見出し画像

時刻表に乗る番外編 路線あれこれ #09   留萌本線

留萌本線

留萌本線(るもいほんせん)
●概要
深川ー増毛(ましけ) 66.8㎞
開業 大正10年(1921年) 全通
部分廃止 平成28年(2016年) 留萌ー増毛16.7㎞
     令和5年(2023年) 石狩沼田ー留萌35.7㎞
羽幌線(はぼろせん)
●概要
留萌ー幌延 141.1㎞
開業 昭和33年(1958年) 全通
廃止 昭和62年(1987年) →バス転換

日本海側からの海産物輸送のために開業した路線

 留萌本線は、当初は、札幌から増毛方面への延伸路線として計画されていました。その理由としては、増毛港で水揚げされるニシンを輸送する路線という位置づけでした。計画は変更となり、留萌方面から延びてきた留萌本線で増毛と接続され、昭和30年(1955年)頃までは、ニシンの輸送で活況を呈していました。しかし、その後の大幅な旅客量の減少や、日本海側に路線があるが故の厳しい気性環境におかれた路線保守費用がかさみ、平成28年(2016年)に惜しまれつつ、留萌ー増毛が廃止となりました。あとを追うように、令和5年(2023年)には石狩沼田ー留萌が廃止となり、深川ー石狩沼田だけが残され、短い盲腸線(行き止まり線)となってしまいました。
 羽幌線も留萌本線と同じく、日本海側の羽幌地区から年間110万トンを超える産出を誇った優良な石炭や、ニシンなどの海産物を運ぶために、築別から留萌までの貨物列車を全国でも唯一のD61形蒸気機関車がけん引していました。昭和45年(1970年)の鉱山閉山により人口の流出が進み、最盛期は3万人が暮らしていた羽幌町も1万2000人まで減少し、旅客需要の低下により、昭和62年(1987年)廃止を余儀なくされてしまいました。

留萌本線関係路線図(令和6年(2024年))
凡例:ピンク(現存),青(廃止)

留萌本線・羽幌線を走った優等列車

急行 るもい  旭川ー留萌ー幌延
        旭川ー深川ー留萌  昭和61年(1986年)廃止
急行 ましけ  札幌ー深川ー増毛  昭和55年(1980年)廃止
急行 はぼろ  札幌ー留萌ー幌延  昭和61年(1986年)廃止

留萌本線の現在地

 令和5年(2023年)にも路線が縮小されましたが、残された部分についても平成28年(2016年)発表の資料によれば、輸送密度が200人/日未満の線区に挙げられており、JR北海道単独では維持することが困難な路線とされています。 
 平成28年(2016年)の段階から、深川ー石狩沼田の存続は地元から強い要望が上げられており、令和5年(2023年)にその通りの形になったと言えるということなのでしょう。要望通りになったとはいえ、状況はかなり厳しく、今後も予断を許さない状況であることに変わりはないと思われます。

令和6年(2024年) 7月号 時刻表
各駅停車(4923D)
深川発9時13分ー石狩沼田着9時28分 所要時間15分
1日7往復(うち線内ノンストップ列車0.5往復、旭川からの直通便1往復)

 日本海を存分に眺めることができたであろう、羽幌線。廃止されてしまった車窓は二度と戻ってこないとは知りながら、一度は体験してみたかったと思わずにはいられません。

留萌本線編 了


〔参考文献〕
・全国鉄道地図帳 昭文社
・駅名来歴辞典 国鉄・JR・第三セクター編 石野哲著 JTBパブリッシング
・日本鉄道旅行歴史地図帳 北海道 [監修]今尾恵介・原武史 日本鉄道旅行地図帳編集部[編] 新潮社 
・鉄道ジャーナル 2021.4月号 
・時刻表2024年7月号 (株)交通新聞社



いいなと思ったら応援しよう!