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「めぞん文豪」の言葉に支えられている話。

突然ですが、ここにたどり着いたあなたは「めぞん文豪」をご存じ?


「もし現代日本にあの近代文豪が生きていたら?」を描いた物語です。

彼らは「明星」というシェアハウスで創作したり、たまに喧嘩したりして暮らしています。
現代設定なので主人公の太宰治さんは(たぶん)ヤク中じゃないし、坂口安吾さんも(おそらく)ヤク中じゃないし、織田作之助さんもたぶん結核にならないし、石川啄木さんと太宰さんが普通に顔見知りだったりします。
でも、芥川龍之介さんは、死にます。
「もしも」の話ではありますが、各所に実際のエピソード等がちりばめられ、史実ではかなわなかったことが叶ったり、出会わなかった人が出会ったりしています。
ベースとしておおまかに史実を知っているとより楽しいですよ。
知らなくても、これを期に気になったら調べてみてください。作中の小ネタの解像度もあがるし、文豪同士の相関図が広がり、色々と楽しめます。

ようは創作をする人たちの話なので、プロアマ問わず、また一次二次創作問わず、小説や漫画なども問わず、あらゆる創作をする人に沁みるお話となっています。

先日「つぶやき」に投げたこちらの言葉。

「お前のいう駄作が、どれだけ周りに叩かれて、どれだけ批判されて罵られようが書き続けろ。お前の駄作は、駄作にならない」

めぞん文豪・1巻

作中の太宰治さん(以下、おさむくん)に坂口安吾さん(以下、あんごくん)が言った台詞です。

ちなみに、この直前の場面は…創作に行き詰まったおさむくんをかくまうあんごくんの場面なんですよ…。
これは…史実の坂口安吾さんが「不良少年とキリスト」でお書きになった「ほんとにそうだったらよかったのになあ」を叶えた場面でもあります。
泣いちゃう……。

それはさておき。

小説書くの好きかも!と15の頃から書き始め、とんだ勘違いだったなあと気付いて早数年……世の中にはとんでもない才能持ちの、まだプロになっていないだけ、あるいはあえてプロにならずにいるバケモンたちがいっぱいいます。
そりゃーわたしなんかがなにかを成し遂げられる何者かになれるような世界じゃない……。
でもね、このあんごくんの台詞がね、おさむくんだけでなくわたしにも響き、氷が溶けるみたいに涙が出ちゃったの。
批判すら浴びない、箸にも棒にもかからぬ、というかもう文章を書くことを投げ出してしまったこんなわたしでも、(趣味の二次創作だけど)創作をしていた者。
励まされた気がしたのです。

もちろん、わたしには文才がないのは身に染みているけれど、それでもなにかを書きたいと思うなら、とにかくやめずにいようって、思えました。
内容はなんでもよいけど、書き続けて、またそのためにいろいろな文章を読んでいようって大変ゆっ………くりとですけれど、不貞寝をやめて起き上がることが出来た。

続けるって一番難しい。
特に自分のことだし、毎日のことだから、劇的な変化なんてわからないし。
でも、結局は、どれだけビリでもイヤんなっちゃってもやり続けたヤツがきっと……。
なんて、世の中はそううまくいきませんけど、自分が生み出す文章を、いつか駄作から「まあ、それなりじゃん」と認められるようになるまで……続けてみるかなと……思わせてくれたのです。

今、noteにこうして漫画の感想をぽちぽち打ち込んでいますが、きっとこういう感動や気持ちも、もっとうまく、人様に届く言葉で書ける人はたくさんいます。
わたしなんかがわざわざ書かなくても全然良い。
でも、わたしは自分の思うところを文字にしないとどうにも気が済まない。
それなら別に、日記にでもチラシのウラにでも書いておけばよいのでしょうけれども、ワガママなのでどうせなら、誰かしらには届いてほしいな、とも思ってしまう。
なんの技巧も持たないわたしなので、せめて丁寧な言葉遣いで書く、くらいしか出来ないのですが………。
それでも、続けていったら、何かになるかもしれない。
ずーっと駄作のまま終わるのかもしれない。
でも、辞めちゃったらそのどちらにもなれない。
多趣味ゆえ無趣味、浮気性なわたしが続いている唯一がコレなら、続けるしかなさそうです。

あんごくんに叱咤激励されたおさむくんは、その後、締切と菊池のアニキ(もちろん風磨ニキではない、菊池寛ニキです)の期待からも逃げずに必死で向き合います。
もし、創作に行き詰まっている方、自信をなくしちゃった方がいるなら、1巻の9話「太宰、安吾と問答す。」まででも読んでみてください。
ちょこっと楽になるかも。

惜しまれるのはこの「めぞん文豪」、2巻でおしまいなんですよぉ……!!
打ち切り…なのかな。
わたしはちょっとその理由を知らないのですが、まあたかだか100年ほど前の実在の人物をモチーフにするのって、色々とデリケートですよね…。

でも、あわよくば、おさむくんに「令和の中原中也」が絡み散らかすところを見てみたかったな。
中原中也さん、好きなので……。

たまにはアイドル以外の話もしてみたよ。の回でした。
あ、もしも万が一、織田作之助さんの人生が映像化するなら(!?)田中樹さんが演じているのを見てみたいなあとは常々思っています。

無害

とっても嬉しい!コーヒー飲ませていただきます☕