうへ降り立つとき、帯状の雲が途切れなく姿を変えながらそれを翳らせ、隙間から漏れ出て灼熱に晒された朱色の水面のような揺らぎを地面に映し出した。私が座っている目の前では風は穏やかであって、岩の隙間から手を伸ばし始めた細木に纏わりついた蔦の葉が小さく揺れるのが見える。

これ以上書くこともないので供養する

脳死書き流し

 転んだ先の小さな溝から覗いた先の小さな庭には花が飾られていて、誰かが世話をしているようである。摘まれゆく花の下には摘まれた花が散らばっていて、束ねられる宛もないままにひらひらと舞い、向かいの軒先の格子の中の摘まれぬ花のその種に身から溢れでて糞と混じってぶち撒けられた花弁を見せつけている。

 花よ糞よと呼ぶ声に反りて見れば忘れじの
 人の声とはあらねども思い出だすは土塊に
 還るときこそ苦しけれ

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