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ゲーム体験と感情、そして


はじめに

 今回は、ゲームにある色々な要素、これらが何を目的としているのか?という割と根源的な話です。
 色々な要素はプレイヤーにゲームが提供する体験をしてもらう為にある、というのが一つの結論です。
 では、それはどのように形作って行ったら良いでしょう。その一例を述べてみました。

今回のゲームのプレイヤーの体験とは

 ゲームはインタラクティブ性から、プレイヤーに「生」に近い体験を提供できます。
 ゲームの体験は、ゲームの進行や、各要素事に色々とあります。
 今回は最も重要な「体験」を設定して、それを実現するにはどういう仕組みが必要か、というように話を広げていこうと思います。

体験の定義

「今まで苦戦してきた敵を一撃で倒す武器を手にいれて、倒す」としましょう。
 その前に、ゲームの規模はかなり小さいものとします。数ステージで終わるくらい。そして苦戦した敵は、ボスというより集団で出てくるタイプとします。
 体験の定義とステージ数から、ライトなタワーディフェンス的なゲーム、でしょうか。

ステージ構成

ステージ1

 デフォルトの武器でも1回で倒せる雑魚がわらわらと出てくる。
 その内、例の敵が1体混じる。ちょっとボス的なイメージ。
 手強い敵、という印象をつける。

ステージ2

 雑魚敵相変わらずわらわら。
 ステージ途中と分かる位置で、さっきのボス的なのが出る。
 ちょっと「え!?」と思わせる。
 ステージ終わりで、ボス的なのが2体(調整範囲2〜3体)出る。
 結構苦戦させるイメージ。

ステージ3

 ステージ3では、雑魚敵に混じってボス的なのがいます。そういうチームみたいです。
 ステージの中間地点まで来ると、例の武器が手に入ります。
 そして、先に登場したチームをザクザク倒していきます。
 ボス的なのばかりが登場してこれもザクザク倒してゴールまで行きクリアです。

武器はどういう手順で手にいれるの?

 先ほどのものはステージ構成ですが、武器を手にいれる手順は書かれていません。
 ぽんと手に入れても、嬉しさは弱いと思います。
 ステージ2でボス的なのに苦戦させられて、それを打開する武器が欲しい、という認識は生まれると思いますが、その武器がある事や、武器を手に入れるには、どうすれば良いか、という情報まで提示されないと、なんだかポワンと手に入れた武器で倒した、では嬉しさが弱くなると思うのです。

ここでストーリーが絡んで来る

 さて、初めの「今まで苦戦してきた敵を一撃で倒す武器を手にいれて、倒す」という体験、基本は、ストレスとその解放による快感、という事になるのですが、それに彩りや味わいを加えるのが「その武器の物語」です。
 武器を手に入れた時、その武器の情報を知った時、その武器の起源を知った時、それらが武器の物語となります。

物語を走らせる

 さて、この武器の物語、復讐の物語として形作ってみましょう。
 ステージ1で共に戦った仲間の一人。ステージ2のボス的なのに倒される。ゲームなので雑魚敵かもしれませんが。
 死ぬ間際に何やら謎めいたメッセージを残す。
 ステージ2とステージ3の間に、RPGならNPCにボス的なのを一撃で倒せる武器の存在が明示される。
 その武器は朽ち果てており、ステージ3の途中に刺さっているという。
 武器を復活させるには、魂を捧げる必要がある。
 捧げる魂は、途中で倒れた仲間の。
 もうお分かりですね。そういう物語です。
 この仲間と主人公の関係性をどのようにするかで、また、プレイヤーの受ける印象は大きく変わります。
 親子、兄弟、姉妹、親友、恋人、夫婦、などなど。

体験によって発生するもの

 ゲームの多くの要素は、体験を生み出すための手段です。
 では、その体験は何を生み出すのでしょう?
 ここまで読まれた方は薄々感じているのではないでしょうか。

感情

 体験によって生み出されるもの、それは「感情」です。
 これは私の解釈ですが、あらゆる芸術は「感情」を生み出す事を目的としていると思っています。
 どんな「感情」かは、創作者の意図とプレイヤーの経験の相互作用で決まります。
 そして創作者は、相互作用を踏まえて意図する「感情」を作り出そうとする、と。

感情が導くもの

 先にも述べましたが、体験によって「ストレスとその解放による快感」が得られます。感情はそに追加されるものです。
 「ストレスとその解放による快感」については、別の記事で書きましたので、そちらをご参照ください。
 感情はプレイヤーに行動を促します。行動経済学でいう「ナッジ」です。(勝手な解釈ですが)
 感情と促される行動は、だいたいセットになると思います。もちろんプレイヤーの経験によって促される行動はある程度変わると思います。
 さて、先ほどの仮想のミニゲームが序盤だけ無料で、その後をプレイするには課金が必要だとします。
 そうすると、例えば、新たに手に入れた武器を使う事で、朽ちた武器に捧げられた魂を解放し、蘇らせる事ができる、というメッセージがあったとしたら。
 あなたは、そのゲームの続きをしたいと課金しますか?
 課金するとすれば、先の体験は感情となり、そしてそれは課金するという行動へと繋がった事になります。
 つまり、体験は感情を通じ、マーケティングへと繋がっていく、という事になる訳です。

企画書

 先に述べた内容は、プレイヤー視点で描かれたものですが、マーケティング、プレイヤーに促す(ナッジする)行動、それを発生させる感情、感情を発生させる体験、という順番に書くと、ゲームの企画書になります。(企画書全部ではなく、マーケティングの一部部分としてですよ)

おわりに

 ゲームの体験という所から、架空のゲームの設計のお話、そして、感情、促される行動、という一連の流れについて記述しました。
 記述されていないゲームの構成要素は多々あると思いますが、それはまた別の機会にでも。
 この記事があなたのゲーム作成の一助になれば幸いです。

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