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時刻表に乗る vol.6
東京-大阪各駅停車の旅 No.4
4.三島-豊橋②
●列車は定刻8時54分に静岡に到着する。ここで10分程度停車し、9時6分に発車する予定だ。
客の大半が下車し車内は静かになる。
静岡は何と言っても徳川家康のお膝元の街である。街の中心地には駿府城跡があり、県庁や県警本部などが集まっている。
駿府城は現在では一部復元された櫓と東御門を除いて石垣しか残っていない。
大御所・徳川家康の隠居城と言われるが、西に流れる安倍川を天然の堀とした配置となっており、例え西国大名に攻められても、江戸防衛のための最重要防衛拠点と考えていたといわれている。六重七階の大天守がそびえていたと考えられているそうである。
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●静岡を定刻に発車し、安倍川を渡り宇津ノ谷峠をトンネルで抜けるとカツオの水揚げで有名な焼津に到着する。
焼津から島田までは平たんな地形が続き、またうとうとと眠くなってきた。
大井川を渡ると、有名な大井川鉄道が分岐する金谷に到着する。急に周囲を山に囲まれ、駅がトンネルに突っ込んでしまいそうだ。
トンネルを抜けると一面茶畑が広がる牧之原台地の中を列車は進む。このあたりは対向列車も少なく20分に1回くらいすれ違う程度となっている。
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●天竜浜名湖鉄道の東側の分岐駅、掛川に定刻9時51分に到着。平成6年に本格木造復元された掛川城の天守閣がよく見える。
掛川を過ぎるとまた平たんな地形が続き、静岡最後の大河川・天竜川を渡ると遠州の県都浜松に10時17分に到着した。
それにしても、3時間近く走ってまだ静岡県から抜けられないのであるから、いかに静岡が横に長い県か実感できた。
浜松まで来たらウナギでも食べたくなるが、そんな時間は今回の旅にはなく、10時25分に浜松を発車する。
東海道新幹線の基地として有名なJR東海の浜松工場を右手に見ながらしばらく進むと、ウナギの養殖マスのたくさん並んでいる浜名湖が視界に広がってくる。
湖と呼ぶには余りに大きく、しばらく日差しがキラキラと反射する水面を見つめ続ける。旅に出るとこのような日常では見ることのできない風景に出会うことがあるが、普段の忙しい自分を忘れ、風景の中に自分も溶け込んだような心地になる。そんな時に旅に出ている喜びをかみしめることができる。
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●浜名湖を過ぎ、しばらく進むといよいよ愛知県に突入し、この列車の終着駅である豊橋に定刻10時58分に到着した。
次の乗り換え予定の列車の発車予定時刻は11時4分。あまり時間がないが、昼食を仕入れるために駅の売店に寄ることとしよう。
次回へつづく
〔表記の分け方について〕
※太字表記した部分については時刻表や地図帳などの事実に基づいた内容である。
※時刻表の羅列だけでは寂しいのでフィクションで私の行動や周囲の乗客の様子や風景を書き加えた。その部分は細字表記となっている。また、歴史的背景の描写や街の紹介などは事実に基づく内容である。その部分は時刻表には無関係のため、細字表記となっている。
【今回のルート】
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