強い女より怖い女。ファントムシータに出会う夏。
ファントムシータ。
魂レベルで好きなコンセプトのアイドルが、この世に爆誕していたことを知って本当によかったです。
8月のわたしは基本的に気分が落ちこんでいます。
意味なくぼんやりネットニュースを見て、うっすら世の中に絶望していたそんな夜のことです。
「……ん!?なんだ子たち!?」
赤×黒のグラデーションに白いセーラー襟。全員が黒髪の女の子たちの写真。
こういう時の感覚って、どう言葉にして良いのやら。
かつてのわたしがなるべき姿を見つけたような、どこかに置き忘れてきた自分のかけらがひょっこり見つかったような……。
絵面に気を取られるあまり、文字などほとんど目に入りません。
「アイドル」「ファントムシータ」「レトロホラー」の文字だけを瞬間的に浚い、そのままYouTubeへ。
ヤッッッバ………。
世界観最高……?
ノスタルジックで清楚な品があり、かわいくて陰湿。
わたしの大好きな女の子のおそろしさ妖艶さが3:15に恐縮されていました。
簡単に切れるくせに、何度も結び直されて奇妙に強度を増してく、でたらめでどす黒い友情の糸。
全員が、おともだち、というその糸で結ばれて、時に手を取り合い、時に誰かの首を絞め、そして時にはその糸を切って相手を奈落へ突き落とし、自分だけ助かる。
次は自分の番かもしれないのに……。
古い校舎の木の匂い。あの子のヘアコロンの香り。
占い、おまじない、こっくりさん。
スマホ、お揃いのストラップ。
不安定な足場に築いた、女の子だけのかわいくて歪なお城……。
レトロホラーのコンセプトに偽りなしのMVです。
かつて、KERA!やゴシック&ロリータバイブル、椎名林檎や黒色すみれ、造花屋敷時代の尚月地、恋月姫人形などと共に過ごしたわたしにぶっ刺さり。
pixivの鬱くしいタグのお世話にもなっていましたからね。
確かに画像の荒さなどホラーテイストではありますが、本気のホラーではなく、恐ろしくも美しい世界観です。
ホラー苦手な人も是非ご覧になってみてください。
令和に昭和が融合していて、こういうの、めちゃくちゃ好きです。
ふたつの文化の融合という点で、良さの種類が「大正浪漫」に近い印象。
ほんとにこういうテイストの女の子って大好きなのですよね……。
おとなしそうだな、こいつにはなにしてもいいやと低く見積もった相手の事をギッタギタにしそうで。
見るからに強い感じはしないのに、ナメて手を出せば返り討ちにするのです。
それも、非力ゆえの陰惨で卑怯な方法で。
「少女」を消費しようと忍び寄る、そんな人たちをぶちのめし、血祭りにあげ、その屍の上でつんと澄まして色付きリップを塗りなおすの。(お化粧は校則でNGですから)
わたしもこれになりたかった……。
この雰囲気の少女でありたかった。
黒髪のままで、爪は可憐なピンクのままで、あどけないくちびるには口紅よりもリップクリームのままで、ハイヒールではなくローファーのままで、わたしに仇なすやつらをぶちのめすちからを手にしたかった。
見るからに「強い女」も良いですが、わたしは「強い」よりも「怖い」になりたかったからね。
後に知ったのですが、Adoさんプロデュースなのですね、彼女たち。
えっ? Adoさんってまだはたちそこそこですよね…!?
どこまで行ってしまうのだ、その若さで。
ちゃんと休んでね……(老婆心)
そんなAdoさん生まれのファントムシータちゃんたち。
新曲も置いておきましょうね。
ジャケ写は全員お口ミッフィーちゃん。
楽曲提供は「きくお」。
きくおさん……「てんしょうしょうてんしょう」「天国へ行こう」などでかつてわたしを不気味な世界へ誘い一時期中毒にさせたきくおさん。
こんなところで巡り合うとは。
そういえば、去年は今年よりもメンタルが終わっていて、そんな時にSixTONESくんに出会ったのでしたね……。
今年も新たなアイドルとの出会いの季節となりました。
人を選びそうな、レトロホラーアイドル・ファントムシータ。
彼女たちの羽ばたき、その羽の鱗粉の暗い美しさに目が眩んだひとは、わたしと良いおともだちになれそうですね。
無害